マンションやその周辺に設置された7台の防犯カメラには、事件の当日、2人が忍び込む様子など一部始終が写っていて、NHKはその映像を入手しました。
それによりますと午後11時ごろ、2人はマンションの敷地に入ったあと、オートロックのある正面玄関ではなく裏側に回り、壁をよじ登って建物の中に侵入します。
黒っぽいフードをかぶって、うつむきながらエレベーターに乗り込み、10階まで上がって被害者の部屋まで一直線に向かいます。
そして、部屋に誰もいないか確認したあと、廊下沿いの窓の格子を手際よくはずし、1人が鍵の開いた窓から部屋の中に入り、そのあともう1人を玄関から招き入れました。
およそ5分後、部屋から出てきた2人は非常階段で1階まで降りてきて、マンションの外に出たあと、両手いっぱいに袋を持ち走り去っていきました。
捜査関係者によりますと、部屋からは高級ブランドの腕時計やバッグおよそ50点や現金など、合わせて数千万円相当が盗まれたということです。
2人は車で現場まで来たとみられ、マンションに侵入したあとに、その車が動く様子が周辺のカメラに写っていたということで、警察はほかにも関わった人物がいるとみて窃盗事件として捜査しています。
防犯対策に詳しい一般社団法人「日本防犯学校」の梅本正行学長は、マンションの防犯対策について「オートロックは安心という風潮があるが、過信しないでほしい」と指摘しています。 出かける際は、玄関や窓などすべての施錠をしたうえで、 ▽補助の鍵を取り付けたり、 ▽窓ガラスを割られにくくするためフィルムを貼ったりするほか、 ▽外れにくい防犯用の格子を取り付けるなど、 第三者が侵入しにくい状況をつくることが効果的だとしています。 また、SNSの発信にも注意が必要だといいます。 梅本学長は「犯人は投稿した写真などから、住んでいる場所や留守の時間帯などを、徹底的に調べ上げて犯行に及ぶことがあるので、極力、自分の情報を出さないほうがいいと思う。SNSの発信には、危険がはらんでいることを知ってほしい」と指摘しています。 そのうえで「無施錠の被害が多いので、鍵をかけることは絶対に必要。オートロックは安心という風潮があるが、過信せず、被害に遭わないために何ができるかを考えて、犯罪者が嫌がる環境を作ってほしい」と話しています。 また、被害を防ぐためには、住人が防犯意識を高めることが欠かせないということで「入居者とオーナーが情報を共有して、一体感を持って防犯対策を進めていくことが大切だ。マンション内で不審な人を見かけたら、勇気を出して警察に通報してほしい」と話しています。
このうち、マンションなど住宅の被害は576件と、およそ4割を占め、前の年の同じ時期と比べて112件増えているということです。
被害者「SNSで写真投稿 原因か」
専門家「オートロック過信しない SNS発信にも注意」
空き巣など 前年同時期比120件増
