根室市の花咲港では先月10日から始まった主力のサンマ棒受け網漁が好調で、先月末までの水揚げ量は4540トンと、去年の同じ時期の2倍以上になりました。
さらに今月もまとまった漁獲が続き、12日までの12日間の水揚げ量は6395トンと、すでに8月の水揚げを大きく上回っています。
港では久しぶりの水揚げに活気づく一方で、“想定外”の事態も起きています。
サンマの漁業者でつくる団体「全さんま」=全国さんま棒受網漁業協同組合によりますと、全国のサンマ水揚げ量は11年前までほぼ毎年20万トンを超えていましたが、その後の漁獲はふるわず、3年前には1万8000トンまで減少しました。
地元の漁協は、近年の不漁でサンマを受け入れる態勢を縮小してきたため、連日のまとまった水揚げに対して魚を入れるタンクや鮮度を保つための氷が不足し、市場や水産加工場まで運ぶトラックの確保も難しくなっているということです。
また、サンマを大量に扱うことができる水産会社も減っていて、このうち根室市内で水産加工業を営む会社では、かつては年間7000トンほどのサンマを仕入れていましたが、長引く不漁を受けて扱う魚をサバなどに切り替えて対応してきました。
このためサンマの出荷に使う木箱も減らしていて、今月上旬には在庫が底をつき、代わりに段ボールを使っているということです。
水産加工会社の濱屋高男社長は「豊漁はよいと思うが、今後どういう水揚げになるかは、全く分かりません。キャパシティーを大きくするわけにもいかず、大変なところもあります」と話していました。
花咲港のほかにも、水揚げに受け入れが追いつかない港があることから「全さんま」は漁獲量を調整するため、今月4日から一斉に操業制限を行っています。
「全さんま」によりますと、操業制限を行うのは2012年以来で、今月末を目安に続ける予定だということです。