Actualités japonaises: コロナワクチン接種認知症などの人の意思確認支援に難しさも

新型しんがたコロナウイルスのワクチン接種せっしゅには本人ほんにんの同意どういが必要ひつようで、認知にんち症しょうなどで意思いし確認かくにんが難むずかしい場合ばあいは家族かぞくなど身近みぢかな人ひとが意向いこうをくみ取くみとることが求もとめられていますが、独り暮ひとりぐらしなどで身近みぢかな人ひとと連絡れんらくが取とりづらいケースもあり、どう意思いし確認かくにんを行おこなうのか、現場げんばでは模索もさくが続つづいています。

ワクチンの接種せっしゅには本人ほんにんの同意どういが必要ひつようですが、認知にんち症しょうなどで意思いし確認かくにんが難むずかしい場合ばあい、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは家族かぞくや施設しせつの関係かんけい者しゃなど日頃ひごろから身近みぢかにいる人ひとが丁寧ていねいに意向いこうをくみ取くみとることを求もとめています。

しかし、認知にんち症しょうや認知にんち症しょうの疑うたがいがある人ひとの中なかには、独り暮ひとりぐらしなどで家族かぞくと連絡れんらくが取とりづらいケースもあり、支援しえんに当あたる人ひとからは難むずかしさを訴うったえる声こえが出でています。

神奈川かながわ県けん横須賀よこすか市しで、無料むりょうで福祉ふくし相談そうだんを行おこなっている社会しゃかい福祉ふくし士しの玉井たまい秀直ひでなおさんもその1人にんです。

玉井たまいさんのもとには横須賀よこすか市しでワクチン接種せっしゅの予約よやくが始はじまった5月つき上旬じょうじゅん以降いこう、高齢こうれい者しゃからの相談そうだんが相次あいつぎ、およそ200人にんについては本人ほんにんの意思いしを確認かくにんし、予約よやくの手続てつづきを一緒いっしょにしたということです。

一方いっぽう、相談そうだんを受うけた中なかには、認知にんち症しょうや認知にんち症しょうの疑うたがいがある高齢こうれい者しゃが9人にんいて、親族しんぞくと連絡れんらくがついてワクチンを接種せっしゅした人ひともいますが、身近みぢかな人ひとが見みつからないなどの理由りゆうで意思いしを確認かくにんできない人ひとが今いまも3人にんいるということです。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、国内こくないの認知にんち症しょう患者かんじゃは去年きょねんの時点じてんで600万まん人にんを超こえると推計すいけいされるということで、支援しえんの現場げんばではワクチン接種せっしゅの意思いしをどう確認かくにんするか模索もさくが続つづいています。

支援しえんに難むずかしさも

地域ちいき住民じゅうみんから暮くらしに関にかんする幅広はばひろい相談そうだんを受け付うけつけている横須賀よこすか市しの社会しゃかい福祉ふくし士しの玉井たまい秀直ひでなおさんのもとには、市しが80歳さい以上いじょうのワクチン接種せっしゅの予約よやくの受付うけつけを始はじめた5月つき上旬じょうじゅん以降いこう、高齢こうれい者しゃを中心ちゅうしんに接種せっしゅの内容ないようや予約よやくの方法ほうほうに関にかんする相談そうだんが相次あいつぎました。

これまでにおよそ200人にんについて本人ほんにんの意思いしを確認かくにんし、予約よやくの手続てつづきを一緒いっしょにしたということです。

一方いっぽうで、相談そうだんしてきた高齢こうれい者しゃの中なかには認知にんち症しょうや認知にんち症しょうの疑うたがいがある人ひともいて、ワクチン接種せっしゅの意思いし確認かくにんが難むずかしい人ひともいたということです。

このため9人にんについては、その場ばで予約よやくの手続てつづきは行おこなわず、本人ほんにんの意向いこうをくみ取くみとるため身近みぢかな人ひとを探さがすことにしました。

このうち、県営けんえい団地だんちに1人にんで住すむ認知にんち症しょうの77歳さいの女性じょせいの場合ばあい、玉井たまいさんが知しっていた長女ちょうじょから連絡れんらくしてもらい、先月せんげつまでに2回かいの接種せっしゅを終おえたということです。

77歳さいの女性じょせいは「娘むすめと玉井たまいさんがいないとワクチンを打うてなかった。ありがたかった」と話はなしていました。

一方いっぽう、本人ほんにんと意思いし疎通そつうがしづらく身近みぢかな人ひとをたどることができなかったり、身近みぢかな人ひとを見みつけることができても意向いこうをくみ取くみとることができなかったりするケースもあり、玉井たまいさんは定期ていき的てきな訪問ほうもん活動かつどうなどを通をつうじて模索もさくを続つづけています。

県営けんえい団地だんちに1人にんで住すむ認知にんち症しょうの疑うたがいがある高齢こうれい女性じょせいの場合ばあい、玉井たまいさんは遠方えんぽうに住すむ親族しんぞくに連絡れんらくを取とりましたが、接種せっしゅの支援しえんを行おこなうのは難むずかしいと伝つたえられたということです。

その後そのごもこの女性じょせいを尋たずねていますが会あえておらず、ワクチン接種せっしゅの状況じょうきょうは分わからないままだといいます。

玉井たまいさんは「親族しんぞくはいても疎遠そえんで依頼いらいするのが難むずかしく、こうした状況じょうきょうになっている。その後そのごも足あしを運はこんだが不在ふざいが続つづいていて、どうなったか心配しんぱいです」と話はなしていました。

また、同おなじ地区ちくの認知にんち症しょうの疑うたがいがある高齢こうれい者しゃの夫婦ふうふもワクチンを接種せっしゅしたか聞きいたものの「ワクチンって何なにだっけ」などと答こたえるなど、意思いし疎通そつうが難むずかしいということです。

この日ひは会話かいわを重かさねる中なかで、子こどもがいることがようやく分わかったということで、今後こんご、連絡れんらく先さきをたどってみるということです。

玉井たまいさんは「地道じみちにコツコツ訪問ほうもんしながら信頼しんらい関係かんけいを作つくってサポートができるように続つづけていくしかない。助たすけてくださいと言いわなくても、必要ひつよう性せいがある人ひとに上手じょうずに手てを差し伸さしのべられる取り組とりくみや仕組しくみが必要ひつようだと思おもう」と話はなしていました。

接種せっしゅの意思いし確認かくにんとは

新型しんがたコロナウイルスのワクチン接種せっしゅは、予防よぼう接種せっしゅ法ほうに基もとづく実施じっし規則きそくで、接種せっしゅを受うける人ひとに接種せっしゅの有効ゆうこう性せいや安全あんぜん性せい、それに副ふく反応はんのうについて説明せつめいがされ、文書ぶんしょによる同意どういを得えなくてはならないとされています。

そのうえで、認知にんち症しょうなどで意思いしの確認かくにんが難むずかしい場合ばあいについて厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、自治体じちたいに対にたいする通知つうちの中なかで、「状況じょうきょうに応おうじて家族かぞくやかかりつけの医師いし、施設しせつの従事じゅうじ者しゃなど日頃ひごろから身近みぢかで寄り添よりそっている方々かたがたの協力きょうりょくを得えて、本人ほんにんの接種せっしゅの意向いこうを丁寧ていねいにくみ取くみとることなどにより本人ほんにんの意思いし確認かくにんを行おこなうこと」としています。

一方いっぽう、医師いしなどでつくる「日本にっぽん臨床りんしょう倫理りんり学会がっかい」は意思いしの具体ぐたい的てきな確認かくにん方法ほうほうに関にかんする手引てびきをまとめました。

手引てびきでは、最もっとも大切たいせつなのは本人ほんにんの判断はんだんであるため、意思いしを決定けっていする能力のうりょくがあるかどうかを先入せんにゅう観かんを持もたずに確認かくにんすることが重要じゅうようだとしています。

そのうえで、本人ほんにんの意思いしが確認かくにんできない場合ばあいには、本人ほんにんをよく知しる家族かぞくなどが代理だいりで判断はんだんするとしています。

その場合ばあい、これまでの考え方かんがえかたや価値かち観かん、予防よぼう接種せっしゅの履歴りれきなどをもとに本人ほんにんの意思いしを推定すいていして最善さいぜんの利益りえきを考かんがえるとしています。

さらに、家族かぞくなどの身寄みよりが無なかったり、連絡れんらくがつかなかったりする場合ばあいには、さまざまな職種しょくしゅでつくる医療いりょうケアチームが、話し合はなしあって決きめることとされています。

専門せんもん家か「医療いりょうケアと生活せいかつ支援しえんをつなぐ仕組しくみ必要ひつよう」

認知にんち症しょうのケアなど医療いりょうと倫理りんりの問題もんだいに詳くわしい日本にっぽん臨床りんしょう倫理りんり学会がっかいの理事りじの箕みの岡おか真子しんこ医師いしは「今後こんごもこういった高齢こうれい者しゃは増ふえてくるだろうと思おもう。しかし、適正てきせいな医療いりょうにアクセスする権利けんりと受うける権利けんりはすべての人ひとにあり、本人ほんにんが同意どういできない、あるいは代かわりに同意どういしてくれる家族かぞくがいないという理由りゆうだけで接種せっしゅを受うけられないのは問題もんだいがあるのではないか」と指摘してきしています。

そのうえで「この問題もんだいは、医療いりょうの問題もんだいでありながらも生活せいかつ支援しえんの問題もんだいでもあり、医療いりょうケアと生活せいかつ支援しえんを切り離きりはなさず一連いちれんのものとしてうまくつないでいく仕組しくみが必要ひつようなのではないか」と話はなしています。