生き延びた人たちは歴史を繰り返さないため、異なる人種や宗教などへの差別を許さないでほしいと訴えました。
アウシュビッツ強制収容所は、ナチス・ドイツがポーランド南部に建設し、ユダヤ人の大量虐殺 ホロコーストの中心的な役割を担った大規模な施設で、ユダヤ人を中心におよそ110万人が虐殺されました。
旧ソビエト軍によって強制収容所が解放されてから80年となった27日、収容所の跡地で追悼式典が開かれました。
式典には56人の生存者やその家族のほか、ドイツのシュタインマイヤー大統領をはじめ、フランスやウクライナの首脳などおよそ50か国の代表が出席しました。
そして生存者の代表たちがスピーチし、このうち母親と叔母をガス室で殺害された99歳の男性は「強制収容所で人としての尊厳を奪われた」とふり返りました。
さらに、ヨーロッパ各国で再び他者への寛容さが失われつつあるとして懸念を示し、「特に若者たちに対し、人種や宗教、あるいは性的な嗜好の違いへの不寛容や敵意の表れに注意するよう訴えたい」と語り歴史を繰り返さないため、差別をあおる主張には賛同せず、許さないでほしいと訴えました。
式典ではこのあと、参加者が順番に犠牲者へ祈りをささげました。
第2次世界大戦の終結からことしで80年となりますが、アウシュビッツ強制収容所などでのホロコーストを生き延びた人の高齢化が一段と進んでいて、記憶の継承をどう進めていくかが課題となっています。