ファンデーションや口紅、それにアイシャドウなど合わせて12種類を取り揃え、男性の本格的なメークに対応できる商品を展開するとしています。
今の男性用化粧品は、化粧水や乳液といったいわゆるスキンケアの商品が中心で、メークに対応した商品はかつて市販されたこともありましたが、定着せず販売が取りやめになりました。
しかし、最近では若い世代を中心に就職活動やビジネスの際にメークをする男性も増えているということで、メーカーとしては本格的な商品を取りそろえることで新たな市場を作り出したい狙いがあります。
男性向け化粧品の開発を担ったRieOmotoグローバルクリエイティブディレクターは「男性も化粧をすることで、自由に自分を表現してもらいたい」と話しています。
このほか、海外ブランドの「シャネル」も、日本でことし11月から、男性用のファンデーションなどのネット販売を始める予定です。
若い男性に広がる 「ここ一番」での化粧
大手メーカーが男性用の化粧品に本腰を入れる背景には、10代から30代の若い世代を中心に、「ここ一番」の時に化粧をする人が増えていることがあると言います。
例えば、就職活動での面接や仕事でのプレゼンテーションといった大切な場面で、目の下の「くま」を隠したり、顔色を明るく見せたりするため、男性もメークをしたいというニーズが高まっているということです。
しかし、これまでの男性向けの化粧品は、肌を手入れするいわゆるスキンケアが中心で、本格的なメークに対応できる商品がなかったため、メーカーでは1年以上かけて、男性でも使いやすい化粧品の開発に取り組んできたということです。
国内の化粧品市場は、日本を訪れる外国人旅行者によるいわゆるインバウンド需要が増加していますが、それ以外の需要の掘り起こしが課題になっていて、化粧品メーカーとしては女性だけでなく男性にも焦点を当てることで新たな市場を作り出したい狙いがあります。
女性用より幅広く 15色を用意
男性向け化粧品の開発にあたって、メーカーでは男性にとっての使いやすさを重視したとしています。
例えば、化粧の下地となる「ファンデーション」では、男性は日焼けの度合いなどによって女性よりも肌の色に幅があるため、15色を用意しました。一般的な女性向けでは5色程度ですが、より自然な仕上がりにするためあえて色の数を増やしました。
また、商品の形にも違いがあります。
女性向けファンデーションではふたを開けると鏡が付いているいわゆる「コンパクト」が主流ですが、縦長の四角いスティック状にしました。パフを使う必要がなく、スティックをひげそりをするように動かせばファンデーションを塗ることができます。
さらに、キャップの内側の凹凸をなくし開け閉めする時に音が出ないようにするなど、男性が人前で持っていても違和感がないように工夫したとしています。
男性向け化粧品の開発を担ったRieOmotoグローバルクリエイティブディレクターは「男性にも使いやすいように、日常生活の動作の延長線上で自然に使えるよう開発を重ねてきた。化粧は女性がするものという固定概念を変え、男性も化粧をすることでより自信が持てるようにしていきたい」と話しています。