米べい最高裁さいこうさい判事はんじにトランプ大統領だいとうりょう指名しめいの保守ほしゅ派はバレット氏し 承認しょうにん

これを受うけてトランプ大統領だいとうりょうは、ホワイトハウスで式典しきてんを開ひらき、「きょうはアメリカと、合衆国がっしゅうこくの憲法けんぽう、そして法ほうの支配しはいにとって非常ひじょうに重要じゅうような日ひとなった。バレット判事はんじはアメリカで最もっとも優すぐれた法学ほうがく者しゃであり、すばらしい最高さいこう裁判所さいばんしょの判事はんじになるだろう」と述のべました。

これに続つづいてバレット氏しは宣誓せんせいを行おこない「連邦れんぽう最高さいこう裁判所さいばんしょの判事はんじとして指名しめいしていただいたトランプ大統領だいとうりょうに感謝かんしゃしたい。何者なにものも恐おそれず、味方みかたもせず、政治せいじから独立どくりつして職務しょくむを全まっとうしたい」と決意けついを述のべました。

バレット氏しの就任しゅうにんで、連邦れんぽう最高さいこう裁判所さいばんしょの判事はんじは9人にんのうち6人にんが保守ほしゅ派はとなり、アメリカ社会しゃかいを二分にぶんする問題もんだいの司法しほう判断はんだんにも、保守ほしゅ的てきな価値かち観かんがより強つよく反映はんえいされると指摘してきされています。

アメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょの投票とうひょう日びが1週間しゅうかん後ごに迫せまる中なか、トランプ大統領だいとうりょうは保守ほしゅ層そうの支持しじ拡大かくだいを図はかりたい考かんがえですが、民主党みんしゅとう側がわは強つよく反発はんぱつしています。

バレット氏しの承認しょうにんめぐる経緯けいい

トランプ大統領だいとうりょうはリベラル派はの最高裁さいこうさい判事はんじ、ギンズバーグ氏しが先月せんげつ18日にちに87歳さいで死去しきょした直後ちょくごに速すみやかに後任こうにんの判事はんじを指名しめいする意向いこうを示しめしました。

そして、8日にち後ごの先月せんげつ26日にちに保守ほしゅ派はで、高等こうとう裁判所さいばんしょに当あたる連邦れんぽう控訴こうそ裁判所さいばんしょの判事はんじを務つとめるエイミー・バレット氏しの指名しめいを発表はっぴょう。

11月つき3日にちの大統領だいとうりょう選挙せんきょより前まえの承認しょうにんを目指めざす考かんがえを示しめし、与党よとう・共和党きょうわとうもこれに同調どうちょうしました。

一方いっぽう、野党やとう・民主党みんしゅとうの大統領だいとうりょう候補こうほのバイデン氏しや議会ぎかい幹部かんぶは、大統領だいとうりょう選挙せんきょの選挙せんきょ戦せんが終盤しゅうばんにさしかかるなかでの指名しめいに猛もう反発はんぱつし、選挙せんきょで国民こくみんによって選えらばれた次つぎの大統領だいとうりょうが指名しめいすべきだと主張しゅちょうしました。

さらに4年ねん前まえの2016年ねんに保守ほしゅ派はの判事はんじが死去しきょした際さい、当時とうじのオバマ大統領だいとうりょうが後任こうにんにリベラル派はの判事はんじを指名しめいしたのに対にたいし、当時とうじ、共和党きょうわとうが「8か月かげつ後ごに大統領だいとうりょう選挙せんきょを控ひかえている」として、承認しょうにんの手続てつづきを進すすめなかったことも持ち出もちだして、撤回てっかいを要求ようきゅうしました。

しかし、議会ぎかい上院じょういんで多数たすう派はである共和党きょうわとうは、司法しほう委員いいん会かいで今月こんげつ22日にち、民主党みんしゅとうの議員ぎいんが抗議こうぎのために欠席けっせきする中なか、人事じんじ案あんを可決かけつ。

そして翌よく23日にちからは上院じょういん本ほん会議かいぎで審議しんぎを開始かいしし、民主党みんしゅとうが手続てつづきを延期えんきするよう求もとめる中なか、25日にちに審議しんぎ時間じかんを制限せいげんする動議どうぎを可決かけつ。

26日にちに本ほん会議かいぎで承認しょうにんされることが確実かくじつな情勢じょうせいとなりました。

トランプ大統領だいとうりょう・バイデン氏しの思惑おもわく

今回こんかい、正式せいしきに承認しょうにんされたエイミー・バレット判事はんじは、これまでの発言はつげんや法廷ほうていでの判断はんだんから、トランプ政権せいけんの考かんがえに極きわめて近ちかいとされています。

バレット氏しは、人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつや銃じゅう規制きせいに反対はんたいする一方いっぽうで、オバマ前ぜん大統領だいとうりょうが導入どうにゅうした医療いりょう保険ほけん制度せいどや移民いみん政策せいさくなどの見直みなおしを進すすめるトランプ大統領だいとうりょうに賛同さんどうする姿勢しせいを示しめしています。

トランプ大統領だいとうりょうは、保守ほしゅ派はの象徴しょうちょうと位置いちづけられるバレット氏しを指名しめいすることで、大統領だいとうりょう選挙せんきょに向むけて保守ほしゅ層そうの支持しじ拡大かくだいにつなげたいという思惑おもわくがあるとみられます。

また、トランプ大統領だいとうりょうは、空席くうせきとなった最高裁さいこうさい判事はんじの補充ほじゅうを急いそぐ理由りゆうとして、「大統領だいとうりょう選挙せんきょで不正ふせいが行おこなわれようとしている」と主張しゅちょうし、大統領だいとうりょう選挙せんきょに関連かんれんする訴訟そしょうで速すみやかに判断はんだんができるようにしておく意義いぎを強調きょうちょうしました。

トランプ陣営じんえいは、大統領だいとうりょう選挙せんきょに関連かんれんした法廷ほうてい闘争とうそうに備そなえて大だい規模きぼな弁護べんご団だんを雇やとって準備じゅんびしているとも伝つたえられており、票ひょうの数かぞえ方かたなどをめぐる訴うったえが起おこされた場合ばあい、最高さいこう裁判所さいばんしょで有利ゆうりな判断はんだんを得えようという思惑おもわくもあるのではないかと指摘してきされています。

一方いっぽう、民主党みんしゅとうのバイデン前ぜん副ふく大統領だいとうりょうは、保守ほしゅ派はのバレット氏しが最高裁さいこうさい判事はんじに就任しゅうにんすれば、司法しほうの最終さいしゅう的てきな判断はんだんが一段いちだんと保守ほしゅ化かし、女性じょせいやマイノリティーの権利けんりが脅おびやかされるとして、リベラル層そうに危機きき感かんを訴うったえ、求心力きゅうしんりょくを高たかめようとしています。

ギンズバーグ氏しは、先月せんげつ亡なくなる前まえに、「後任こうにんは、次つぎの選挙せんきょで選えらばれた大統領だいとうりょうによって指名しめいされることを望のぞむ」という遺言ゆいごんを残のこしたとされています。

民主党みんしゅとうは、伝記でんきがベストセラーになったり、その半生はんせいを描えがいた映画えいがも製作せいさくされたりするなど、人気にんきが高たかかった異例いれいの判事はんじの遺志いしを共和党きょうわとうは無視むししていると批判ひはんしてきました。

専門せんもん家か「大統領だいとうりょう選せんにも影響えいきょう」

カリフォルニア大学だいがくのジェームズ・ワグスタッフ教授きょうじゅは「今回こんかいの承認しょうにんは、多おおくの有権者ゆうけんしゃに影響えいきょうを与あたえるだろう。最高裁さいこうさいの判事はんじを指名しめいする大統領だいとうりょうを選えらぶということがいかに重要じゅうようかを再さい認識にんしきさせるきっかけになったからだ」と述のべ、大統領だいとうりょう選挙せんきょにも影響えいきょうするという見方みかたを示しめしました。

また、今後こんごバレット氏しが最高裁さいこうさいの判事はんじに就任しゅうにんすることの影響えいきょうについては「オバマ前ぜん大統領だいとうりょうが導入どうにゅうした医療いりょう保険ほけん制度せいどをめぐる判断はんだんなどで変化へんかは比較的ひかくてき早はやい段階だんかいで表あらわれるだろう。そのほかにも長期ちょうき的てきには、人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつや言論げんろんをめぐる権利けんりについて保守ほしゅ的てきな判断はんだんが示しめされることになるだろう」と分析ぶんせきしました。

野党やとう・民主党みんしゅとう「今回こんかいの承認しょうにんは権利けんりの制限せいげんにつながる」

アメリカ議会ぎかい上院じょういん、野党やとう・民主党みんしゅとうのトップ、シューマー院内いんない総務そうむは声明せいめいで「今回こんかいの判事はんじの承認しょうにんは、共和党きょうわとうは議会ぎかいで達成たっせいできなかったことを、裁判所さいばんしょを保守ほしゅ化かさせることによって実現じつげんしようとしている。今回こんかいの判事はんじの承認しょうにんは地球ちきゅう温暖おんだん化か、労働ろうどう者しゃの軽視けいし、政治せいじ汚職おしょく、それにさまざまな権利けんりの制限せいげんにつながる。民主党みんしゅとうはアメリカ国民こくみんの社会しゃかい保障ほしょうと生活せいかつそして自由じゆうのために戦たたかい続つづける」と述のべました。