女子シングルスではすでに伊藤美誠選手が代表入りを確実にしていて、残る1枠を石川選手と平野美宇選手が争っていました。
中国の鄭州で開かれていることし最後の国際大会、ワールドツアーのグランドファイナル、女子シングルスの1回戦で獲得ポイントでリードしていた石川選手は、世界3位の中国、劉詩※ブン選手と対戦しました。
石川選手は第1ゲームを奪われ、第2ゲームも先にゲームポイントを握られましたが、フォアハンドを強気に振り抜くなどして、逆にゲームポイントを奪いました。それでも最後は劉選手の強烈なショットに対応できず、12対14で落としました。
その後も2ゲームを続けて落とした石川選手はゲームカウント0対4のストレートで敗れました。
(※ブンは雨かんむりの下に「文」。)
平野選手は世界18位の王芸迪選手と対戦しました。平野選手はこの試合に勝てばポイントで石川選手を逆転し、代表入りが確実になる状況でしたが、3ゲームを連取されてあとがなくなりました。
第4ゲームはバックハンドの強打でポイントを重ねて11対6で取り返しましたが、第5ゲームは力強いショットに押されるなど5対11で落とし、平野選手は1対4で敗れました。
この結果、石川選手が来月の世界ランキングで日本選手の上位2人以内に入ることが確定し、東京オリンピック、女子シングルスの代表入りが確実となりました。
また、佐藤瞳選手は、リオデジャネイロオリンピックの金メダリストで中国の丁寧選手にゲームカウント4対2で勝ってベスト8進出を決めました。
石川「苦しいレースだった分 いちばん成長できている」
石川佳純選手は「本当に長くて苦しい選考レースだったが、シングルスに出場できるのですごくうれしい。周りの選手のレベルも上がっているし、自分自身あまりいいプレーができず、頑張りたいのに結果が出ない苦しい時期が続いていたので、精神的にすごくきつかった」とことし1年の代表争いを振り返りました。
そのうえで「うれしい気持ちもあるが、美宇ちゃんもずっと苦しいレースをしてきたと思う。自分がシングルスに出られるということは出られなかった人もいるので、その分も頑張らないといけないという責任も感じている」と最後の大会まで代表を争った平野美宇選手のことを気遣っていました。
そして「これだけ苦しいレースだった分、今まででいちばん成長できていると思うので、さらにレベルアップしてオリンピックで最高のプレーがしたいし、今までの経験や学んだことをすべて出せるようにしたい」と意気込んでいました。
平野「結果を受け止めないといけない」
シングルスの出場はかなわなかった平野美宇選手は試合直後のミックスゾーンで涙が止まりませんでした。平野選手は「すごくチャンスがあったのに最後に勝てず、すごく残念だ。きょうの負けよりもこれまでの大会で負けたのが大きかったし、ここまでに差をつけられなかったのがだめだった」と心境を話しました。
そして「リオデジャネイロオリンピックの後の2016年からオリンピックに出たくて頑張ってきたが、自分の中ではこれが精いっぱいだったと思うのでこの結果を受け止めないといけない」と涙を流しながら話しました。
そのうえで来月6日に発表される団体に出場する選手の発表をどのような気持ちで待つかという質問に対して「世界ランキングや成績からすると選ばれてもおかしくない位置にいるとは思うが、2番目に入れなかったので、誰が選ばれてもしかたないと思う。待つだけだ」と話していました。
3大会連続 五輪出場
石川佳純選手は山口県出身の26歳。3大会連続のオリンピック出場です。左利きで強烈なフォアハンドのドライブが持ち味で、ラリーでの得点力の高さも強さを支えています。
卓球選手だった両親の影響で7歳から卓球を始め、全日本選手権の女子シングルスでは、高校3年の時に初優勝し、これまでに4回優勝しています。
オリンピックでは、初出場だった2012年のロンドン大会で日本卓球史上初のメダルとなる女子団体の銀メダル獲得に貢献し、2016年のリオデジャネイロ大会でも女子団体で銅メダルと、2大会連続でメダルを獲得しています。
10代の選手たちの活躍が続く中、ことし前半の国際大会では結果を残せず、代表争いで遅れをとりました。
しれつな競争が続く中、確実性を重視したミスの少ない戦い方からリスクを負ってでも果敢に攻める攻撃的なプレースタイルに変えることを決め、7月のワールドツアー、オーストラリアオープンで世界1位の中国選手を破りました。
そして今月、カナダで行われた国際大会の決勝で、代表を争う平野美宇選手に勝って獲得ポイントで平野選手を逆転し、中国で開かれたことし最後の国際大会、ワールドツアーのグランドファイナルで代表入りを確実としました。
五輪日本代表 シングルス2人 団体1人 来月発表
卓球の東京オリンピックの日本代表は、男女それぞれ、シングルスに出場する2人に加え、団体に出場する1人が来月、発表されます。
団体に出場する男女1人ずつの選手は、シングルスに出場する選手とのダブルスの相性やシングルスの世界ランキングなどを総合的に判断して日本卓球協会の強化本部が決定し、来月6日に発表されます。
また、東京オリンピックからの新種目、ミックスダブルスは、シングルスと団体に出場する男女それぞれ3人の選手の中からペアの相性などを見極めて、来年5月ごろをめどに選ぶ予定だということです。