イチローからのメッセージ 最後さいごの「イチロー杯はい」で

平成へいせい８はち年ねんからイチローさんの出身しゅっしん地ち、豊山とよやま町まちで行おこなわれてきた「イチロー杯はい」はイチローさんが現役げんえきを引退いんたいしたことなどから、ことしで終了しゅうりょうすることが決きまっていて22日にち、イチローさんも出席しゅっせきして最後さいごの表彰ひょうしょう式しきが開ひらかれました。

このなかでイチローさんは、今月こんげつ、高校こうこうと大学だいがくで野球やきゅうを指導しどうするのに必要ひつような研修けんしゅうを受うけたことを伝つたえ「別べつの場所ばしょで会あうことができるかもしれないので、野球やきゅうを続つづけてください」と話はなしました。

そして「今いまは先生せんせいたちが厳きびしく教おしえることが難むずかしい時代じだいなので、自分じぶん自身じしんを自分じぶんで鍛きたえてほしい」と激励げきれいしました。

小学生しょうがくせいから「どこに行いったらイチローさんの指導しどうを受うけられますか」と質問しつもんされると「特定とくていの学校がっこうの常勤じょうきんにならなければどこにでも行いくことができるので、来きてと言いってくれればかないます」と答こたえていました。

このあと大会たいかいに出場しゅつじょうした東海とうかい３さん県けんの180チームのうち上位じょうい３さんチームが表彰ひょうしょうされ、イチローさんは一いち人にん一いち人にんにメダルをかけ、健闘けんとうをたたえました。

優勝ゆうしょうした豊田とよだ市しの「山之手やまのて少年しょうねん野球やきゅうクラブ」の小学しょうがく６ろく年生ねんせいの福田ふくだ昂のぼる樹じゅくんは「イチローさんから直接ちょくせつ指導しどうを受うけたいので、野球やきゅうを続つづけたいです」と話はなしていました。

イチロー 最後さいごの表彰ひょうしょう式しきの「ことば」

「毎年まいとしここで、その年としに、そのシーズンで感かんじたことをお伝おつたえしてきたんですけど、皆みなの前まえでお伝おつたえしてきたんですけれど、今回こんかいこれが最後さいごのイチロー杯はいでのみんなへのメッセージ。長ながい間ま支ささえてくれた皆みなさんに感謝かんしゃ、ありがとうございます」

「僕ぼくはこの春はる、現役げんえきを引退いんたいしました。その時ときに“イチロー杯はい”が真っ先まっさきに浮うかんで。どうしようか。これまで現役げんえきとして皆みなにシーズンに感かんじたことをメッセージとして伝つたえてきたが、それができなくなる。そのことと向き合むきあえなくなるということで、この決断けつだんに至いたりました」

「ことしは、ことしのシーズンと言いうよりも、日本にっぽんで９きゅう年間ねんかん、アメリカで19年間ねんかんプロ野球やきゅう選手せんしゅとして過すごしてきて、何なにか皆みなに伝つたえたいなと考かんがえまして、今いま、ここに来きました」

「２に点てんあります。みんなが野球やきゅう続つづけるか分わからないけど、僕ぼくは先日せんじつ、学生がくせい野球やきゅうの資格しかく回復かいふく制度せいどの研修けんしゅう会かいを受うけ、合否ごうひは２月にがつ。結果けっか分わからないが、可能かのうになれば、ひょっとしたら（将来しょうらい）違ちがう場所ばしょで会あうかも知しれない。だから、みんなには野球やきゅうを続つづけてほしい」

「その時ときに感かんじたことは、教おしえる側がわの立場たちばも難むずかしいらしいですね。先生せんせいよりも、どうやら生徒せいとのほうが、力ちから関係かんけいが強つよくなってしまっている、というような状況じょうきょうがあるみたいで。

このことに僕ぼくは今いま、心配しんぱいしているというか、どうやって教育きょういくするんだろうと、よく考かんがえることがあります。時代じだいの流ながれなんでしょうけれど、先生せんせいから教おそわる大切たいせつなことはたくさんあります。

謙虚けんきょな気持きもちで受け止うけとめてほしい。

厳きびしく教育きょういくするのが難むずかしくなっているらしい中ちゅう学校がっこう、高校こうこう、大学だいがく。社会しゃかい人じんになる前まえに経験けいけんする時間じかん、そこで自分じぶん自身じしんを自分じぶんで鍛きたえてほしいというふうに今いま、そのことがすごく大事だいじな事ことだと思おもいます。

厳きびしく教おしえることが難むずかしい時代じだいに、じゃあだれが教育きょういくをするのかというと、最終さいしゅう的てきには“自分じぶんで自分じぶんのことを教育きょういくしなくてはいけない”。

そういう時代じだいに入はいってきたんだなというふうに思おもいます。

自分じぶんには厳きびしい先生せんせいがいたので、なかなかそうは思おもえなかった。

今いまはそれが大切たいせつなことと覚おぼえておいていってほしい」

「もう一いち点てん、これも時代じだい。いろんなことが情報じょうほうとしてすぐ頭あたまに入いれられる、すぐ、携帯けいたいでね。スマホなんかで調しらべれば、いろんなことがわかる時代じだいになりました。

世界せかいが何なんとなく小ちいさくなったように思おもえるんだけれども、僕ぼくが27、28の歳としにアメリカに渡わたって大リーグだいり-ぐに挑戦ちょうせんしたわけなんだけれども、外そとに出でて初はじめてわかること、調しらべれば知識ちしきとしてわかることであっても、行おこなってみてはじめて分わかることってたくさんあって、それは、野球やきゅうの狭せまい世界せかいだったんだけれども。

やっぱり外そとに出でて、傷きずつくことだってあるし、楽たのしいことももちろんいっぱいある、勉強べんきょうすることはいっぱいありました。

それを知識ちしきとして持もっておくのではなくて、体験たいけんして感かんじてほしい。

それで自分じぶんなりに解釈かいしゃくして、自分じぶんが育そだった日本にっぽんという国くには素晴すばらしいということを外そとに出でればすごく感かんじると思おもう。

そういう経験けいけんをできれば将来しょうらい、みんなにはしてほしいな、というふうに思おもいます。

今いままであった当たり前あたりまえのものというのは、決けっして当たり前あたりまえではないというふうに気きづく。

価値かち観かんが変かわるような出来事できごとを、みんなに体感たいかんしてほしいというふうに思おもいます。

いつものシーズンメッセージとは違ちがうけれど、28年ねんのプロ生活せいかつを終おえて感かんじていること。覚おぼえてほしい」