平成28年7月、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者が次々と刃物で刺され19人が殺害されたほか、職員を含む26人がけがをするなどした事件では、施設の元職員、植松聖被告(29)が殺人などの罪に問われています。
8日、横浜地方裁判所で開かれた初公判で、被告は殺害などについて認め、「皆様に深くおわびします」と述べたあと、突然、右手の小指をかむような動作をして暴れ、審理が中断しました。
被告は退廷を命じられ午後は法廷にいませんでしたが、2回目の審理となる10日は姿を見せ、開廷の5分ほど前に一礼して法廷に入りました。
被告は黒いスーツに白のシャツを着てネクタイはせず、両手には、みずからを傷つける行為を防ぐための手首まである厚みのある手袋をしていて、弁護士の後ろまで進み席に座りました。
そして裁判長がまず「前回、法廷で秩序に反する行動をしたため退廷命令を出すことになった。そうしたことがないように」と述べたのに対し、被告は「はい。申し訳ありません」と小声で言って少し頭を下げました。
さらに裁判長が、不規則な言動を慎むよう被告に重ねて注意してから検察が申請した書面の証拠の審理が行われました。
被害者については1人をのぞいて個人が特定される情報は伏せて匿名で審理が行われることが決まっているため、検察官は供述調書を読み上げる際、被害者について漢字とアルファベットを組み合わせる形で呼んで詳しい状況を説明しました。
供述調書は被告に拘束され現場にいるよう強いられた職員のもので、被告が襲う相手を選ぶ際に本人が話せるかどうかを確認していたことが明らかにされました。
具体的には「『しゃべれるのか』と男が聞いたので『しゃべれません』と答えました。犠牲者の1人の甲Aさんの布団を男がはがし、中腰で包丁で数回刺しました」とか、「甲Eさんを指して、『しゃべれるか』と聞き、『しゃべれない』と答えたら、刺しました」などと読み上げられました。
また「『しゃべれます』と答えたら男は何もせず、別の部屋へ向かいました」といった部分も読み上げられました。
被告は弁護士の後ろに座り、手をひざの上に置いてじっと前を向いたまま聞いていました。