日本新聞: ユース五輪閉幕持続可能な大会へのヒントは？

ローザンヌなどで開ひらかれていたユースオリンピックは22日にち、閉会へいかい式しきが行おこなわれ、14日間にちかんの大会たいかいに幕まくを閉とじました。この大会たいかいで日本にっぽんは冬ふゆのユースオリンピックで過去かこ最多さいたとなる合あわせて17個このメダルを獲得かくとくしました。ＩＯＣあいお-し-＝国際こくさいオリンピック委員いいん会かいのバッハ会長かいちょうは、大会たいかいを総括そうかつする会見かいけんの中なかで「持続じぞく可能かのう性せいの高たかい大会たいかい運営うんえいのための改革かいかく案あんを実施じっしした質しつの高たかい大会たいかい」と評価ひょうか。ＩＯＣあいお-し-が求もとめる“持続じぞく可能かのうな大会たいかい”の理念りねんを形かたちにした大会たいかいとなりました。

今回こんかいで３さん回かい目めとなる冬ふゆのユースオリンピックは、今月こんげつ９きゅう日にちからスイスのローザンヌなどを会場かいじょうに行おこなわれ、79の国くにと地域ちいきから1800人にん余あまりの選手せんしゅが８やっつの競技きょうぎ合あわせて81種目しゅもくに出場しゅつじょうしました。

大会たいかいは22日にち、すべての競技きょうぎが終了しゅうりょうしローザンヌ市内しないの特設とくせつ会場かいじょうで閉会へいかい式しきが行おこなわれました。

式しきの中なかで、バッハ会長かいちょうは大会たいかいは成功せいこうしたと述のべたあと「大会たいかいを盛り上もりあげた選手せんしゅや、ここに集あつまった皆みなさんをたたえます」と選手せんしゅや観客かんきゃくたちに声こえをかけていました。

そして、オリンピックの旗はたがローザンヌ市長しちょうから４よん年ねん後ごに冬ふゆのユースオリンピックが開催かいさいされる韓国かんこくのカンヌン市しの副ふく市長しちょうに引き継ひきつがれ、最後さいごに会場かいじょうの外そとにある聖火せいかが消けされ、14日間にちかんの大会たいかいは幕まくを閉とじました。

大会たいかいを振り返ふりかえり、金メダルきんめだるを獲得かくとくしたアイスホッケー女子じょしのキャプテン、鎌田かまた美よし南みなみ選手せんしゅは「初はつ出場しゅつじょうで初はつ優勝ゆうしょうを飾かざることができてとてもうれしい。メダルを取とった実感じっかんもわいてきた」と話はなしました。

そして、「大会たいかいでは今後こんごの課題かだいも大おおきく見みえた。これから頑張がんばって、オリンピックに出場しゅつじょうしたい」と気きを引き締ひきしめていました。

また日本にっぽん選手せんしゅ団だんの主将しゅしょうで、カーリングミックス団体だんたいの銀メダルぎんめだる獲得かくとくに貢献こうけんした田畑たはた百ひゃく葉よう選手せんしゅは「長ながいようで短みじかかったが自分じぶんにとって内容ないようの濃こいだった」と話はなしました。

そのうえで、大会たいかいに出場しゅつじょうした意義いぎについて「メダルを獲得かくとくできた以上いじょうに、仲間なかまや人間にんげん性せいの大切たいせつさを知しることができてよかった。ほかの国くにや競技きょうぎが違ちがう選手せんしゅと交流こうりゅうを深ふかめることができた」と話はなしました。

大会たいかい最終さいしゅう日びに女子じょしビッグエアで金メダルきんめだるを獲得かくとくした浅沼あさぬま妃ひ莉選手せんしゅは「自分じぶんのやりたいことをやりきって金メダルきんめだるがとれた最高さいこうの気分きぶんだ。また、ユースオリンピックでさまざまな選手せんしゅたちとも交流こうりゅうが出来できていい経験けいけんになった。次つぎは北京ぺきんオリンピックでメダル獲得かくとくが出来できるようにトレーニングにはげみたい」と笑顔えがおで話はなしていました。

ローザンヌで見みえた“持続じぞく可能かのう”への改革かいかく

ＩＯＣあいお-し-の本部ほんぶがある、まさにおひざ元ひざもとのあるローザンヌなどで開ひらかれた今回こんかいのユースオリンピックは、時代じだいの変化へんかにあわせた大会たいかい運営うんえいの必要ひつよう性せいを訴うったえるＩＯＣあいお-し-の理念りねんを形かたちにした大会たいかいとなりました。

バッハ会長かいちょうは、大会たいかいを総括そうかつする会見かいけんの中なかで「ＩＯＣあいお-し-が求もとめる持続じぞく可能かのう性せいの高たかい大会たいかい運営うんえいのための改革かいかく案あんを実施じっしした質しつの高たかい大会たいかいだ」と評価ひょうかしました。

この発言はつげんの背景はいけいには、多額たがくの開催かいさい費用ひようなどを理由りゆうに招致しょうち活動かつどうの冷え込ひえこみが指摘してきされているオリンピック・パラリンピックをめぐる現状げんじょうがあります。

“費用ひよう削減さくげん”を具現ぐげん化か

ＩＯＣあいお-し-はこれまでに「アジェンダ2020」などで、費用ひよう削減さくげんのための提言ていげんを掲かかげ、大会たいかいの継続けいぞく性せいを担保たんぽしようとしてきました。

提言ていげんでは、既存きそん施設しせつを積極せっきょく的てきに活用かつようすることや、競技きょうぎの一部いちぶを開催かいさい国こくでなくても実施じっしできるようにして開催かいさい地ちの負担ふたんを抑おさえる必要ひつよう性せいがあるとしています。その提言ていげんを具現ぐげん化かしたのが今回こんかいのローザンヌ大会たいかいとなりました。

既存きそん施設しせつの活用かつよう

ほぼすべての競技きょうぎが既存きそんの施設しせつで実施じっしされたほか、スピードスケートは最近さいきんの国際こくさい大会たいかいでは見みることが無なくなった天然てんねんの氷こおりのリンクで行おこなわれました。

日本にっぽん円えんで３さん億おく円えんを超こえる新あらたなリンクの建設けんせつ費用ひようを抑制よくせいし、大会たいかい後ごの維持いじ管理かんりに必要ひつような費用ひようもかからないことなどを、競技きょうぎ会場かいじょうの責任せきにん者しゃはメリットとしてあげています。

選手せんしゅ受け入うけいれは「ウェーブ方式ほうしき」

さらに、選手せんしゅの受け入うけいれに関にかんしては大会たいかいを前半ぜんはんと後半こうはんに分わける「ウェーブ」という考え方かんがえかたを導入どうにゅうしました。

参加さんかする1800人にんあまりの選手せんしゅを前半ぜんはんと後半こうはんで入れ替いれかえることで、新あらたに整備せいびする選手せんしゅ村むらの部屋へやを900人にん分ぶんに抑おさえました。

この選手せんしゅ村むらは、大会たいかい後ご地元じもとのローザンヌ大学だいがくの学生がくせい寮りょうとして利用りようされます。

選手せんしゅや大会たいかい関係かんけい者しゃの輸送ゆそう費用ひように関にかんしても、専用せんようのバスなどは用もちいず、スイス国内こくないの発達はったつした公共こうきょう交通こうつう機関きかんを活用かつようすることで、大幅おおはばに削減さくげんすることに成功せいこうしました。

持続じぞく可能かのうな大会たいかい東京とうきょうは？

今回こんかいのユースオリンピックを通をとおして示しめされたＩＯＣあいお-し-の危機きき感かんと、コスト抑制よくせいのために実施じっしされたさまざまな施策しさくは、今後こんごの大会たいかい運営うんえいの参考さんこうとなるものでした。

もちろん、大会たいかい規模きぼが大おおきく異ことなることから一概いちがいに比較ひかくできませんが、ＩＯＣあいお-し-や大会たいかい関係かんけい者しゃからは、この夏なつの東京とうきょうで世界せかい最高さいこうのスポーツの祭典さいてんを持続じぞく可能かのうな大会たいかいとするために、どのような取り組とりくみがなされるのか、すでに厳きびしい目めが注そそがれています。