日本新闻: 改正バリアフリー法施行地方の駅やバスターミナル整備に課題

改正かいせいバリアフリー法ほうが今月こんげつ1日にちに施行しこうされました。国くにはお年寄としよりや障害しょうがいのある人ひとが円滑えんかつに移動いどうできるよう、対策たいさくが遅おくれている地方ちほうの鉄道てつどうの駅えきやバスターミナルで、エレベーターやスロープの整備せいびなどに力ちからを入いれることにしています。

バリアフリー法ほうは、東京とうきょうオリンピック・パラリンピックのレガシーとしての共生きょうせい社会しゃかいを実現じつげんするとして、ハード対策たいさくに加くわえてソフト対策たいさくも強化きょうかするために改正かいせいされ、今月こんげつ1日にちに施行しこうされました。

ハード面めんでは、都市とし部ぶの大だい規模きぼな施設しせつに比くらべて対応たいおうが遅おくれている、地方ちほうの鉄道てつどうの駅えきやバスターミナルなどのうち1日にち平均へいきんの利用りよう客きゃくが2000人にん以上いじょう3000人にん未満みまんの施設しせつについて、新あらたに自治体じちたいと協議きょうぎしたうえでエレベーターやスロープなどの整備せいびを進すすめるとしています。

また公立こうりつの小中しょうちゅう学校がっこうで校舎こうしゃを新築しんちくする際さいなどに、車くるまいす利用りよう者しゃ用ようのトイレやエレベーターを設置せっちすることが初はじめて義務ぎむづけられました。

ソフト面めんでは、交通こうつう事業じぎょう者しゃにスロープ板ばんの適切てきせつな操作そうさや照明しょうめいの明あかるさの確保かくほなどの基準きじゅんを守まもるよう義務ぎむづけるほか、学校がっこうと連携れんけいして「心こころのバリアフリー」の教育きょういくを行おこなうとしています。

国土こくど交通こうつう省しょうや文部もんぶ科学かがく省しょうは、2025年度ねんどまでの数値すうち目標もくひょうを定さだめ、対応たいおうを進すすめることにしています。

地方ちほうの鉄道てつどう整備せいびに課題かだい

全国ぜんこくの鉄道てつどうの駅えきやバスターミナルなどでは都市とし部ぶを中心ちゅうしんにバリアフリー化かが進すすめられてきましたが、地方ちほうでは対応たいおうの遅おくれが目立めだち、赤字あかじの路線ろせんも多おおい中なかで整備せいびを進すすめていけるか、大おおきな課題かだいとなっています。

国くにはこの10年間ねんかん、1日にち平均へいきん3000人にん以上いじょうが利用りようする鉄道てつどうや、バス、船ふねなどの施設しせつでエレベーターやスロープの整備せいびを重点的じゅうてんてきに進すすめ、鉄道てつどうの駅えきでは、去年きょねん3月つき時点じてんで全国ぜんこく3580か所かしょのうち92％で移動いどうの妨さまたげとなる段差だんさが解消かいしょうされたということです。

一方いっぽう、5885か所かしょある1日にち平均へいきんの利用りよう客きゃくが3000人にん未満みまんの駅えきで段差だんさが解消かいしょうされたのは23％にとどまっています。

静岡しずおか県けん西部せいぶの浜松はままつ市しを走はしる私鉄してつの遠州鉄道えんしゅうてつどうでは、18ある駅えきのうち9つの駅えきで段差だんさが解消かいしょうできていません。

バリアフリー法ほうの改正かいせいに伴ともない、遠州鉄道えんしゅうてつどうは、このうち1日にちの平均へいきん利用りよう客きゃくが2100人にんあまりの「八幡やはた駅えき」で今年度こんねんど、エレベーターを設置せっちすることを決きめました。

利用りよう客きゃくの要望ようぼうを受うけて市しと協議きょうぎを重かさねた結果けっか整備せいびすることになったということで、費用ひようの4億おく円えんのうち3分ぶんの2は国くにと市しからの補助ほじょをあてることにしています。

一方いっぽう、ほかの8つの駅えきでは多額たがくの資金しきんが必要ひつようなことなどが理由りゆうでバリアフリー化かのめどはたっていません。

このうち、繁華はんか街がいにあり、1日にち平均へいきん3100人にんあまりが利用りようする「第だい一いち通とおり駅えき」では、地下ちかに川かわが流ながれているほか、電力でんりょく会社かいしゃのケーブルも埋うまっているため、関係かんけい機関きかんとの協議きょうぎが難航なんこうしているということです。

遠州鉄道えんしゅうてつどう運輸うんゆ事業じぎょう部ぶの諸井もろい宏司ひろし部長ぶちょうは「地方ちほうの公共こうきょう交通こうつう機関きかんは新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで都市とし部ぶ以上いじょうに利用りよう客きゃくが減へり、経営けいえいが厳きびしくなっている。一いち事業じぎょう者しゃとしてバリアフリー化かを進すすめるのは難むずかしいのが現状げんじょうで、行政ぎょうせいの協力きょうりょくが必要ひつようだ。高齢こうれい化かが進すすむ現代げんだいではますますバリアフリーのニーズが高たかまっているので優先ゆうせん順位じゅんいをつけて取り組とりくんでいきたい」と話はなしています。

バリアフリー化か望のぞむ利用りよう者しゃ

エレベーターの設置せっちが決きまった遠州鉄道えんしゅうてつどうの八幡やはた駅えきを通勤つうきんで利用りようする、足あしに障害しょうがいがある浜松はままつ市しの30代だいの男性だんせいは「朝夕あさゆうの混こみ合あう時間じかん帯たいは特とくに階段かいだんの上のぼり下くだりが大変たいへんです。エレベーターが設置せっちされると助たすかります」と話はなしていました。

また福井ふくい県けんから家族かぞくで旅行りょこうに来きて、エレベーターのない第だい一いち通とおり駅えきを利用りようしていた30代だいの女性じょせいは「以前いぜんはエレベーターがなくても困こまりませんでしたが、子こどもを持もつ身みになり、今いまはあると必かならず使つかっています。地方ちほうでもバリアフリーを進すすめてほしいです」と話はなしていました。

都市とし部ぶと地方ちほうに圧倒的あっとうてきな差さが

障害しょうがいのある人ひとたちでつくる団体だんたい「DPI日本にっぽん会議かいぎ」の事務じむ局長きょくちょうで、自身じしんも車くるまいすを利用りようする佐藤さとう聡さとしさんは「地方ちほうはバリアフリー整備せいびが遅おくれていて、都市とし部ぶとは圧倒的あっとうてきな差さがある。鉄道てつどう事業じぎょう者しゃごとに整備せいび計画けいかくを作つくり、着実ちゃくじつに整備せいびを進すすめていく取り組とりくみが必要ひつようだ」と指摘してきしています。

また、今回こんかいの法ほう改正かいせいでは1日にち平均へいきんの利用りよう客きゃくが2000人にん以上いじょうの駅えきなどでバリアフリー化かが進すすめられることになりましたが、自治体じちたいが「基本きほん構想こうそう」を作つくった上うえで、高齢こうれい者しゃや障害しょうがい者しゃの生活せいかつに欠かかせない施設しせつだと位置いちづけることが要件ようけんとなっています。

佐藤さとうさんは「対象たいしょうとなる駅えきがあまり増ふえないことを心配しんぱいしている。自治体じちたいが構想こうそうを作つくるだけでなく、それに沿そって改修かいしゅうを進すすめていくことが必要ひつようだ」としています。

さらに都市とし部ぶを含ふくむ課題かだいとして、「ホームと車両しゃりょうの間まに段差だんさと隙間すきまがあると、車くるまいす利用りよう者しゃは1人にんでは乗り降のりおりができず、駅員えきいんなどにスロープを持もってきてもらうことになる。これがなくなれば1人にんで自由じゆうに利用りようできるので、ぜひ進すすめてほしいと」と話はなしています。

為ため末まつ大だいさん「助たすけ合あうという意識いしき、そしてハードを」

オリンピック3大会たいかいに出場しゅつじょうし、パラスポーツの支援しえんなどを続つづけている元もと陸上りくじょう選手せんしゅの為ため末まつ大だいさんは、地方ちほうでのバリアフリー化かが進すすまない中なか、東京とうきょうオリンピック・パラリンピックを契機けいきにバリアフリー法ほうが改正かいせいされたことについて、「地方ちほうの合宿がっしゅくで車くるまいすの選手せんしゅの移動いどうが大変たいへんだったりする。いろんな改善かいぜんがなされつつも難むずかしい場所ばしょがあり、そのため外そとに出でかけない方ほうが結構けっこういるのではないか。高齢こうれい化か社会しゃかいを迎むかえる中なか、障害しょうがいがある人ひとも、誰だれもが生いきやすいモデルを作つくるのが東京とうきょうオリパラのレガシー、使命しめいだと理解りかいするべきだ」と指摘してきしています。

そのうえでハードの整備せいびにとどまらず意識いしきの変革へんかくが重要じゅうようだとして、「ハードがよくなって出でかけやすくなっても車くるまいすの人ひとにけげんな顔かおをする人ひとが多おおかったら街まちは変かわっていかない。人間にんげんがお互おたがい助け合たすけあうという一いち人にん一いち人にんの意識いしきがあった上うえで、ハードもそれにあわせていくということが大切たいせつだ。意識いしきを変かえるというのは一いち晩ばんを境さかいに変かえることができるので、変かわっていくことが大事だいじだと思おもう」と話はなしていました。