自己負担が3割の場合、初診でおよそ230円、再診でおよそ110円になります。
加算を知った妊婦中の女性が「皮膚科に行ったら妊婦加算がついた、なんで余分にとられるの」とツイートしたところ、リツイートが相次いでネット上で話題になり、さまざまな意見が飛び交うようになりました。
「知らなかった」「事実上の妊婦税では」といった厳しい意見や、「コンタクトレンズの処方箋にも妊婦加算があった」「ここでは無理だから”産婦人科で相談して”と言われたが、診察料と妊婦加算をとられた」など、実際の経験をあげたツイートもありました。
一方、「妊娠中は出せない薬や気をつけることがある。その管理料と思えば損はしていない」といった意見もあり、今もさまざまな意見が投稿されています。
妊婦加算が話題になる中、厚生労働省は今月2日、「妊婦さんへの丁寧な診療を評価する加算です」などと書かれたリーフレットを作り、都道府県などを通じて妊婦加算への理解を進めようとしています。
妊婦加算とは
妊婦加算は去年10月、診療報酬を決める協議会で厚生労働省が提案し、導入が議論されました。
協議会では「妊婦へのきめ細かいケアへの評価を充実させる必要がある」という前向きな意見のほか、「妊婦へのどういう配慮を評価するのか、明確するべきだ」といった慎重な運用を求める意見も出ていて、最終的には「妊娠している人が安心して受診できる環境づくりのため」として導入が決まりました。
妊婦の診察には胎児への影響や流産などの危険を考えて、検査や薬の処方を、より慎重に判断する必要があり、厚生労働省は「丁寧な診察を高く評価するもの」としています。
加算は妊婦が外来を診察する場合、初診、再診を問わずすべての診療科で発生し、どういう配慮をしたら加算できるといった細かい決まりはありません。また妊娠していることが診察後にわかった場合は加算できません。
厚生労働省の担当者は「妊娠を配慮した診察や薬の処方を後押しする効果があり、安心して診察を受けられる体制を整えることにつながる。妊娠した人も気になることはしっかり医師に聞いて、不安を解消してほしい」と話しています。
「医師がちゃんと勉強を」
妊婦加算について、妊娠7か月の女性は「皮膚科にかかった時に加算されましたが、妊婦だから何か変わったとは感じられませんでした。どこまで妊婦のことをわかっているのか不安なところはあります。医師の方たちがちゃんと勉強してくれていればいいと思いますが」と話していました。
「かぜをひいて内科にかかりましたが、”妊娠中はどの薬も影響があるかどうかグレーだから”と言われました。これでは闇雲にお金を足されていると感じるので、もう少し安心や信頼が感じられるようになるといいなと思います」と話していました。
専門家「医師が正面から向き合って」
妊婦加算について、国立成育医療研究センターの母性内科医で、妊娠と薬情報センター長も務める村島温子さんは「加算を納得できるものにするためには、医師がきちんと勉強し、妊婦の診療と正面から向き合ってほしい」と話しています。
村島さんによりますと、産科以外の医師の中には、胎児への影響を心配して妊婦に必要な薬を処方しなかったり、診察を断ったりするケースがあり、妊婦が十分な診療を受けられない課題があるということです。
加算を納得できるものにするためには「産科だけでなくすべての科の医師が、知識を身につけて妊婦の診察に向き合い、元気な赤ちゃんを産む体制をつくっていくべきだ」と話し、医師の側の姿勢が問われていると指摘しています。
また、「最近は妊婦の診察に関わる勉強会に、内科など産科以外の医師の参加が増えるようになってきている。医師の側の意識も少しずつ変わってきていると思う」と話しています。