日本新聞: 国民審査 “在外の日本人が投票できないのは違憲” 最高裁判決

国民こくみん審査しんさ “在外ざいがいの日本人にっぽんじんが投票とうひょうできないのは違憲いけん” 最高裁さいこうさい判決はんけつ

May 25, 2022 16:05 1

Furigana

最高さいこう裁判所さいばんしょの裁判官さいばんかんについて、ふさわしい人ひとか審査しんさする国民こくみん審査しんさに、海外かいがいに住すむ日本人にっぽんじんが投票とうひょうできないことが憲法けんぽう違反いはんかどうかが争あらそわれた裁判さいばんで、最高さいこう裁判所さいばんしょ大だい法廷ほうていは、海外かいがいに住すむ人ひとの投票とうひょうを認みとめていないことは憲法けんぽうに違反いはんするという初はじめての判決はんけつを言い渡いいわたしました。

海外かいがいに住すんでいたため5年ねん前まえの国民こくみん審査しんさで投票とうひょうできなかった日本人にっぽんじんの映画えいが監督かんとくや弁護士べんごしなど5人にんは、「在外ざいがい投票とうひょうができないのは、公務員こうむいんを罷免ひめんできる権利けんりを定さだめた憲法けんぽう15条じょうや国民こくみん審査しんさについて定さだめた79条じょうに違反いはんする」と主張しゅちょうして国くにに賠償ばいしょうなどを求もとめました。

一方いっぽう、国くには「国民こくみん審査しんさは選挙せんきょとは異ことなり、不可欠ふかけつな制度せいどとはいえない。短期間たんきかんに世界中せかいじゅうの国々くにぐにで審査しんさの手続てつづきを行おこなうのが技術ぎじゅつ的てきに難むずかしいという合理ごうり的てきな理由りゆうもある」として、憲法けんぽう違反いはんではないと争あらそっていました。

25日にちの判決はんけつで、最高さいこう裁判所さいばんしょ大だい法廷ほうていの大谷おおや直人なおと裁判さいばん長ちょうは「憲法けんぽうは選挙せんきょ権けんと同様どうように国民こくみん審査しんさの権利けんりを平等びょうどうに保障ほしょうしており、権利けんりを制限せいげんすることは原則げんそくとして許ゆるされない」と指摘してきしました。

そのうえで「海外かいがいで国政こくせい選挙せんきょの投票とうひょうが複数ふくすう回かい行おこなわれていることも踏ふまえると、審査しんさの公正こうせいを確保かくほしつつ、投票とうひょうを可能かのうにするための立法りっぽう措置そちが著いちじるしく困難こんなんとはいえず、立法りっぽう措置そちが何なにもとられていないことにやむをえない事情じじょうがあるとは到底とうていいえない」として海外かいがいでの投票とうひょうを認みとめていない国民こくみん審査しんさ法ほうは憲法けんぽうに違反いはんするという初はじめての判断はんだんを示しめしました。

そして、原告げんこく5人にんのうちいまも海外かいがいに住すむ1人にんについて次回じかいの国民こくみん審査しんさで投票とうひょうを認みとめなければ違法いほうになるとしたほか、5人にんに対にたいして賠償ばいしょうするよう国こくに命めいじました。

15人にんの裁判官さいばんかん全員ぜんいん一致いっちの結論けつろんです。

最高裁さいこうさいが法律ほうりつの規定きていを憲法けんぽう違反いはんと判断はんだんするのは11例れい目めです。

過去かこのケースではすべて法ほう改正かいせいが行おこなわれていて、国くには対応たいおうを迫せまられることになります。

原告げんこく「国会こっかいはこの判決はんけつを受うけてすぐに動うごいて」

判決はんけつを受うけて午後ごご3時半じはんごろ、原告げんこくで映画えいが監督かんとくの想そう田和たわ弘ひろしさんと弁護士べんごしらが、最高さいこう裁判所さいばんしょの前まえで「違憲いけん判決はんけつ」、「在外ざいがい邦人ほうじんに国民こくみん審査しんさ認みとめる」と書かかれた紙かみを掲かかげました。

判決はんけつについて想そう田たさんは「われわれの主張しゅちょうが全面ぜんめん的てきに認みとめられてうれしい。国くにを動うごかしたということで、廷内ないでも小ちいさくガッツポーズしました。国会こっかいはこの判決はんけつを受うけてすぐに動うごいてほしい」と話はなしていました。