地方ちほう鉄道てつどう “JR 輸送ゆそう密度みつど1000人にん未満みまん区間くかん バス転換てんかん含ふくめ協議きょうぎを”

1キロ当あたり一いち日にちに平均へいきん何なん人にんの利用りよう客きゃくを輸送ゆそうしているかを示しめす「※輸送ゆそう密度みつど」。

（※文末ぶんまつに「輸送ゆそう密度みつど」について詳細しょうさい説明せつめいあり）

国鉄こくてつからJRに分割ぶんかつ民営みんえい化かした1987年度ねんど、新幹線しんかんせんを除のぞいた輸送ゆそう密度みつどが「4000人にん未満みまん」の路線ろせんの割合わりあいは、JR6社しゃ全体ぜんたいで36％でした。

それが、人口じんこうの減少げんしょうやマイカー利用りようの増加ぞうかなどで利用りよう客きゃくの減少げんしょうが進すすみ、新型しんがたコロナの感染かんせん拡大かくだい前まえの2019年度ねんどには41％に拡大かくだい。

さらに、感染かんせん拡大かくだい後ごは外出がいしゅつの自粛じしゅくやテレワークの普及ふきゅうなどで移動いどうが抑おさえられ、観光かんこう客きゃくの利用りようも大幅おおはばに落ち込おちこむなどした結果けっか、2020年度ねんどは57％にまで急増きゅうぞうしました。

中なかでも輸送ゆそう密度みつどが「2000人にん未満みまん」の路線ろせんが多おおくを占しめ、

▽1987年度ねんどはJR6社しゃ全体ぜんたいで16％でしたが、

▽2019年度ねんどは30％、

▽2020年度ねんどには39％となっています。

輸送ゆそう密度みつどが「2000人にん未満みまん」になると、鉄道てつどう事業じぎょう者しゃの経営けいえい努力どりょくのみでは利便りべん性せいの高たかい鉄道てつどうサービスを保たもつことが困難こんなんになるとされています。

都市とし部ぶの路線ろせんでも利用りよう客きゃくが減へり、JR東ひがし、西にし、東海とうかいといった経営けいえい体力たいりょくがあるとされてきた事業じぎょう者しゃも赤字あかじに陥おちいり、都市とし部ぶや新しん幹線かんせんで得えた収益しゅうえきで、地方ちほう路線ろせんの赤字あかじを補おぎなうという従来じゅうらいのビジネスモデルが持続じぞくできないおそれも出でてきたのです。

検討けんとう会かいでは、地方ちほう路線ろせんを運行うんこうする鉄道てつどう事業じぎょう者しゃは、運行うんこう本数ほんすうの減げん便びんや駅えきの無人むじん化かといったコスト削減さくげん策さくや投資とうしの抑制よくせいなどで対応たいおうしてきたが、それによって利便りべん性せいが著いちじるしく低下ていかし、さらなる利用りよう者しゃ離ばなれという負まけのスパイラルを起おこしている路線ろせんもあると指摘してきしています。

一方いっぽう、国くにや地方ちほう自治体じちたいについても地方ちほう鉄道てつどうの現状げんじょうを直視ちょくしせずに事業じぎょう者しゃ任まかせにしてきたのではないかと指摘してきしていて、問題もんだいをこれ以上いじょう先送さきおくりせずに、国くにや沿線えんせん自治体じちたい、鉄道てつどう事業じぎょう者しゃが危機きき意識いしきを共有きょうゆうしたうえで、利便りべん性せい、持続じぞく性せいの高たかい公共こうきょう交通こうつうを再さい構築こうちくする必要ひつようがあるとして検討けんとう会かいを設置せっちしました。

＜2月つき14日にち＞

初はつ会合かいごうでは、有識者ゆうしきしゃから「単たんに『鉄道てつどうを残のこす』ということではなく、地域ちいきの利便りべん性せいを高たかめることが重要じゅうようだ」とか「乗客じょうきゃくが減へっていて、このままの形かたちで鉄道てつどうを維持いじすることは非常ひじょうに難むずかしい」といった意見いけんが出だされました。

＜3月つき3日にち＞

2回かい目めの検討けんとう会かいでは、赤字あかじ経営けいえいの続つづく鉄道てつどうが通とおる自治体じちたいへのヒアリングが行おこなわれ、この中なかで、広島ひろしま県けんの湯崎ゆざき知事ちじは「一部いちぶのローカル線せんの収支しゅうしのみを問題もんだい視しすることは地方ちほうの切り捨きりすてに直結ちょっけつする。新幹線しんかんせんや特急とっきゅうで訪おとずれる観光かんこう客きゃくを中ちゅう山間さんかん地ちに呼び込よびこむためにはすべての路線ろせんを維持いじすることが重要じゅうようだ」などと主張しゅちょうしました。

こうした中なか、JR西日本にしにほんは、ことし4月つき11日にち、人口じんこう減少げんしょうに加くわえ、コロナ禍かで利用りよう者しゃが特とくに少すくなくなっている地方ちほう路線ろせんの30の線区せんくについて個別こべつの収支しゅうしを初はじめて公表こうひょうしました。

30の線区せんく、すべてで赤字あかじとなっていて、会社かいしゃは、バス路線ろせんへの転換てんかんなども含ふくめ沿線えんせん自治体じちたいなどと今後こんごのあり方ありかたの議論ぎろんを進すすめたいとしました。

＜4月つき18日にち＞

このあと3回かい目めの検討けんとう会かいでは、有識者ゆうしきしゃから、地方ちほうの赤字あかじ路線ろせんについてこれまで議論ぎろんを避さけてきたとして「今回こんかい議論ぎろんしなければ鉄道てつどうが大変たいへんなことになる」、「路線ろせんをこのまますべて残のこすことは次つぎの世代せだいに無む責任せきにんになる」といった意見いけんが上あがりました。

そのうえで、有識者ゆうしきしゃからは鉄道てつどう事業じぎょう者しゃ側がわが厳きびしい経営けいえい事情じじょうを示しめしたうえで、沿線えんせん自治体じちたい側がわからも地域ちいきでの鉄道てつどうの必要ひつよう性せいについて丁寧ていねいに意見いけんを聞き取ききとり、路線ろせんを維持いじすべきか、廃はい線せんやバスなどへの転換てんかんを図はかるべきか、議論ぎろんしていくべきだという意見いけんが出だされました。

＜5月つき13日にち＞

そして前回ぜんかい、4回かい目めの検討けんとう会かいでは、有識者ゆうしきしゃから鉄道てつどう路線ろせんの維持いじについて「なぜ地域ちいきに鉄道てつどうが必要ひつようか」理由りゆうを明確めいかくにできるかどうかが今後こんごの論点ろんてんになるという認識にんしきが示しめされ、事業じぎょう者しゃと自治体じちたいの双方そうほうが問題もんだい意識いしきを共有きょうゆうして協議きょうぎしていくためにも、国くにが積極せっきょく的てきに関かかわっていくべきだとする意見いけんが出だされました。

輸送ゆそう密度みつどは、鉄道てつどうの利用りよう状況じょうきょうを表あらわすデータで、1キロメートル当あたり、一いち日にちに平均へいきん何なん人にんの乗客じょうきゃくを運はこんだかを示しめします。

同おなじ路線ろせんでも長ながい区間くかんを乗のる人ひともいれば、短みじかい区間くかんしか乗のらない人ひともいることから、すべての乗客じょうきゃくが乗のった距離きょりを足たし1キロ当あたり何なん人にんが乗車じょうしゃしたかを計算けいさんします。

例たとえば、総そう延長えんちょう5キロの路線ろせんを10人にんの乗客じょうきゃくが利用りようする場合ばあい、一いち日にちだけで考かんがえると、

（１いち）全員ぜんいんが始点してんから終点しゅうてんまでの5キロの区間くかんを乗車じょうしゃすると、10人にんが乗車じょうしゃした距離きょりは合あわせて50キロとなり、1キロ当あたりの輸送ゆそう密度みつどは「10人にん」となります。

（2）一方いっぽう、5人にんが始点してんから終点しゅうてんまでの5キロ、ほかの5人にんが1キロの区間くかんしか乗車じょうしゃしなかった場合ばあい、10人にんが乗車じょうしゃした距離きょりは合あわせて30キロとなり、1キロ当あたりの輸送ゆそう密度みつどは「6人にん」となります。

実際じっさいに輸送ゆそう密度みつどを算出さんしゅつする場合ばあいは、1年間ねんかんに客きゃくが乗のった区間くかんをすべて足たした距離きょりを、総そう延長えんちょうの距離きょりで割わり、さらに1年間ねんかんの営業えいぎょう日数にっすうで割わります。

路線ろせんの長ながさや列車れっしゃの運行うんこう本数ほんすうが違ちがっても同おなじ尺度しゃくどで比較ひかくでき、過去かこ、旧きゅう国鉄こくてつの民営みんえい化かの際さいには「4000人にん未満みまん」がバス転換てんかんの目安めやすの1つとされました。

また、輸送ゆそう密度みつどが「2000人にん未満みまん」になると、利益りえきを上あげることが非常ひじょうに難むずかしいとされています。