日本新聞: 長崎の離島五島市消防署署員の4割近く“パワハラ被害”

長崎ながさきの離島りとう五島ごしま市し消防しょうぼう署しょ署員しょいんの4割わり近ちかく“パワハラ被害ひがい”

Oct 18, 2023 05:10 6

Furigana

長崎ながさき県けんの離島りとう、五島ごしま市しで唯一ゆいいつの消防しょうぼう署しょが、全ぜん署員しょいんを対象たいしょうにハラスメントに関にかんするアンケート調査ちょうさを行おこなった結果けっか、4割わり近ちかくがパワーハラスメントの被害ひがいを受うけたと回答かいとうしていたことが分わかりました。専門せんもん家かは「小規模しょうきぼなコミュニティーではパワハラ対策たいさくは不十分ふじゅうぶんになりがちで、価値かち観かんを変かえていく必要ひつようがある」と指摘してきしています。

長崎ながさき県けんの離島りとうにある五島ごしま市し消防しょうぼう署しょでは、ハラスメントの訴うったえが寄よせられたのをきっかけにことし5月つき、全ぜん署員しょいん75人にんを対象たいしょうにアンケート調査ちょうさを実施じっしし、NHKは情報じょうほう公開こうかい請求せいきゅうで調査ちょうさ結果けっかを入手にゅうしゅしました。

それによりますと、職場しょくばでのパワハラの経験けいけんを複数ふくすう回答かいとうで尋たずねたところ、

▽「被害ひがいにあった」と回答かいとうした人ひとは29人にんと全体ぜんたいの38％余あまりに上のぼりました。

このほか、パワハラについて

▽「見聞みききしたことがある」が50人にん、

▽「したことがある」が6人にんとなりました。

また、パワハラの内容ないようを尋たずねたところ、

▽あいさつしても無視むしされるなど「人間にんげん関係かんけいからの切り離きりはなし」が36人にん、

▽ミスを大声おおごえで叱責しっせきされるなど「精神せいしん的てきな攻撃こうげき」が30人にん、

▽殴なぐられるなど「身体しんたい的てきな攻撃こうげき」が19人にんとなっています。

さらに、自由じゆう記述きじゅつでは、

▽「組織そしき全体ぜんたいがハラスメントへの理解りかいが足たりない」、

▽「相談そうだんしてもプライバシーが守まもられない」、

▽「若手わかて職員しょくいんが萎縮いしゅくしている」など組織そしき全体ぜんたいの問題もんだいを指摘してきする声こえが寄よせられました。

調査ちょうさ結果けっかについて五島ごしま市し消防しょうぼう本部ほんぶの出口いでぐち宰おさむ一いち消防しょうぼう長ちょうは「ハラスメントに鈍感どんかんだった意識いしきを強つよく変かえていく必要ひつようがある。早はやめに被害ひがい者しゃの声こえを拾い上ひろいあげて問題もんだいに対処たいしょしていきたい」と話はなしています。

パワハラ問題もんだいに詳くわしい長崎ながさき県けん弁護士べんごし会かいの原はら幸生さちお弁護士べんごしは「被害ひがいが4割わり程度ていどというのは許ゆるされず、ゼロに近ちかづける努力どりょくをしなければならない。小規模しょうきぼなコミュニティーではパワハラ対策たいさくは不十分ふじゅうぶんになりがちという調査ちょうさもあり、価値かち観かんを変かえていくことが必要ひつようだ」と話はなしています。

「ハラスメントは日常にちじょう的てき」

五島ごしま市し消防しょうぼう署しょに勤務きんむする現役げんえきの職員しょくいんが匿名とくめいを条件じょうけんにNHKの取材しゅざいに応おうじました。

職員しょくいんは署しょ内ないの現状げんじょうについて「ハラスメントは日常にちじょう的てきで、私わたし自身じしんは休日きゅうじつを取得しゅとくできなかったり、『ばかが』と言いった暴言ぼうげんを受うけたりしています。今回こんかい、明あきらかになったのは氷山ひょうざんの一角いっかくで、あまりに認識にんしきの低ひくい職場しょくばだと思おもいます」と語かたりました。

さらに、離島りとう特有とくゆうの事情じじょうもあるとして「親おや、兄弟きょうだいなどが多おおく勤務きんむしている職場しょくば環境かんきょうなので秘密ひみつが守まもられない。うわさになる、犯人はんにんを捜さがすといったことが横行おうこうしている職場しょくばで、誰だれにも相談そうだんできない」と述のべました。

また「上司じょうしを信頼しんらいできないと現場げんば活動かつどうもうまくいかず、人命じんめい救助きゅうじょという命いのちに関かかわる職業しょくぎょうで能力のうりょくを発揮はっきできなくなる」として、日常にちじょうの業務ぎょうむへの影響えいきょうにも言及げんきゅうしたうえで、「アンケート結果けっかを重おもく受け止うけとめて、ハラスメント行為こういにしっかりと対応たいおうしていただきたい」と訴うったえていました。