県によりますと、府中町本町3丁目付近にある寺山橋に、上流から流れてきた土砂や流木が橋や橋脚にひっかかって堆積し、川の水がせきとめられてあふれ出しているのが確認されたということです。
あふれ出した水は周辺の住宅地に流れ込み、町は周辺の1万377世帯、2万3516人に避難指示を出して、町内の2か所の避難所などに速やかに避難するよう呼びかけています。
川の周辺には小学校や幼稚園などがあり、幼稚園では園児と職員を避難させているということです。
町によりますと、複数の住宅が浸水しているのが確認されていますが、これまでのところけが人などの情報は入っていないということです。
府中町の住宅地を流れる榎川は、1級河川の太田川の支流にあたる全長4.8キロの県が管理する河川です。
県によりますと、10日午前、県の職員が榎川で土砂を含んだ大量の水が突然流れてきたのを確認し、その後、上流にある「砂防えん堤」と呼ばれる土砂の量を調整する施設を土石流が乗り越えているのを確認したということです。
県は「砂防えん堤」のさらに上流で土石流が発生した可能性があるとみて、詳しい原因を調べるとともに新たな土石流が発生する危険がないか調べています。
また、県では土砂や流木の撤去作業を急ぐとともに、住宅地に流れ込んだ水をポンプで排水する作業を進めることにしています。
川に流木詰まり泥水が町に
NHKのヘリコプターから撮影した映像では、榎川では川の橋に流木が大量に詰まっていて、そこから泥水があふれている様子が確認できます。
あふれた泥水は住宅街の道路などを伝って広まっています。
近くの幼稚園から園児と職員が避難
府中町の榎川のすぐそばにある幼稚園では、川が氾濫したため、現在、園児と職員を避難させているということです。
ネット上に投稿相次ぐ「榎川が氾濫」
インターネット上には府中町の榎川から水があふれているという内容の投稿が相次いでいます。ツイッターの投稿では、「町内放送で榎川が氾濫したから、高台へ逃げろと放送している」などの書き込みがみられます。
上流で大量の土石流
榎川を管理する広島県によりますと、10日午前11時すぎ、川の上流部にある「砂防えん堤」と呼ばれる土砂の量を調整する施設を、大量の土石流が乗り越える様子を県の職員が確認したということです。
広島県は「砂防えん堤」のさらに上流部で土砂崩れが発生した可能性もあるとみて、詳しい原因を調べることにしています。
住宅街が広範に浸水 ボートで住民避難
府中町では、防災行政無線でサイレンを鳴らしながら高台に避難するよう呼びかけを続けています。
あふれ出した川の水で住宅街の広い範囲が浸水し、消防隊員が腰の深さまで水につかりながらゴムボートをひいて住民を避難させていました。
土砂や流木がたまった橋の近くでは、重機を使って撤去する作業が進められています。
近くに住む71歳の男性は「20年ほど住んでいますが、榎川が氾濫したのは私が知るかぎり初めてです。もう雨も上がったと思っていましたが、こんなことになり驚いています」と話していました。
川沿いの小学校 全校児童が2階3階に避難
榎川沿いにある府中町立府中小学校の校長によりますと、10日は通常どおりの授業を行っていましたが、地域住民から「榎川が氾濫した」という情報が寄せられたため、全校児童を急いで校舎の2階と3階に避難させたということです。
また敷地の周囲に土のうを積み上げたため、校庭や建物に水は入ってきていないということです。
榎川 全長4.8キロ 住宅街など流れる
広島県などによりますと、榎川は1級河川の太田川の支流にあたる県が管理する河川です。
全長は4.8キロで、府中町の住宅地などを流れています。
雨無くても川の増水氾濫に注意
西日本を中心とした記録的な豪雨の被災地では、雨が降っていなくても、引き続き川の急な増水や氾濫、土砂災害に十分な注意が必要です。
被災地によっては被害が広域にわたっているため、今も復旧作業が進んでおらず、川や谷筋に今も大量の土砂や流木が堆積しているとみられ、一部では、川がせき止められたような状態になっているところもあります。
こうした川や谷筋では、現在雨が降っていなくても、これまでにたまった水が越流したり、流木と土砂とともに急に流れ下ったりすることがあります。
「砂防えん堤」などの設備があっても、記録的な豪雨によって流木や土砂が堆積し、機能が低下しているおそれがあり、引き続き急な川の増水や氾濫、土砂災害に十分な注意が必要です。