新型コロナウイルスの
感染拡大で
全国に
緊急事態宣言が
出される
中、
国立情報学研究所などの
グループが
携帯電話の
データを
基に
全国各地で
外出が
どれだけ
自粛されているかを
推計した
結果、
地域によって
大きな差が
あることが
分かりました。
これは、
国立情報学研究所やキヤノングローバル
戦略研究所などの
グループが、
NTTドコモの
携帯電話の
基地局の
情報をプライバシーを
保護したうえで
分析したものです。
グループでは、住宅が多い地域の昼と夜の人口の差からどれだけ外出したかを500メートル四方の精度で推計し、ことし1月の平均値と比較することで、「自粛率」を算出しました。
その結果、今月16日に全国に緊急事態宣言が出されてから最初の日曜日となった19日について、都道府県別に見てみますと、自粛率は東京都が最も高く58%、次いで神奈川県が55%、大阪府が51%などとなりました。
一方で、宮崎県は32%、鹿児島県の33%となり、地域によって差があることが分かりました。
また、平日について見てみますと、20日の自粛率は東京都が53%、神奈川県が48%、千葉県が42%などと都市部では比較的、高くなりましたが、7割以上に当たる34の道と県では10%台から20%台にとどまるなど、休日に比べて地域間で差が大きくなる傾向が見られました。
グループによりますと、都市部では在宅勤務などが進む一方で、地方ではまだ十分に対策が進んでいない可能性があるということです。
分析を行った国立情報学研究所の水野貴之准教授は「主要な繁華街の人出は減ったが、外出自体は多いとも指摘されている。住民の意識や行動を変えて、人との接触を8割減らすために正確な自粛の状況を把握する指標としてほしい」と話しています。
政府・行政の対応に合わせ自粛率変動
今回の分析からは、政府や行政の対応に合わせて自粛率が大きく変動していることが分かりました。
東京都では、2月29日に政府による臨時休校の要請が出されました。
前日の自粛率は6%でしたが、2月29日は14%、そして3月1日の日曜日は21%と一気に高くなりました。
しかし、花見の時期と3連休が重なった3月20日と21日には6%から9%程度に低下し、ふだんと変わらない外出の状況になっていたとみられることが分かりました。
また、政府が東京を含む7つの都府県に緊急事態宣言を出した今月7日以降、自粛率は急速に上がり、緊急事態宣言が全国に拡大された今月16日以降で初めての週末となった18日の土曜日には63%まで高まりました。
感染者多い自治体ほど自粛率高く
グループによりますと今回の分析からは、東京や神奈川、大阪など、感染者の数が多い自治体ほど自粛率は高くなる傾向があることが分かったということです。
このうち例えば北海道では、新たな感染者数が増え独自の緊急事態宣言が出された直後の日曜日となった3月1日、自粛率はおよそ37%に上がりました。
しかし、新たな感染者数が減少傾向になっていた3月29日の日曜日は自粛率は18%に下がり、4月に入って再び感染者が増え始めると自粛率も上昇し、4月19日の日曜日は35%となりました。
分析を行った国立情報学研究所の水野貴之准教授は、「人々は直近の感染者の数に敏感に反応する一方、過去の感染状況を忘れやすい。自粛の効果を高めるには、感染者の正確な数をしっかり伝えていく必要がある」と指摘しています。