「すべての嫌疑で私は無実」
公開された動画の中でゴーン前会長は「私にかけられているすべての嫌疑について、私は無実です。そして、それらの嫌疑に基づいて、私に対してなされている非難についてもまた事実無根です。それらの非難はすべて、私を強欲な人物、あるいは独裁的な人物として塗り固めるためになされたものです。それらは文脈から切り離されたり、偏見に基づいてゆがめられたものです。108日もの期間を拘置所で過ごしたにもかかわらず、私は常に無実であるという一貫した立場です」と述べ、改めて無実を主張しました。
「日本や日産に対する愛情は変わらない」
「日本に対する私の愛情、日産に対する私の愛情というものは、私が今、経験している厳しい試練を経たあとであっても、少しも変わることはありません。日産の仲間たちとともに、日本経済、そして日本企業の経営の在り方にも貢献してきました。これらのすべてのことは、この数か月を経験したあとであっても依然として、私にとって何ものにも代えがたい記憶であり、大切な財産です」と述べました。
「起きていることは陰謀」
「今、起きていることが『陰謀』だということです。これは単に事件ということではありません。言われているような『強欲』『独裁』などという話でもありません。これは、『陰謀』、『謀略』、『中傷』ということです。」と述べました。
「ある人たちには確かな脅威を与えた」
陰謀だとする理由について「何よりもまず、『おそれ』があったということです。アライアンスの次のステップ、統合、すなわち合併に向けて進むということが、ある人たちには確かな脅威を与え、それがゆくゆくは日産の独立性を脅かすかもしれないとおそれたのです」と述べました。
そのうえで「私はこれまで日産の独立性を最も強力に守ってきました。将来、『次のステップ』がどのような形に展開しても、日産の独立性は保ち続けるということを明確にしてきました。当然、こうした独立性というものは、業績に支えられたものでなければなりません。独立性をえること自体が、目的となることはありえません」と述べました。
「日産の数名の幹部が会社価値を毀損」
「日産の業績が振るわず、大きく低下しています。この2年で3回の業績の修正があり、何度も不祥事(検査問題)がありました。起きた問題への対処のしかたが会社の信頼を損なっているのです。これは日産の現経営陣に問題があったということです」と述べました。
そして「日産の数名の幹部が、自分たちの利益のために自分勝手なおそれをいだき、会社の価値を毀損している」としたうえで、「今回の汚いたくらみを実現させるべく、仕掛けた多くの名前を挙げることができます。真相や事実が明らかになることを願っています」と述べました。
「現経営幹部にビジョンない」
「一体誰が、日産のかじ取りしてくれるのか、ブランドを守っているのか、企業価値を守っているのか、株主の利益を守っているのか。株価の下落と業績の低下を目にしながらも、幹部たちは、あれはしない、これはしないと言って、それと同時に、今後、何をするのかも言わず、未来のビジョンもなく、日産の業績を向上させるためのビジョンもなく、アライアンスの将来をより強化するためのビジョンもなく、みずからを誇っている現経営幹部たち。それを見ることは非常に悲しいことです。私にとっては本当にうんざりさせられることです」と述べ、日産の経営陣を批判しました。
そのうえで、「19年から20年もの年月をかけて、これらとは真逆のこと、つまり企業価値を創造し、ブランドを強化してきた人間にとって、今のように頽廃して、無頓着になっているのを目にすることは本当につらいものです」と述べました。
「業績低下が心配」
「私は心配です。明らかに日産の業績が低下していることを心配しています。さらには、アライアンスを構築するためのビジョンがあるとは思えないので、心配しています。率直に言って、テーブルを囲んでコンセンサスで意思決定をしていくということは、自動車業界ほど競争の激しい産業においては、何らのビジョンをも生み出しません。将来像を見せなければなりません。これから未来に向けて私たち(日産やアライアンス)の役割は何なのかについて、明確にする必要があります」と述べました。
「独裁ではなくリーダーシップ」
「リーダーシップというものは、会社にとってよいことのために発揮されるものであって、(コンセンサスによる)妥協の産物を目指すものではありません。これは『独裁』などではなく、『リーダーシップ』なのです。コンセンサスか独裁か、この2つの選択肢しかないと考えている人は「リーダーシップ」の本質を理解していません。アライアンスや日産ほどに複雑かつ、巨大な組織のトップだった者として、これはとても悲しいことです」と述べました。
「公正な裁判を 私の無実を証明したい」
「私が最も強く望むことは、公正な裁判を受けることです。私は幸いにして、この訴訟で3人の有能な弁護士に弁護してもらうことができますが、彼らからは裁判の公正性についての安心材料は提供してもらえていません。今回の裁判において、公正性を保証するために必要とされる具体的な条件について、3人の弁護士に説明してもらいます。この裁判で私の無実を証明したいとせつに願っています」と述べました。