ノートルダム大だい聖堂せいどう火災かさい 仏ふつ大統領だいとうりょう「５ご年ねん以内いないに再建さいけんさせる」

火災かさいを受うけて、フランスのマクロン大統領だいとうりょうは日本にっぽん時間じかんの17日にち未明みめい、国民こくみん向むけにテレビ演説えんぜつを行おこない、「今回こんかいの悲劇ひげきを国民こくみんが結束けっそくする機会きかいにできるかどうかは、われわれ自身じしんにかかっている」と強調きょうちょうしました。

そのうえで「大だい聖堂せいどうをこれまで以上いじょうに美うつくしく再建さいけんさせる。５ご年ねん以内いないに成し遂なしとげたい」と訴うったえ、再建さいけんに向むけて国民こくみんに協力きょうりょくを呼よびかけました。

再建さいけんには少すくなくとも数すう億おくユーロ（数すう百ひゃく億おく円えん）かかるとされていますが、フランスでは企業きぎょうのトップや自治体じちたいが巨額きょがくの寄付きふを相次あいついで発表はっぴょうし、ＡＦＰえいえふぴ-通信つうしんによりますと、これまでの寄付きふ金きんの総額そうがくは７なな億おく5000万まんユーロ（およそ950億おく円えん）となっていて、支援しえんの動うごきが広ひろがっています。

一方いっぽう、火災かさいの原因げんいんについて、検察けんさつは過失かしつによる出火しゅっかの疑うたがいで捜査そうさを進すすめていて、大だい聖堂せいどうで去年きょねん夏なつから行おこなわれていた修復しゅうふく工事こうじとの関連かんれんを調しらべているものとみられます。

ただ、出火しゅっか場所ばしょとされる大だい聖堂せいどうの屋根やねの部分ぶぶんは焼け落やけおちていて、原因げんいん究明きゅうめいに向むけた捜査そうさが難航なんこうすることも予想よそうされます。

アメリカでも寄付きふの動うごき相次あいつぐ

ノートルダム大だい聖堂せいどうの再建さいけんに向むけて、アメリカでも寄付きふの動うごきが出で始はじめています。

このうち、大手おおてＩあいＴてぃ-企業きぎょう、アップルのティム・クックＣＥＯは16日にち、ツイッターに、ノートルダム大だい聖堂せいどうが多おおくの人ひとにとって希望きぼうの象徴しょうちょうだとしたうえで、「大だい聖堂せいどうを再建さいけんし、貴重きちょうな遺産いさんを後世こうせいに残のこすために、会社かいしゃとして寄付きふをする」と書き込かきこみました。ただ、具体ぐたい的てきな金額きんがくは示しめしていません。

また、アメリカの大手おおて投資とうしファンド、ＫＫＲの創業そうぎょう者しゃの１いち人にん、ヘンリー・クラビス氏しは、夫人ふじんとともに1000万まんドル（11億おく円えん余あまり）を寄付きふすると発表はっぴょうしました。

一方いっぽう、中西部ちゅうせいぶインディアナ州しゅうにあるカトリック系けいのノートルダム大学だいがくは、10万まんドル（およそ1100万まん円えん）を寄付きふすることを明あきらかにしました。

パリの発展はってんとともに刻きざんだ歴史れきし

火災かさいに遭あったノートルダム大だい聖堂せいどうは、パリの発展はってんとともに歴史れきしを刻きざんできました。

建設けんせつが行おこなわれた12世紀せいきから14世紀せいきにかけては、フランス王家おうけが次々つぎつぎと領土りょうどを拡大かくだいした時代じだいで、色いろ鮮あざやかなステンドグラスの窓まどや、高たかさおよそ70メートルの２ふたつの塔とうを持もつ巨大きょだいな大だい聖堂せいどうは、フランスの豊ゆたかさや経済けいざい力りょくを象徴しょうちょうするものとなりました。

大だい聖堂せいどうではさまざまな儀式ぎしきが行おこなわれ、15世紀せいきにはイギリスとの百ひゃく年ねん戦争せんそうでフランス軍ぐんを率ひきいた「救国きゅうこくの少女しょうじょ」、ジャンヌ・ダルクじゃんぬだるくによる勝利しょうりを祝いわう式典しきてんが開ひらかれました。

また、歴代れきだいの王族おうぞくの結婚式けっこんしきも開ひらかれ、その際さいには重要じゅうような行事ぎょうじに使用しようがかぎられた鐘かねも鳴ならされ、その音おとはパリ中ちゅうに響ひびきわたったといいます。

しかし、18世紀せいき後半こうはんのフランス革命かくめいでは破壊はかいや略奪りゃくだつの対象たいしょうとなり、彫像ちょうぞうが破壊はかいされたり、所蔵しょぞう品ひんが盗ぬすまれたりする被害ひがいに遭あいました。

19世紀せいきに入はいると、一時いちじヨーロッパの大半たいはんを勢力せいりょく下かに置おいた皇帝こうていナポレオン１いち世せいの戴冠たいかん式しき（たいかんしき）が行おこなわれたほか、大だい聖堂せいどうを舞台ぶたいにしたヴィクトル・ユゴーの小説しょうせつ、「ノートルダム・ド・パリ」がベストセラーとなって、国民こくみんの関心かんしんが高たかまり、大だい規模きぼな修復しゅうふくが行おこなわれました。

20世紀せいきでは第だい２に次じ世界せかい大戦たいせんで、ドイツ軍ぐんに占領せんりょうされていたパリの解放かいほうを祝いわう式典しきてんが開ひらかれたほか、戦後せんごは2001年ねんにアメリカで起おきた同時どうじ多発たはつテロ事件じけんや、2011年ねんの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいなど、世界せかい各地かくちの事件じけんや災害さいがいの犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうする式典しきてんも開ひらかれています。

パイプオルガンに損傷そんしょう

大だい規模きぼな火災かさいが起おきたノートルダム大だい聖堂せいどうには、建物たてものの内部ないぶにも聖堂せいどうを彩いろどる貴重きちょうな物品ぶっぴんが数多かずおおくあり、フランス政府せいふは16日にち、聖堂せいどうの入り口いりくちなどから、その状態じょうたいについて確認かくにんしました。

その結果けっか、聖堂せいどうの正面しょうめん西側にしがわと南北なんぼくの３さん方面ほうめんを彩いろどっていた、「バラ窓まど」と呼よばれる巨大きょだいな円形えんけいのステンドグラスは、いずれも無事ぶじだったということです。

また、聖堂せいどうの奥おくに位置いちし、祭壇さいだんの後うしろに飾かざられていた、キリストを抱いだく聖母せいぼマリアの像ぞう「ピエタ像ぞう」も難なんを逃のがれたということです。

しかし、聖堂せいどうの正面しょうめん入り口いりくちの真上まうえにあり、およそ8000本ほんのパイプをもつ巨大きょだいなパイプオルガンは、がれきや消火しょうか活動かつどうの水みずによって、損傷そんしょうを受うけたことが確認かくにんされました。

聖堂せいどうの内部ないぶは依然いぜんとして一部いちぶで崩落ほうらくの危険きけんがあるとして、立ち入たちいりできなくなっていて、フランス政府せいふは今後こんご、必要ひつような補強ほきょうを行おこなったうえで、詳細しょうさいな確認かくにんを進すすめたいとしています。

おんどり姿すがたの銅像どうぞうを発見はっけん

ノートルダム大だい聖堂せいどうの火災かさいで、焼け落やけおちた高たかさ90メートル余あまりのせん塔せんとうの一番いちばん上じょうの部分ぶぶんに飾かざられ、一時いちじ、失うしなわれたとみられていた、おんどりの姿すがたをした銅像どうぞうが無事ぶじ、発見はっけんされました。

これはフランスの建設けんせつ業ぎょう団体だんたいの会長かいちょうが16日にち夜よる、ツイッターで明あきらかにしたもので、この団体だんたいに所属しょぞくするメンバーによって、がれきの中なかから発見はっけんされたということです。

ツイッターに投稿とうこうされた写真しゃしんには、この会長かいちょうが銅像どうぞうを抱かかえた姿すがたが写うつっていて、「信しんじられないことだ！ありがとう」などと、喜よろこびのコメントを寄よせています。

この銅像どうぞうの内部ないぶには、イエス・キリストなどにゆかりのあるキリスト教きりすときょうの聖きよし遺物いぶつがおさめられていたことから、建物たてものや市民しみんを守まもる願ねがいも込こめられていたということです。

地元じもとの新聞しんぶんによりますと、フランス政府せいふは、この銅像どうぞうが本物ほんものと確認かくにんしたとしていますが、内部ないぶの聖きよし遺物いぶつが無事ぶじかどうかはまだ分わからないと報ほうじています。