日本新聞: 南鳥島でスペイン語の手紙入ったボトル太平洋を10年余漂流か

南鳥島みなみとりしまでスペイン語ごの手紙てがみ入はいったボトル太平洋たいへいようを10年余ねんよ漂流ひょうりゅうか

May 17, 2019 17:05

Furigana

日本にっぽんで最もっとも東ひがしにある小笠原おがさわら諸島しょとうの南鳥島みなみとりしまの海岸かいがんで、今月こんげつ、スペイン語ごで書かかれた手紙てがみの入はいったボトルが見みつかりました。国土こくど交通こうつう省しょうは、手紙てがみの日付ひづけなどからボトルは海外かいがいから流ながされ太平洋たいへいようを10年ねん余あまり漂流ひょうりゅうして島しまに流れ着ながれついたとみられるとしています。国土こくど交通こうつう省しょうによりますと、今月こんげつ７なな日にち、南鳥島みなみとりしまに駐在ちゅうざいする職員しょくいんが海岸かいがんの巡視じゅんしをしていたところ、高たかさおよそ20センチのガラスのボトルが見みつかりました。

中なかには、スペイン語ごで書かかれた手紙てがみ１いち枚まいが入はいっていて、「2009年ねんに向むけての決意けつい」として、「仕事しごとの成功せいこう」や「心こころの平和へいわ」、それに「子こどもたちとの調和ちょうわがとれたすてきな関係かんけい」などさまざまな願ねがいがつづられています。

そして最後さいごに女性じょせいの名前なまえとみられる署名しょめいとともに「2008年ねん12月つき31日にち」の日付ひづけが記しるされています。

国土こくど交通こうつう省しょうは、手紙てがみの日付ひづけや内容ないよう、それに海流かいりゅうから、ボトルは中南米ちゅうなんべいやアメリカの西にし海岸かいがんのスペイン語ごが話はなされている地域ちいきから流ながされたあと、太平洋たいへいようを10年ねん余あまり漂流ひょうりゅうし、赤道あかみち付近ふきんの海流かいりゅうや黒潮くろしおに乗のって南鳥島みなみとりしまに流れ着ながれついたとみられるとしています。

南鳥島みなみとりしまは東京とうきょうの南東なんとうにおよそ1950キロ離はなれた日本にっぽんで最もっとも東ひがしにある島しまで、港湾こうわんの維持いじ管理かんりや警備けいびなどのため国土こくど交通こうつう省しょうや海上かいじょう自衛隊じえいたい、それに気象庁きしょうちょうのおよそ25人にんが駐在ちゅうざいしています。

国交こっこう省しょう職員しょくいん「奇跡きせき的てきな事実じじつを伝つたえたい」

南鳥島みなみとりしまに駐在ちゅうざいする国土こくど交通こうつう省しょうの職員しょくいんによりますと、ボトルは、下したが３さん分ぶんの１いちほど砂すなに埋うまった状態じょうたいで見みつかり、中なかには上下じょうげに半分はんぶんに折おった状態じょうたいの手紙てがみが丸まるまって入はいっていたということです。

この職員しょくいんは、「奇跡きせきだと思おもっています。瓶びんだから途中とちゅうで割われることもあるし、ほかの所ところに届とどくこともあると思おもうし、ロマンを感かんじます」と話はなしています。

そのうえで、「10年ねん前まえにお願おねがいしたことが、かなっていることを祈念きねんします。そして10年ねん前まえに流ながされた手紙てがみを日本にっぽんの、しかも日本にっぽんの最さい東端ひがしばたにいる人間にんげんが受け取うけとったという奇跡きせき的てきな事実じじつをお伝おつたえしたいと考かんがえています」と話はなしています。

専門せんもん家か「メッセージ性せいを感かんじる」

ラテンアメリカの地域ちいき研究けんきゅうを専攻せんこうしている上智じょうち大学だいがく外国がいこく語ご学部がくぶイスパニア語ご学科がっかの幡谷はたや則子のりこ教授きょうじゅは、「メキシコに詳くわしい同僚どうりょうによると、手紙てがみが書かかれたノートはメキシコでよく流通りゅうつうしている文房具ぶんぼうぐなので、メキシコの人ひとか、アメリカ在住ざいじゅうのヒスパニックの人ひとが書かいた可能かのう性せいがあるのではないか」と話はなしています。

また、手紙てがみの内容ないようについて、『調和ちょうわ』を意味いみする“ａｒｍｏｎｉａ”や『均衡きんこう』を意味いみする“ｅｑｕｉｌｉｂｒｉｏ”ということばが何なん回かいも書かいてあるのが印象深いんしょうぶかいとしたうえで、「争あらそいがない、調和ちょうわがとれた平穏へいおんな状態じょうたいを望のぞむというメッセージ性せいを感かんじます」と話はなしています。