ひきこもり当事者とうじしゃや家族かぞくの団体だんたい 誤解ごかいや偏見へんけんの助長じょちょうを懸念けねん

当事者とうじしゃや経験けいけん者しゃで作つくる一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん「ひきこもりＵＸゆ-えっくす会議かいぎ」は、先月せんげつ31日にちに出だした声明せいめい文ぶんで、今回こんかいの事件じけんで誤解ごかいや偏見へんけんが助長じょちょうされることへの危惧きぐを伝つたえ、「ひきこもりと犯罪はんざいが結むすびつけられ『犯罪はんざい予備よび軍ぐん』のような負まけのイメージが生うまれれば、当事者とうじしゃや家族かぞくは追い詰おいつめられ不安ふあんや絶望ぜつぼうを深ふかめてしまいかねません」としています。

そして「特定とくていの状況じょうきょうに置おかれている人々ひとびとを排除はいじょしたり異質いしつのものとして見みるのではなく、事実じじつにのっとり冷静れいせいな対応たいおうをして欲ほしい」と求もとめています。

また、当事者とうじしゃの家族かぞくで作つくるＮＰＯえぬぴ-お-法人ほうじん「ＫＨＪ全国ぜんこくひきこもり家族かぞく会かい連合れんごう会かい」も今月こんげつ１いち日にちに声明せいめい文ぶんを出だし、事件じけんを受うけて家族かぞくから多おおくの相談そうだんが寄よせられているとして「周囲しゅういが責せめれば責せめるほど、家族かぞくは世間せけんの目めを恐おそれ、相談そうだんにつながらなくなり、孤立こりつを深ふかめる」と懸念けねんを示しめしています。

そのうえで「事件じけんは『ひきこもり状態じょうたいだから』起おきたのではない。社会しゃかいの中なかで属ぞくする場ばもなく、理解りかい者しゃもなく追い詰おいつめられ、社会しゃかいから孤立こりつした結果けっか、引き起ひきおこされた事件じけんだったのではないか」としています。

また、インターネットで当事者とうじしゃや経験けいけん者しゃの声こえを伝つたえている「ひきポス」の石いし崎森さきもり人じん編集へんしゅう長ちょうは「偏見へんけんのもっとも恐おそろしいところは、偏見へんけんを受うける側そくが、その偏見へんけんの目めを仕方しかたないと受け入うけいれてしまうことだ。それによって人ひとは萎縮いしゅくし、人生じんせいの可能かのう性せいを狭せばめてしまう」として、事件じけんをきっかけに当事者とうじしゃが追い込おいこまれていくことに危機きき感かんを示しめしています。

ＮＰＯえぬぴ-お-「追い詰おいつめないで周囲しゅういの理解りかいが必要ひつよう」

川崎かわさき市しでひきこもりの人ひとの支援しえんをしているＮＰＯえぬぴ-お-の代表だいひょうは、今回こんかいの事件じけんで追い詰おいつめられている当事者とうじしゃや家族かぞくがいるとして、周囲しゅういの理解りかいの必要ひつよう性せいを訴うったえています。

30年ねん以上いじょう、ひきこもりの若者わかものなどへの支援しえんをしているＮＰＯえぬぴ-お-法人ほうじん「フリースペースたまりば」の西野にしの博之ひろゆき理事りじ長ちょうのもとには、事件じけん後ご、当事者とうじしゃや家族かぞくから多おおくの相談そうだんが寄よせられているということです。

西野にしのさんは「当事者とうじしゃの多おおくは存在そんざいを否定ひていされたり傷きずついたりする中なかで、自分じぶんを守まもるためにひきこもることしか選えらべなかった人ひとたちで、事件じけんと結び付むすびつけられて絶望ぜつぼうしてしまえば、もっと、ひきこもらざるを得えなくなる」と懸念けねんを示しめしています。

そして、東京とうきょう 練馬ねりま区くで農林水産省のうりんすいさんしょうの元もと事務じむ次官じかんが長男ちょうなんを刺さした事件じけんを踏ふまえ「川崎かわさきの事件じけんのあと、当事者とうじしゃを支ささえる家族かぞくも周囲しゅういから向むけられる視線しせんを気きにして孤立こりつ化かしている。子こどもが社会しゃかいに迷惑めいわくをかけたらどうしようという不安ふあんから、追い詰おいつめられてしまう親おやはほかにもいるのではないか」と危惧きぐしています。

そのうえで「容疑ようぎ者しゃがひきこもりだから事件じけんが起おきたと捉とらえるべきではない。仕事しごとについている人ひとでも誰だれであっても、自分じぶんの存在そんざいを否定ひていされたり生いきている価値かちがないと言いわれたりしたら自暴じぼう自棄じきになりかねない。ひと事ひとごととして突き放つきはなさず、生いきづらさを抱かかえる人ひとたちの実情じつじょうを理解りかいし社会しゃかい全体ぜんたいでどう支ささえていくか、考かんがえていく必要ひつようがある」と話はなしています。