
当時の日本代表、アジア最終予選で全10試合のうち3戦を終えて1勝2敗。もう1つの負けも許されないような、まさに土俵際の試合となった去年10月の第4戦、オーストラリアとの試合。田中選手は中盤の一角として、初めて先発を任されました。
田中選手が中盤で試合をコントロールし、息を吹き返した日本はそこから6連勝。チームを崖っぷちから救い、ワールドカップ出場を決めた立て役者の1人になりました。
ドイツでは自宅の周りを1時間以上、散歩することもあるそうです。朝早く起きて散歩することも多いそうで「もう、おじいちゃんですよね」と苦笑い。そして、ゆっくりベンチに座って外の空気を吸いながら、読書をすることが気分転換になっていると言います。
「代表に生き残るために毎試合、個人のアピールをやらないといけないのはもちろんそうだが今はワクワクと楽しみのほうが強い」
しかし、主力メンバーで臨んだアメリカとの強化試合で田中選手は先発から外れました。
所属クラブで輝かしい活躍を見せる好調なライバルたちが躍動し、世界ランキングで格上の相手から勝利を収めた姿をベンチから見つめ、目に焼き付けました。 (田中碧選手) 「すごく立ち位置もはっきりした感があるし、いざこういう状況が起きるとやっぱり悔しい。現実を受け入れつつ、ここからどうはい上がっていくか」
「攻撃においても守備においても自分の振る舞いによってチームが変わる。チームの駒ではなくて、中心選手にならないといけない」 試合を組み立てるだけでなく、自分でも勝負を決めると、こだわったのが攻撃参加の頻度でした。 昨シーズンは所属クラブのリーグ戦で1ゴールにとどまったことから走りを鍛え、ゴール前に詰める回数を増やしてきましたがその意識をさらに強くしようと考えたのです。
「今までは自分がピッチで価値を示して勝利に貢献できればいいと思っていたがそれにゴールがあるかないかですごく評価は変わる。よりゴールを追い求めるようになった」 そして迎えたワールドカップ。 遠藤選手のけがもあって田中選手はスペイン戦でボランチとして先発を任されました。
試合後、田中選手は「今回、けが人が出て自分が出るチャンスをもらった部分もあったのでいろいろと思うところはあったが、自分自身が出たところで結果を残すことを意識していた。自分がやってきたことが報われた瞬間でもあった」と振り返りました。 そしてベスト8がかかる次の試合、決勝トーナメント1回戦に向けて気を引き締めました。
「厳しいグループだったがここまで来るのは最低条件。この次が歴史を動かす瞬間だと思うし、きょうは喜ぶけど、またそこに向けて準備できればいいのかなと思います」
W杯へ最後の仕上げも まさかの・・・
こだわったのは“攻撃参加”