タリバンは、国連の制裁対象者も含むタリバンの幹部でほぼ占められた暫定政権の閣僚を発表していて、かつての大統領府やアメリカ大使館の入り口にはイスラム教の聖典コーランの一節が書かれた白いタリバンの旗が掲げられました。
タリバンはこれまでに、デモを許可制にして抗議の声を封じ込めているほか、国際社会が懸念する女性の教育や就労は保障するとしたものの大学での男女共学を認めないなどイスラムの教えに基づくとした統治を進めています。
カブール市内でジュースを売る屋台を営む男性は「治安は問題ないが、ビジネスは全くうまくいっていません。この先、どうなるのかわからず、みんな将来を心配しています」と話していました。
そのうえで、経済の混乱で現金が不足したり食料品が値上がりしたりするなど現地の人たちの暮らしは厳しさを増していると強調しました。 藪崎副代表は、困窮した生活状況は当面続くとしたうえで「国際支援なしにはアフガニスタンの人たちは生き延びていくことができない。本当に生きるか死ぬかというようなことに、ここ数週間、数か月でなると思うので、今まで以上に支援が必要だ」として国際社会に緊急の支援を訴えました。
アフガニスタンでは、崩壊した政府とタリバンとの間で続いた戦闘で用水路などの農業施設が荒廃し、生活インフラがぜい弱になっているほか、干ばつの影響などでたびたび食糧危機に見舞われていて、国際社会の支援に頼らざるをえない状況が続いています。
日本のNPO「JEN」です。 2001年から20年にわたりアフガニスタン各地で井戸を建設し清潔な水を市民に提供したり、学校の修復をして女子児童が学べる環境整備を行ったりしています。 先月、活動拠点のある東部ナンガルハル州の州都、ジャララバードが、タリバンに制圧され外出を伴う活動は休止を余儀なくされました。
それは、支援活動の継続を求めるものでした。 タリバンの責任者からは、「アフガニスタンはわれわれの家だ。国のために働いてほしい。人材が国外に流出する中一緒に働き、アフガニスタンを建設しよう」と声をかけられたといいます。 さらに、活動中は移動の自由や身の安全を保証すると確約したといいます。 タリバンから女子教育の支援を含めたすべての活動が許可されるかどうかについて、当初は、半信半疑だったといいますが、タリバンの確約を受けたことで今月に入ってから通常どおりの支援を再開しました。 これまでのところスタッフの活動が妨害されたり危険な目にあったりしたことはないということです。
近くの村では、子どもたちが新しくできた水道の周りに集まり、勢いよく出てくるきれいな井戸水をくんでいました。 男の子は「今まで使っていた水はきれいではありませんでしたが、この水はとてもきれいです。とてもうれしい」と話していました。 また、支援団体では、住民の中には文字が読めず新型コロナウイルスについて知らない人も多いことから、せっけんなどの衛生用品を手渡すとともに感染を防ぐために手洗いの重要性などについて、指導を行いました。 このほか、自宅で水をためておけるタンクも配布し、早速住民の男性が配布されたせっけんを使い、うれしそうに手を洗っていました。 住民の男性は、「水、特に飲み水の確保が村にとって課題でした。水の大切さがわかるので、手洗いに水を使うのはもったいない気がしますが、これで感染症から身を守れると思います。本当にありがたい」と話していました。 アフガニスタン人で現地の責任者をつとめるハミドゥラ・ハミッド氏は「貧しい中で、水も手に入れられなければどう生活していけばいいのか。日本からの支援は重要で今後も続けてほしい」と話しています。
このうち、今月5日、首都カブールでタリバンの幹部が国連の特使と会談し、現地で人道支援活動にあたる国連のスタッフなどの安全や移動の自由を保証すると表明しました。 また、タリバンの別の幹部は、メディアの取材に対し「経済や教育、そして社会保障の分野で支援を続けてもらうため、国際社会に支援を要求する」と述べています。 アフガニスタンのジャーナリストは、「タリバンが権力を掌握した先月以降、崩壊した政権側にいた公務員が国外に退避するなど国内統治をするうえで、必要な人材が流出している。特に国際社会からの支援の窓口となっていた人材や部署が機能しない状況が続いているため、これまで草の根レベルで活動してきたNGOなどを含め民間にも今後、支援を広く求めていくとみられる」と話していました。
冒頭、グテーレス事務総長が「長年にわたる戦乱と苦しみを経て、アフガニスタンの人々はいま最も厳しい状況に置かれている。この会合は私たちが何かを与えるためのものではない。責任を果たすためのものだ」と述べ、国際社会に支援の継続を求めました。 続いて国連機関の代表が次々に報告を行い、グランディ難民高等弁務官はアフガニスタンの首都カブールからオンラインで参加し「人々はこれまでも多くの苦難に耐えてきたが、いまは限界まで追い込まれている」と訴えました。 このあと各国の代表が相次いで資金の拠出を表明し、国連によりますとこれまでに合わせて11億ドル、1200億円余りの拠出が表明されました。
これに対して中国の代表は「アフガニスタンの主権を尊重することで、国際社会は国の平和的な再建に貢献できる」と述べ、タリバンを全面的に支援する姿勢を強調し、食料やワクチンなどの物資を送ると表明しました。 一方日本は、新規に6500万ドル、71億円を拠出する用意があると表明しました。 各国とも人道支援の継続では足並みをそろえたものの、タリバンとの関わり方をめぐっては立場に隔たりもあり、アフガニスタンの安定に向け今後国際社会が一致した対応をとれるのかが、問われることになります。
「支援なければ数週間、数か月で生きるか死ぬかの状況」
人口の3割 1200万人が食糧不安に
現地で支援活動を継続するNPOも
タリバン責任者からの連絡「国のために働いてほしい」
必要な人材が流出 タリバン「国際社会に支援を要求する」
各国 計1200億円余りの資金拠出表明
タリバンとの関わり方 各国の立場の違い表面化