ワクチンはマイナス70度前後という低温で冷凍保存され輸送されますが、接種に向けて2度から8度にすると保存期間は5日間になります。
このためイングランドでは、まずは温度管理が可能な50の大きな病院で、優先接種の対象となっている80歳以上の高齢者や高齢者施設で働く介護職員、それに医療従事者への接種が始まりました。
さらに今月14日からは、地域のクリニックなど100か所以上でも地元の高齢者などに接種ができるようになり、保存期間内にワクチンを使い切れるよう、クリニック側が高齢者に連絡を取り、分刻みのスケジュール調整を行っているということです。
ただ、連絡がなかなか取れなかったり、自力でクリニックまで来ることができなかったりする高齢者もいて、地域のボランティアに頼んで送り迎えをしてもらうケースもあるということです。
さらに優先接種の対象となっている人のうち、高齢者施設に入居している人の多くについては今も接種が始まっていません。
ワクチンを低温で管理しながら期限内に使い切れるようにする態勢作りがまだできていないためです。
一方、ワクチンの接種が始まった初日、イギリスでは、医療機関のスタッフ2人が「アナフィラキシー」と呼ばれる激しいアレルギー反応の症状を示し、規制当局は過去にワクチンや薬、それに食物で同様の症状が出たことがある人には、このワクチンを接種しないよう医療関係者に勧告を出すなど対応に追われました。
イギリスでは優先接種の対象となっている人たちへのワクチン接種を終わらせるだけでも今後数か月がかかるとみられていて、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、いかに効率的に幅広く接種を進めていくかが課題となっています。