日本新闻: 井上尚弥選手が勝利 4団体統一王者にバンタム級で世界初

プロボクシング、バンタム級きゅうの3団体だんたい統一とういつチャンピオン、井上いのうえ尚弥なおや選手せんしゅが、13日にちに行おこなわれた4団体だんたい王座おうざ統一とういつ戦せんでイギリスのポール・バトラー選手せんしゅにノックアウト勝がちで4団体だんたい王座おうざ統一とういつを果はたしました。

主要しゅよう4団体だんたい統一とういつはバンタム級きゅうでは世界せかいで初はじめてで、日本にっぽん選手せんしゅとしてはすべての階級かいきゅうを通をつうじて初はじめてです。

WBA＝世界せかいボクシング協会きょうかい、WBC＝世界せかいボクシング評議ひょうぎ会かい、IBF＝国際こくさいボクシング連盟れんめいの3団体だんたい統一とういつチャンピオンの井上いのうえ選手せんしゅは13日にち夜よる、東京とうきょうの有明ありあけアリーナでWBO＝世界せかいボクシング機構きこうのチャンピオン、イギリスのバトラー選手せんしゅとの4団体だんたい王座おうざ統一とういつ戦せんに臨のぞみました。

試合しあい開始かいし直後ちょくごはお互おたがいに様子ようすを見みるように手数てすうの少すくない展開てんかいとなりましたが、その後そのごは井上いのうえ選手せんしゅがバトラー選手せんしゅをロープ際ぎわに追い込おいこみ左右さゆうの連打れんだを見みせるなど試合しあいの主導しゅどう権けんを握にぎりました。

徹底てっていして守まもるバトラー選手せんしゅに対にたいし井上いのうえ選手せんしゅはふだんとは逆ぎゃくの右足みぎあしを前まえにしたサウスポースタイルにスイッチしたり、時折ときおりガードを外はずしたりして相手あいてを誘さそうようなこれまでとは違ちがうボクシングスタイルを見みせました。

そして第だい11ラウンド、井上いのうえ選手せんしゅの強烈きょうれつな左ひだりのボディーが決きまり、そのまま連打れんだを仕掛しかけたところでバトラー選手せんしゅが倒れ込たおれこみました。

そして11ラウンドノックアウト勝がちで井上いのうえ選手せんしゅが4団体だんたい王座おうざ統一とういつを果はたしました。

井上いのうえ選手せんしゅはバトラー選手せんしゅとの長期ちょうき戦せんも見据みすえ、スタミナ強化きょうかを図はかって臨のぞんだ試合しあいで、11ラウンドを戦たたかい抜ぬき偉業いぎょうを成し遂なしとげました。

試合しあい直後ちょくご「最高さいこうの日ひになりました」

井上いのうえ尚弥なおや選手せんしゅは試合しあい直後ちょくごのインタビューで「スーパーフライ級きゅう時代じだいから4団体だんたい統一とういつを目標もくひょうに掲かかげていた。すべての階級かいきゅうを通をつうじて4団体だんたい統一とういつが史上しじょう9人にん目めということがその難むずかしさを物語ものがたっていると思おもう。きょう12月つき13日にちは最高さいこうの日ひになりました」と喜よろこびをあらわにしました。

そして「4団体だんたい統一とういつを成し遂なしとげられたいまスーパーバンタム級きゅうへの転向てんこうを考かんがえている。スーパーバンタム級きゅうには強豪きょうごうがひしめいていて、来年らいねんはそのトップに入はいっていきたい」と早はやくも次つぎを見据みすえていました。

4本ほんのベルト携たずさえ会見かいけん「ここはゴールではないし通過つうか点てん」

井上いのうえ尚弥なおや選手せんしゅは試合しあいのあと、4本ほんのベルトを携たずさえて記者きしゃ会見かいけんに臨のぞみ「久々ひさびさに11ラウンドを戦たたかって疲つかれた。攻せめて攻せめて攻せめたのでいつもより疲つかれたが、ここに4本ほんベルトがあるのでうれしい」と率直そっちょくな心境しんきょうを話はなしました。

終盤しゅうばんの第だい11ラウンドに相手あいてをノックアウトして試合しあいを決きめたことについて「この試合しあいは必かならずノックアウトで勝かつと準備じゅんびしていたので、判定はんてい勝がちだったらやりきれない気持きもちになっていたと思おもう。第だい11ラウンドでギアを上あげられることができたのは収穫しゅうかくだった」と話はなしていました。

対戦たいせんしたバトラー選手せんしゅについては「思おもった以上いじょうにしっかり対策たいさくをしてきているというのはうかがえた。自分じぶんも戦たたかい方かたを変かえていかないといけないと思おもい誘い出さそいだしたり強引ごういんにいったりした」と振り返ふりかえりました。

また、徹底てっていして守もりに入はいるバトラー選手せんしゅに対にたいし、ガードを下さげて攻撃こうげきを誘さそった場面ばめんについて「勝かつ気きがあるのかと思おもった。あまりにも手てを出だしてこないのは自分じぶんの中なかではどうなんだと思おもう場面ばめんもあった。バトラーを引き出ひきだすためにもああいう形かたちで挑発ちょうはつをした」と狙ねらいを明あかしました。

勝負しょうぶを分わけたポイントについては「左ひだりのジャブだ。これだけは絶対ぜったいに勝かつと練習れんしゅうして、ダメージを与あたえられていたので勝敗しょうはいのキーになったと思おもう」と述のべました。

そして、今後こんごについては「バンタム級きゅうで4団体だんたい統一とういつという目標もくひょうを成し遂なしとげたのでやり残のこしたことはない。少すこしゆっくりして会長かいちょうたちときちんと話し合はなしあって決きめていきたい。ここはゴールではないし、通過つうか点てんだと思おもっている」と話はなしていました。

父ちち・真ま吾われさん「すごいことをしてくれた」

井上いのうえ尚弥なおや選手せんしゅの父親ちちおやでトレーナーを務つとめる井上いのうえ真しん吾われさんは「テクニックを持もっているバトラーに対にたいして試行しこう錯誤さくごしながら戦たたかって煮詰につまっていたが、『倒たおすことを急いそがなくていいんだよ』と言いった。それでも最後さいごああいう形かたちでしとめるのはすごいことだ。改あらためて4団体だんたい統一とういつをしたと思おもうとすごいことをしてくれた」と喜よろこびを語かたりました。

所属しょぞくジムの大橋おおはし会長かいちょう「ブラボーでした」

井上いのうえ選手せんしゅが所属しょぞくするジムの大橋おおはし秀行ひでゆき会長かいちょうは「ブラボーでした」と話はなし、サッカーワールドカップでおなじみになった長友ながとも佑たすく都と選手せんしゅのことばでたたえました。

その上うえで、「第だい10ラウンドを過すぎたあたりは判定はんてい勝がちだと思おもっていたが、井上いのうえ選手せんしゅがインターバル中ちゅうに『第だい11ラウンドで倒たおすぞ』という雰囲気ふんいきを出だした。まさかいくのかなと思おもったらそのまま倒たおしたのでびっくりした」と心境しんきょうを話はなしました。

その上うえで「この試合しあいで判定はんてい勝がちとノックアウト勝がちというのは200％ぐらい違ちがうので本当ほんとうに大おおきく価値かちのある試合しあいだった。きょうはすごい1日にちだった」と話はなしていました。

バトラー選手せんしゅ「チャンスが少すくなかった」

敗やぶれたポール・バトラー選手せんしゅは試合しあい後ごの記者きしゃ会見かいけんで「戦たたかいは考かんがえていたプランどおりにはいかなかった。井上いのうえ選手せんしゅのガードが弱よわくなった隙ひまをつこうと思おもっていたが、非常ひじょうにいい選手せんしゅでチャンスが少すくなかった。予想よそうしていたとおり、ボディーに多おおくのパンチを打うたれ第だい11ラウンドのボディーはかなり効きいた」と振り返ふりかえりました。

井上いのうえ選手せんしゅについては「ビデオで見みていたとおりの動うごきをしてきたが、思おもっていたよりも強つよかった。パンチもスピードも正確せいかくだ。それがパワーとなってかえってきているのだと思おもった」と分析ぶんせきしました。

自身じしんの戦たたかいぶりについては「守もりを固かためていこうとは思おもっていなくて、観客かんきゃくに臆病おくびょうだと思おもわれないよう積極せっきょく的てきに戦たたかっていきたいと思おもっていたが、結果けっか的てきにダウンさせられた」と振り返ふりかえりました。

圧倒的あっとうてきなパンチ力りょくでノックアウト勝がち重かさねる

「バンタム級きゅうの最終さいしゅう章あきら」と位置いちづけて臨のぞんだ一いち戦せんで、4団体だんたい統一とういつの偉業いぎょうを成し遂なしとげた井上いのうえ尚弥なおや選手せんしゅ。

アメリカで権威けんいのあるボクシング専門せんもん誌しが選えらんだすべての階級かいきゅうを通つうじた最もっとも強つよい選手せんしゅを決きめるランキング、「パウンド・フォー・パウンド」で日本にっぽん選手せんしゅとして初はじめて1位いになるなどこれまでも歴史れきしに名なを刻きざんできましたが、今回こんかいまたしてもボクシング史しを塗り替ぬりかえました。

圧倒的あっとうてきなパンチ力りょくでノックアウト勝がちを重かさねプロデビューから判定はんていまでもつれたのは3戦せんだけ。高たかいノックアウト率りつが示しめすとおりこれまで試合しあい序盤じょばんから積極せっきょく的てきに攻せめ、数々かずかずのチャンピオンをマットに沈しずめてきました。

2018年ねん、バンタム級きゅうで自身じしん初はつの世界せかい戦せんとなった当時とうじのWBAチャンピオン、ジェイミー・マクドネル選手せんしゅとの試合しあいでは、体格たいかくで上回うわまわる相手あいてをわずか1ラウンドで破やぶり、チャンピオンの座ざを奪うばいました。

その翌年よくねん、2団体だんたい王座おうざ統一とういつ戦せんではIBFチャンピオンでプエルトリコのエマヌエル・ロドリゲス選手せんしゅに2ラウンドテクニカルノックアウト勝がちで圧倒あっとうしました。

そして3団体だんたい統一とういつをかけたことし6月つきの試合しあいではかつて5階かい級きゅうを制覇せいはしたノニト・ドネア選手せんしゅを相手あいてに第だい1ラウンドでダウンを奪うばうと、第だい2ラウンドも攻せめ続つづけて最後さいごは得意とくいの左ひだりフックでマットに沈しずめました。

今回こんかいの対戦たいせん相手あいて、ポール・バトラー選手せんしゅはフットワークを生いかして距離きょりを取とりながら確実かくじつにポイントを重かさねていくボクシングスタイル。

井上いのうえ選手せんしゅも長期ちょうき戦せんを覚悟かくごし、スタミナ強化きょうかに取り組とりくみました。試合しあいまで1か月かげつ余あまりに迫せまった時期じきには合宿がっしゅくを行おこない、走り込はしりこみや下半身かはんしんを中心ちゅうしんとしたトレーニングで肉体にくたいを徹底てってい的てきに鍛きたえました。

さらにジムでのスパーリングにも変化へんかがありました。父親ちちおやの井上いのうえ真しん吾われトレーナーが「バンタム級きゅうに転向てんこうしてからは最もっとも多おおいのではないか」と話はなすほどスパーリング数すうをこなし、多おおい日ひには1日にち10ラウンド行おこなったこともありました。

井上いのうえ真しん吾われトレーナーは「パートナーを2人にん入いれて5ラウンドずつやったが、最後さいごまで落おちることはなかった。交代こうたいした2人にん目めの選手せんしゅの方ほうが失速しっそくするぐらいだった。スタミナは何なにの問題もんだいも、心配しんぱいもない」と仕上しあがりに太鼓判たいこばんを押おしていました。