日本新聞: 東京・埼玉震度５強エレベーター停止水道管破裂生活に支障

東京とうきょうと埼玉さいたま県けんで震度しんど５ご強きょうの強つよい揺ゆれを観測かんそくした7日にち夜よるの地震じしん。

鉄道てつどうの運休うんきゅうで多おおくの帰宅きたく困難こんなん者しゃが出でただけではなく、エレベーターは7万まん5000台だい余あまりが停止ていしして、いまだに復旧ふっきゅうしていないところもでてきています。

このほか、首都しゅと圏けんの合あわせて29か所かしょで水道すいどう管かんの破損はそんによる漏水ろうすいの被害ひがいが見みつかるなど、日常にちじょう生活せいかつにも大おおきな影響えいきょうを与あたえました。

エレベーター閉じ込とじこめ28件けんけが人けがにんなし

国土こくど交通こうつう省しょうによりますと、7日にち夜よるの地震じしんで首都しゅと圏けんを中心ちゅうしんに7万まん5738台だいのエレベーターが停止ていしし、このうちエレベーターに閉じ込とじこめられたケースが東京とうきょう都とや神奈川かながわ県けん、千葉ちば県けん、埼玉さいたま県けんで合あわせて28件けんあったということです。

閉じ込とじこめられた人ひとたちはいずれもすでに消防しょうぼうなどによって救出きゅうしゅつされていて、けが人けがにんはいないということです。

8日にち夕方ゆうがた時点じてん復旧ふっきゅうしていないケースも

一方いっぽうで、東京とうきょう・港みなと区くでは地震じしんの影響えいきょうでビルのエレベーターが停止ていしし、8日にち夕方ゆうがたの時点じてんでも復旧ふっきゅうしていないケースが出でています。

東京とうきょう・港みなと区く東麻布ひがしあざぶにある会社かいしゃの事務所じむしょや住居じゅうきょなどが入はいる9階かい建だてのビルでは8日にち夜よるの地震じしん発生はっせい直後ちょくごからエレベーターが停止ていししています。

ビルのオーナーの桑原くわばら八重子やえこさん（84）がエレベーターの保守ほしゅ・点検てんけんをしている会社かいしゃに問い合といあわせたところ「復旧ふっきゅう作業さぎょうが必要ひつようなエレベーターが多おおくこのビルで作業さぎょうを開始かいしできるめどはまだ立たたない」と説明せつめいされたということです。

そしてその後そのご「復旧ふっきゅう作業さぎょうはきょうの夜中やちゅうかあすの明け方あけがたになる」と会社かいしゃから連絡れんらくがあったということです。

桑原くわばらさんはエレベーターの入り口いりくちなどに停止ていしを知しらせる貼り紙はりがみをはり、ビルの利用りよう者しゃには階段かいだんを使つかってほしいと呼よびかけています。

往診おうしんに訪おとずれた医師いしや介護かいごヘルパー 8階かいまで階段かいだんで

また、桑原くわばらさんは寝ねたきりで介護かいごが必要ひつような夫おっとと8階かいに住すんでいます。

8日にち、夫おっとの往診おうしんに訪おとずれた医師いしや介護かいごヘルパーは8階かいまで階段かいだんを使つかって部屋へやに来きてもらいました。

桑原くわばらさんは「私わたしもひざが悪わるくて階段かいだんで上のぼり下くだりするのが大変たいへんで困こまっています。エレベーターがいつになったら動うごくのか不安ふあんな思おもいです。早はやく復旧ふっきゅうしてほしい」と話はなしていました。

8階かいまで階段かいだん10往復おうふく以上いじょうの人ひとも

また、このビルの3階かいに来月らいげつから新あらたに事務所じむしょを開設かいせつする予定よていのシステム開発かいはつ会社かいしゃの社長しゃちょうをつとめる小しょう山内やまうち裕ひろしさんは8日にち午前ごぜん、いす12脚きゃくやパーテーションなどが運送うんそう会社かいしゃから配達はいたつされました。

しかしエレベーターは停止ていししたままで運送うんそう会社かいしゃの担当たんとう者しゃと2人にんで階段かいだんを10往復おうふく以上いじょうして運はこんだということです。

小しょう山内やまうちさんは「大おおきな荷物にもつだったので階段かいだんで運はこぶのはとても大変たいへんでした。各地かくちのビルでエレベーターが止とまっているのでしかたがないとは思おもいますが早はやく復旧ふっきゅうしてほしいと思おもいます」と話はなしていました。

エレベーター最初さいしょの揺ゆれ感かんじ最寄もよりの階かいに停止ていし

国土こくど交通こうつう省しょうによりますとエレベーターには2009年ねん9月つきからは「地震じしん時じ管制かんせい運転うんてん装置そうち」の設置せっちが義務ぎむづけられ、地震じしんの最初さいしょの揺ゆれを感かんじると最寄もよりの階かいに停止ていしする仕組しくみになっています。

そして揺ゆれがそれほど大おおきくない場合ばあいはエレベーターの扉とびらが開ひらき利用りよう者しゃの閉じ込とじこめを防ふせぐということです。

再開さいかいには技術ぎじゅつ者しゃによる点検てんけん階数かいすう高たかいほど時間じかん必要ひつよう

多おおくのエレベーターは安全あんぜんに停止ていしした後のち、再開さいかいさせるために技術ぎじゅつ者しゃによる点検てんけんが必要ひつようです。

技術ぎじゅつ者しゃは現場げんばに出向でむいてエレベーターを動うごかすためのロープやおもりに異常いじょうがないかなどを確認かくにんしたうえ試運転しうんてんをするということです。

しかし、ビルの階数かいすうが高たかいほど試運転しうんてんでの確認かくにんに長ながい時間じかんが必要ひつようとなり、技術ぎじゅつ者しゃは階段かいだんを使つかうため作業さぎょうのための移動いどうにも時間じかんがかかります。

このため建物たてものによってはエレベーターの復旧ふっきゅう作業さぎょうには時間じかんがかかるということです。

水道すいどう管かん破損はそんによる漏水ろうすい首都しゅと圏けんで合あわせて29か所かしょ

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、8日にち午後ごご5時じ時点じてんで首都しゅと圏けんの合あわせて29か所かしょで水道すいどう管かんの破損はそんによる漏水ろうすいの被害ひがいが見みつかっています。

場所ばしょは

▽東京とうきょう23区くが合あわせて23か所かしょ

▽埼玉さいたま県けん三郷みさと市しが3か所かしょ

▽埼玉さいたま県けん川口かわぐち市しが2か所かしょ

▽千葉ちば県けん市原いちはら市しが1か所かしょで

三郷みさと市し以外いがいではすでに修理しゅうりが完了かんりょうしたということです。

三郷みさと市しでもすでに1か所かしょの修理しゅうりが終おわり、残のこる2か所かしょも8日にち中ちゅうに完了かんりょうする見通みとおしだとしています。

断水だんすい被害ひがいの報告ほうこくはないということです。

このほか、医療いりょう機関きかんや社会しゃかい福祉ふくし施設しせつの被害ひがいの報告ほうこくは入はいっていないということです。

専門せんもん家か「“短たん周期しゅうき”の揺ゆれ中心ちゅうしんか」

地震じしんの揺ゆれと被害ひがいの関係かんけい性せいに詳くわしい京都きょうと大学だいがく防災ぼうさい研究所けんきゅうじょの境さかい有紀ゆうき教授きょうじゅは、防災ぼうさい科学かがく技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょが関東かんとう各地かくちに設置せっちしている地震じしん計けいの波形はけいを分析ぶんせきしました。

その結果けっか、1秒びょう以下いかの短みじかい周期しゅうきの揺ゆれが目立めだち、住宅じゅうたくなどの構造こうぞう物ぶつが倒たおれるような被害ひがいが出でやすい1秒びょうから2秒びょうの周期しゅうきの揺ゆれは小ちいさかったことが分わかりました。

震度しんど5弱じゃくを観測かんそくした千葉ちば市しや東京とうきょう・葛飾かつしか区くではいずれも0.5秒びょう程度ていどの短みじかい周期しゅうきの揺ゆれが目立めだっています。

今回こんかいの地震じしんでは水道すいどう管かんなどで被害ひがいが相次あいついでいますが、1秒びょう以下いかの周期しゅうきの揺ゆれは人ひとが感かんじやすく、水道すいどう管かんなどの機械きかい設備せつびのほか、家具かぐや屋根やね瓦かわら、ブロック塀へいなどに被害ひがいが出でやすくなるということです。

境さかい教授きょうじゅは、「都市とし部ぶでは水道すいどう管かんなどの構造こうぞう物ぶつの密度みつどが高たかいため、被害ひがいが大おおきくなりやすく、結果けっか的てきに被害ひがいが出でてしまったと考かんがえられる」としています。

震源しんげんから離はなれた場所ばしょで揺ゆれ大おおきく地盤じばん影響えいきょうか

また、今回こんかいは震源しんげんからやや離はなれた東京とうきょう・足立あだち区くや埼玉さいたま県けん川口かわぐち市しで揺ゆれが大おおきくなりました。

これについて境さかい教授きょうじゅは、震源しんげんの深ふかさと地盤じばんの影響えいきょうを指摘してきしています。

境さかい教授きょうじゅは「今回こんかいの地震じしんは震源しんげんが深ふかいところで発生はっせいしたため、より広範囲こうはんいに揺ゆれが伝つたわり、表層ひょうそう地盤じばんが軟やわらかく地盤じばんのあまりよくないところで揺ゆれが増幅ぞうふくされたと考かんがえられる。具体ぐたい的てきには川かわ沿ぞいの地域ちいきやかつて川かわだったところ、それに埋立うめたて地ちは表層ひょうそう地盤じばんが柔やわらかく揺ゆれやすい。地盤じばんの状況じょうきょうは研究けんきゅう機関きかんが公開こうかいしていて、自分じぶんの住すまいの揺ゆれやすさをあらかじめ認識にんしきして対策たいさくに役立やくだててもらいたい」としています。

「首都しゅと直下ちょっか地震じしん」起おきれば様相ようそう異ことなる被害ひがいに対策たいさくを

さらに境さかい教授きょうじゅは、想定そうていされる「首都しゅと直下ちょっか地震じしん」は今回こんかいより地震じしんの規模きぼが一回ひとまわり大おおきく、最大さいだい震度しんど7の揺ゆれが想定そうていされているため、今回こんかいの地震じしんも機きに対策たいさくを進すすめてほしいと指摘してきします。

境さかい教授きょうじゅは「想定そうていされる『首都しゅと直下ちょっか地震じしん』のマグニチュードは7クラスで今回こんかいと比くらべ、規模きぼは30倍ばい以上いじょうとなる。震源しんげんも浅あさいところで起おきると想定そうていされていて、いざ発生はっせいすれば今回こんかいとは比べ物くらべものにならない被害ひがいになると考かんがえられ、建物たてものの倒壊とうかいなど、命いのちに関かかわる被害ひがいが出でるおそれがある。この機会きかいに対策たいさくを進すすめてほしい」と話はなしていました。