慰安婦を
象徴する
少女像などの
展示をめぐって、
脅迫めいた
電話などが
相次ぎ、
一部の
展示が
中止された
愛知県の
国際芸術祭について、
文化庁は
申請手続きが
不適切だったとして
およそ7800
万円の
補助金を
全額交付しないことを
決めました。
愛知県で
開かれている
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の
うち、「
表現の
不自由」を
テーマにした
企画展は、
慰安婦を
象徴する
少女像などをめぐって、
脅迫めいた
電話などが
相次ぎ、
先月、
開幕から
3日で
中止されました。
「あいちトリエンナーレ」について、文化庁は、ことし4月、観光資源としての文化の活用推進を目的とした国の補助事業として採択し、およそ7800万円を交付する予定でした。
しかし、一連の事態を受けて改めて検討を行い、愛知県からの申請は、会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず申告しないなど、手続きが不適切だったとして補助金を全額交付しないことを決めました。
この補助金について、菅官房長官は先月2日の会見で「審査の時点では、具体的な展示内容の記載はなかったことから、補助金の交付決定では事実関係を確認、精査したうえで、適切に対応していきたい」と述べていて、文化庁の判断が注目されていました。
憲法学者 木村草太さん「不交付は被害者を追撃したことに」
愛知県で開かれている国際芸術祭について、文化庁が補助金を交付しない方針を固めたことについて、憲法学者で、首都大学東京の木村草太教授は「安全を害したから補助金を交付しないとなると、脅迫を受けた被害者を追加で攻撃していることになってしまう。脅迫は犯罪なので、警察や司法機関が適切に対応して解決すべき問題だ。文化庁は、寄り添うべき相手が加害者なのか被害者なのかという点を、もう一度冷静に考えるべきだ」と指摘しています。
そのうえで「補助金の交付は、芸術作品としての価値を基準に判断するのが原則で、今回のような理由で交付しないとなれば、不十分な理由での補助金の運用が横行して、補助金を通じて特定の思想表現には援助しないという排除が進む危険性が高い。交付しないのであれば、極めて慎重に、また十分な理由をもって判断すべきだ」と指摘しています。