日本新聞: 愛知国際芸術祭への補助金不交付決定文化庁「手続き不適切」

愛知あいち国際こくさい芸術げいじゅつ祭さいへの補助ほじょ金きん不ふ交付こうふ決定けってい文化庁ぶんかちょう「手続てつづき不適切ふてきせつ」

Sep 26, 2019 13:09

Furigana

慰安いあん婦ふを象徴しょうちょうする少女しょうじょ像ぞうなどの展示てんじをめぐって、脅迫きょうはくめいた電話でんわなどが相次あいつぎ、一部いちぶの展示てんじが中止ちゅうしされた愛知あいち県けんの国際こくさい芸術げいじゅつ祭さいについて、文化庁ぶんかちょうは申請しんせい手続てつづきが不適切ふてきせつだったとしておよそ7800万まん円えんの補助ほじょ金きんを全額ぜんがく交付こうふしないことを決きめました。愛知あいち県けんで開ひらかれている国際こくさい芸術げいじゅつ祭さい「あいちトリエンナーレ」のうち、「表現ひょうげんの不自由ふじゆう」をテーマにした企画きかく展てんは、慰安いあん婦ふを象徴しょうちょうする少女しょうじょ像ぞうなどをめぐって、脅迫きょうはくめいた電話でんわなどが相次あいつぎ、先月せんげつ、開幕かいまくから３さん日にちで中止ちゅうしされました。

「あいちトリエンナーレ」について、文化庁ぶんかちょうは、ことし４月しがつ、観光かんこう資源しげんとしての文化ぶんかの活用かつよう推進すいしんを目的もくてきとした国くにの補助ほじょ事業じぎょうとして採択さいたくし、およそ7800万まん円えんを交付こうふする予定よていでした。

しかし、一連いちれんの事態じたいを受うけて改あらためて検討けんとうを行おこない、愛知あいち県けんからの申請しんせいは、会場かいじょうの安全あんぜんや事業じぎょうの円滑えんかつな運営うんえいを脅おびやかすような重大じゅうだいな事実じじつを認識にんしきしていたにもかかわらず申告しんこくしないなど、手続てつづきが不適切ふてきせつだったとして補助ほじょ金きんを全額ぜんがく交付こうふしないことを決きめました。

この補助ほじょ金きんについて、菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは先月せんげつ２に日にちの会見かいけんで「審査しんさの時点じてんでは、具体ぐたい的てきな展示てんじ内容ないようの記載きさいはなかったことから、補助ほじょ金きんの交付こうふ決定けっていでは事実じじつ関係かんけいを確認かくにん、精査せいさしたうえで、適切てきせつに対応たいおうしていきたい」と述のべていて、文化庁ぶんかちょうの判断はんだんが注目ちゅうもくされていました。

憲法けんぽう学者がくしゃ木村きむら草くさ太ふとしさん「不ふ交付こうふは被害ひがい者しゃを追撃ついげきしたことに」

愛知あいち県けんで開ひらかれている国際こくさい芸術げいじゅつ祭さいについて、文化庁ぶんかちょうが補助ほじょ金きんを交付こうふしない方針ほうしんを固かためたことについて、憲法けんぽう学者がくしゃで、首都しゅと大学だいがく東京とうきょうの木村きむら草くさ太ふとし教授きょうじゅは「安全あんぜんを害がいしたから補助ほじょ金きんを交付こうふしないとなると、脅迫きょうはくを受うけた被害ひがい者しゃを追加ついかで攻撃こうげきしていることになってしまう。脅迫きょうはくは犯罪はんざいなので、警察けいさつや司法しほう機関きかんが適切てきせつに対応たいおうして解決かいけつすべき問題もんだいだ。文化庁ぶんかちょうは、寄り添よりそうべき相手あいてが加害かがい者しゃなのか被害ひがい者しゃなのかという点てんを、もう一度もういちど冷静れいせいに考かんがえるべきだ」と指摘してきしています。

そのうえで「補助ほじょ金きんの交付こうふは、芸術げいじゅつ作品さくひんとしての価値かちを基準きじゅんに判断はんだんするのが原則げんそくで、今回こんかいのような理由りゆうで交付こうふしないとなれば、不十分ふじゅうぶんな理由りゆうでの補助ほじょ金きんの運用うんようが横行おうこうして、補助ほじょ金きんを通をつうじて特定とくていの思想しそう表現ひょうげんには援助えんじょしないという排除はいじょが進すすむ危険きけん性せいが高たかい。交付こうふしないのであれば、極きわめて慎重しんちょうに、また十分じゅうぶんな理由りゆうをもって判断はんだんすべきだ」と指摘してきしています。