【1からわかる】アフガニスタン“タリバン勝利しょうり宣言せんげん”

政権せいけん崩壊ほうかい後ご、タリバンの一部いちぶの勢力せいりょくは拠点きょてんのあった南部なんぶカンダハルを中心ちゅうしんに態勢たいせいを立て直たてなおしたり、隣国りんごくパキスタンとの国境こっきょう地帯ちたいに潜伏せんぷくしたりして戦闘せんとう能力のうりょくを増強ぞうきょう。

そして、2014年ねんにアフガニスタンに駐留ちゅうりゅうする国際こくさい部隊ぶたいの大だい部分ぶぶんが撤退てったいしたのをきっかけに、その隙ひまを突つくように勢力せいりょくを盛り返もりかえし、テロや襲撃しゅうげきを繰り返くりかえすようになりました。

その一方いっぽうで、タリバンは2013年ねんに、中東ちゅうとうカタールの首都しゅとドーハに対外たいがい的てきな窓口まどぐちとなる事務所じむしょを開設かいせつし、アフガニスタンの和平わへいに向むけて、当時とうじのアメリカのオバマ政権せいけんと水面すいめん下かで接触せっしょくを続つづけたほか、2018年ねんからはトランプ政権せいけんと和平わへい交渉こうしょうに向むけた協議きょうぎを行おこない、2020年ねん2月つき、アフガニスタンに駐留ちゅうりゅうするアメリカ軍ぐんの完全かんぜん撤退てったいを含ふくむ和平わへい合意ごういに署名しょめいしました。

和平わへい合意ごういを受うけてアメリカ軍ぐんがことし4月末げつまつから撤退てったいを始はじめる中なか、タリバンは、アフガニスタン各地かくちで攻勢こうせいを強つよめて支配しはい地域ちいきを拡大かくだいしていきました。

アメリカ側がわは2011年ねんにビンラディン容疑ようぎ者しゃを殺害さつがいしたことや戦費せんぴの削減さくげんを求もとめるアメリカ議会ぎかいなどの声こえを受うけ、段階だんかい的てきに現地げんちの部隊ぶたいの規模きぼ縮小しゅくしょうを進すすめます。

さらに2017年ねんに就任しゅうにんしたトランプ前ぜん大統領だいとうりょうはアフガニスタンからの撤退てったいを目指めざしてタリバン側がわと和平わへい交渉こうしょうを続つづけ、去年きょねん2月つきに初はじめての和平わへい合意ごういに署名しょめいしました。

アメリカ政府せいふとタリバンの和平わへい合意ごういではアフガニスタンに駐留ちゅうりゅうするアメリカ軍ぐんなどが合意ごういから14か月かげつ以内いないに完全かんぜん撤退てったいすることが盛り込もりこまれ、ことし5月つき1日にちまでという撤退てったいの期限きげんが示しめされました。

ただ現地げんちでは和平わへい合意ごうい以降いこうも戦闘せんとうやテロが相次あいつぎ、ことし1月つきに発足ほっそくしたバイデン政権せいけんは期限きげんを4か月かげつ余あまり延期えんきして同時どうじ多発たはつテロから20年ねんとなることし9月つき11日にちまでに完全かんぜん撤退てったいさせると決きめました。

さらに7月つき、バイデン政権せいけんは現地げんちのアフガニスタン政府せいふ軍ぐんには十分じゅうぶんな力ちからが備そなわっているなどとして完全かんぜん撤退てったいの時期じきを8月末げつまつとする方針ほうしんを発表はっぴょうしました。

バイデン政権せいけんの高官こうかんはアフガニスタンから部隊ぶたいを完全かんぜん撤退てったいさせる背景はいけいについて軍事ぐんじ的てきな活動かつどうを活発かっぱつ化かさせる中国ちゅうごくに対抗たいこうするため人員じんいんや資源しげんを再さい配置はいちする戦略せんりゃくの一環いっかんでもあるとの認識にんしきを示しめしています。

また戦闘せんとうの長期ちょうき化かによって戦費せんぴや派遣はけんされた兵士へいしの数かずも積つみ上あがりアメリカ国内こくないの世論せろんが「戦争せんそう疲づかれ」に傾かたむいていったこともバイデン大統領だいとうりょうの決定けっていを後押あとおししたものとみられます。

声明せいめいでは、タリバンを念頭ねんとうに「アフガニスタン全土ぜんどにおよぶ権力けんりょくを持もつ者ものは、人命じんめいと財産ざいさんを保護ほごし、治安ちあんと秩序ちつじょを速すみやかに回復かいふくさせる責任せきにんがある」として、アフガニスタン人じんや外国がいこく人じんが国外こくがいに安全あんぜんに退避たいひできるよう求もとめています。

そのうえで「アフガニスタンの人ひとたちは安全あんぜんと尊厳そんげんが保たもたれた状態じょうたいで生活せいかつができなければならない」として、今後こんごの政権せいけん運営うんえいにあたって、女性じょせいの人権じんけんの確保かくほなどを求もとめています。