土砂災害や川の氾濫の危険性が高い状態が続いています。西日本や東日本では10日にかけて再び大雨となるおそれがあり、厳重な警戒を続けてください。
気象庁によりますと、九州の南から東北にのびる前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定になっています。
午後7時までの1時間には、鹿児島県十島村諏訪之瀬島で40ミリの激しい雨を観測しました。
鹿児島県鹿屋市では今月2日の降り始めから8日午後7時までの雨量が1060ミリと平年の7月1か月分の3倍に達しているほか、8日、一時、特別警報が出た岐阜県と長野県でも今月3日の降り始めから午後7時までの雨量が
長野県の御嶽山で870.5ミリ
岐阜県の下呂市萩原で740ミリなどと
平年の7月1か月分を超える記録的な大雨となっています。
土砂災害の危険性が非常に高い状態が続き、熊本県と鹿児島県、奈良県、岐阜県、静岡県、長野県では「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。
福岡県では、「氾濫危険水位」を超えている川があります。
今後の見通し
今後の見通しです。
前線は10日ごろにかけて停滞する見込みで、9日にかけては西日本と東日本の広い範囲で雷を伴って激しい雨が降り、局地的には、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれがあります。
豪雨による大きな被害が出た九州でも、これから、再び雨が強まる見込みです。9日夕方までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで
九州と四国、近畿で200ミリ
東海で180ミリ
関東甲信で100ミリ
北陸と東北で60ミリと予想されています。
雨はその後も降り続き、10日夕方までの48時間の雨量は、
九州と四国で300ミリから400ミリ
近畿と東海で200ミリから300ミリ
関東甲信で150ミリから250ミリ
北陸で100ミリから150ミリ
東北で50ミリから100ミリと予想されています。
大雨となった地域では地盤が緩み、川の堤防が傷んだ場所があるなど災害の危険性が非常に高い状態が続いていて、気象庁は土砂災害や川の氾濫、低い土地の浸水に厳重に警戒するほか、落雷や竜巻などの激しい突風にも十分注意するよう呼びかけています。
今回の大雨では、短時間のうちに状況が急激に悪化するケースが相次いでいます。
明るいうちに安全な場所へ移動しておくことが大切ですが、浸水して足元が確認できなかったり、斜面から水が勢いよく流れたりするなど、危険な場合には近くの頑丈な建物の高い階で、崖や斜面と反対側の部屋に移動するなどして身の安全を確保してください。
“記憶にない”長期停滞
各地に記録的な大雨をもたらしている梅雨前線。
今月3日以降、列島に沿うように停滞し、この先も大きく位置が変わらない予想です。
気象庁の担当者も「これほど長いのは記憶にない」と語る停滞の原因は、太平洋高気圧の位置と勢力です。
気象庁によりますと、例年、梅雨末期のこの時期には前線が停滞して大雨になるケースが多くありますが、太平洋高気圧が次第に勢力を強め日本付近に張り出すことで、梅雨前線は北上して梅雨が明けます。
しかし、ことしは高気圧の勢力が強まらず位置がほとんど変わらないため、前線が北上することなく列島付近に停滞し続けていて、少なくとも10日ごろまではこの状態が続くとみられています。
竜巻などの突風にも警戒が必要
梅雨前線の南側で発達する積乱雲のもとでは、大雨に加えて竜巻などの突風の危険性も高まります。
8日朝、発達した積乱雲が通過した愛知県豊橋市付近では激しい突風で住宅の屋根が飛ばされるなどの被害が出たほか、昼前には関東北部で積乱雲が発達し、栃木県で突風被害が相次ぎました。
列島に停滞する見通しの梅雨前線がもたらす大雨や激しい突風。
今後も、警戒が必要です。