日本新聞: 【全文】天皇陛下平和を願うおことば感染拡大に触れた一文も

【全文ぜんぶん】天皇てんのう陛下へいか平和へいわを願ねがうおことば感染かんせん拡大かくだいに触ふれた一文いちぶんも

Aug 15, 2020 12:08

Furigana

終戦しゅうせんの日ひの15日にち、天皇てんのう陛下へいかは、皇后こうごうさまとともに全国ぜんこく戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきに臨のぞみ、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいにも触ふれながら、人々ひとびとの幸しあわせと平和へいわを願ねがうおことばを述のべられました。終戦しゅうせんから75年ねんを迎むかえた15日にち、天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかは、東京とうきょうの日本にっぽん武道ぶどう館かんで行おこなわれた全国ぜんこく戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきに臨のぞまれました。

感染かんせん拡大かくだいの影響えいきょうで、両りょう陛下へいかがそろって公おおやけの場ばに姿すがたを見みせるのは半年はんとしぶりで、マスク姿すがたで式典しきてんに出席しゅっせきされ、正午しょうごの時報じほうとともに参列さんれつ者しゃ全員ぜんいんで黙もくとうをささげたあと、天皇てんのう陛下へいかがおことばを述のべられました。

天皇てんのう陛下へいかは、はじめに「さきの大戦たいせんにおいて、かけがえのない命いのちを失うしなった数すう多おおくの人々ひとびととその遺族いぞくを思おもい、深ふかい悲かなしみを新あらたにいたします」と述のべられました。

そして、「過去かこを顧かえりみ、深ふかい反省はんせいの上うえに立たって、再ふたたび戦争せんそうの惨禍さんかが繰り返くりかえされぬことを切せつに願ねがい、戦陣せんじんに散ちり戦禍せんかに倒たおれた人々ひとびとに対にたいし、全ぜん国民こくみんと共とともに、心こころから追悼ついとうの意いを表あらわし、世界せかいの平和へいわと我が国わがくにの一層いっそうの発展はってんを祈いのります」と締しめくくられました。

ことしのおことばには、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいに触ふれた一文いちぶんも加くわえられ、天皇てんのう陛下へいかは、新あらたな苦難くなんに直面ちょくめんしているとしたうえで、「私わたしたち皆みなが手てを共ともに携たずさえて、この困難こんなんな状況じょうきょうを乗り越のりこえ、今後こんごとも、人々ひとびとの幸しあわせと平和へいわを希求ききゅうし続つづけていくことを心こころから願ねがいます」と述のべられました。

戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきの天皇てんのうのおことばに現在げんざいの課題かだいが盛り込もりこまれたのは初はじめてで、上皇じょうこうさまの戦争せんそうと平和へいわへの思おもいを受け継うけつぐ姿勢しせいとともに、感染かんせん拡大かくだいに直面ちょくめんする人々ひとびとに寄よせる天皇てんのう陛下へいかの思おもいがあらわれたものとなりました。

天皇てんのう陛下へいかのおことば全文ぜんぶん

本日ほんじつ、「戦没せんぼつ者しゃを追悼ついとうし平和へいわを祈念きねんする日ひ」に当あたり、全国ぜんこく戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきに臨のぞみ、さきの大戦たいせんにおいて、かけがえのない命いのちを失うしなった数すう多おおくの人々ひとびととその遺族いぞくを思おもい、深ふかい悲かなしみを新あらたにいたします。

終戦しゅうせん以来いらい七なな十じゅう五ご年ねん、人々ひとびとのたゆみない努力どりょくにより、今日きょうの我が国わがくにの平和へいわと繁栄はんえいが築き上きずきあげられましたが、多おおくの苦難くなんに満みちた国民こくみんの歩あゆみを思おもうとき、誠まことに感慨深かんがいぶかいものがあります。

私わたしたちは今いま、新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの感染かんせん拡大かくだいにより、新あらたな苦難くなんに直面ちょくめんしていますが、私わたしたち皆みなが手てを共ともに携たずさえて、この困難こんなんな状況じょうきょうを乗り越のりこえ、今後こんごとも、人々ひとびとの幸しあわせと平和へいわを希求ききゅうし続つづけていくことを心こころから願ねがいます。

ここに、戦後せんごの長ながきにわたる平和へいわな歳月さいげつに思おもいを致いたしつつ、過去かこを顧かえりみ、深ふかい反省はんせいの上うえに立たって、再ふたたび戦争せんそうの惨禍さんかが繰り返くりかえされぬことを切せつに願ねがい、戦陣せんじんに散ちり戦禍せんかに倒たおれた人々ひとびとに対にたいし、全ぜん国民こくみんと共とともに、心こころから追悼ついとうの意いを表あらわし、世界せかいの平和へいわと我が国わがくにの一層いっそうの発展はってんを祈いのります。