新型しんがたコロナで世界せかいの観光かんこう産業さんぎょう34兆ちょう円えん損失そんしつ リーマン後ごの3倍ばい以上いじょう

これはリーマンショック後ごの2009年ねんの経済けいざい危機ききによる損失そんしつの3倍ばい以上いじょうだということです。

また、先月せんげつ19日にちの時点じてんで、世界せかい217の国くにや地域ちいきのうち、53％にあたる115の国くにや地域ちいきで、国外こくがいからの観光かんこう客きゃくの受け入うけいれを停止ていししたままだということで、ＵＮＷＴＯは「世界せかいの観光かんこうの劇的げきてきな落ち込おちこみは、観光かんこう産業さんぎょうに携たずさわる何なん百ひゃく万まん人にんもの生活せいかつを危機ききにさらす」として、感染かんせん防止ぼうし対策たいさくを講こうじたうえで、観光かんこう客きゃくの受け入うけいれを、できるだけ早はやく再開さいかいさせる必要ひつようがあると訴うったえています。

一方いっぽうで、域内いきないの観光かんこうをいち早いちはやく再開さいかいさせたヨーロッパなどでは、夏なつのバカンスから帰国きこくした人ひとから、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが確認かくにんされる例れいが相次あいついでいて、観光かんこうと感染かんせん対策たいさくの両立りょうりつの難むずかしさが浮き彫うきぼりとなっています。

韓国かんこく 穴場あなば100選せんで分散ぶんさん

韓国かんこくでは、特定とくていの観光かんこう地ちに人ひとが集中しゅうちゅうするのを避さけるため、政府せいふの関連かんれん団体だんたい、韓国かんこく観光かんこう公社こうしゃが、屋外おくがいで楽たのしめる場所ばしょや、これまであまり知しられていなかった、いわば「穴場あなば」の観光かんこう地ちなど100か所かしょをインターネット上じょうで公開こうかいしています。

こうした観光かんこう地ちをピーアールするため、民間みんかん企業きぎょうと連携れんけいしスマートフォンのアプリやＳＮＳを活用かつようした取り組とりくみも打ち出うちだしていて、7月つきから8月つきにかけては、地図ちずアプリを使つかって訪おとずれた2万まん人にんに景品けいひんが当あたるほか、専用せんようサイトで宿泊しゅくはく先さきを予約よやくすると費用ひようの20％、日本にっぽん円えんで最大さいだいおよそ2700円えんが割引わりびきになるキャンペーンを行おこないました。

また、7月つきにかけて、これらの観光かんこう地ちの写真しゃしんを撮とってＳＮＳに投稿とうこうした1000人にんに商品しょうひん券けんが当あたる催もよおしも開ひらきました。

韓国かんこく観光かんこう公社こうしゃは、こうした取り組とりくみを通をつうじて、観光かんこう客きゃくには自然しぜんが多おおく、感染かんせんリスクが比較的ひかくてき低ひくい地域ちいきへの訪問ほうもんを促うながし、観光かんこう地ちの経済けいざいを下支したざさえしたい考かんがえです。

ラスベガス行いき飛行機ひこうき1000便びんチケット買い取かいとり

アメリカで経済けいざい活動かつどうの再開さいかいが相次あいついだ6月つき、日本人にっぽんじん観光かんこう客きゃくにも人気にんきがある、西部せいぶネバダ州しゅうのラスベガスでは、カジノなどのオーナーが、観光かんこう客きゃくを呼び戻よびもどすためのキャンペーンを打ち出うちだしました。

「アメリカの飛行機ひこうきを止とめるな」と名付なづけた、このキャンペーンは、ラスベガスで複数ふくすうのカジノやホテルを所有しょゆうするデレック・スティーブンズ氏しが企画きかくしました。

シアトルやデトロイト、アトランタなど、全米ぜんべい20以上いじょうの都市としからラスベガスに向むかう飛行機ひこうき1000便びんのチケットを買い取かいとり、カジノを利用りようできる21歳さい以上いじょうの旅行りょこう者しゃに無料むりょうで提供ていきょうするというもので、スティーブンズ氏しは、ツイッターで「皆みなさんをラスベガスに呼び戻よびもどしたい。もちろん、私わたしのホテルに泊とまってくれればうれしいが、そうでなくてもかまわない。私わたしたちは、自分じぶんにできる役割やくわりを果はたそうとしているだけだ」などと呼よびかけました。

観光かんこうの再開さいかいに向むけた取り組とりくみが加速かそくする一方いっぽう、アメリカメディアによりますと、ラスベガスでは、6月つき4日にちから5週間しゅうかん後ごには、1日にち当あたりの感染かんせん者しゃ数すうが10倍ばいに増ふえました。

地元じもとの保健ほけん当局とうきょくは、カジノで新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん者しゃが出でたことを知しらせる報告ほうこくを複数ふくすう受け取うけとっているものの、具体ぐたい的てきな感染かんせん場所ばしょや件数けんすうは、把握はあくできていないということで、専門せんもん家かは「カジノの再開さいかいは、命いのちをかけたギャンブルだ」などと非難ひなんしています。

バリ島ばりとう ビジネスマン誘致ゆうち

日本人にっぽんじんにも人気にんきのリゾート地ち、インドネシアのバリ島ばりとうでは、抗体こうたい検査けんさなどを受うけ、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしていないことを証明しょうめいできる国内こくないの観光かんこう客きゃくに限かぎって、7月つきから受け入うけいれを再開さいかいしました。

現地げんちのビーチやヒンズー教ひんず-きょう寺院じいんなどの観光かんこう地ちでは観光かんこう客きゃくの姿すがたが再ふたたび見みられるようになり、友人ゆうじんと寺院じいんを訪おとずれた女性じょせいは「休暇きゅうかを取とってバリ島ばりとうでリフレッシュすることができ、とてもうれしいです」と話はなしていました。

しかし、国内こくない線せんで島しま外がいから訪おとずれた人ひとの数かずは、ことし1月つきは1日にち平均へいきん1万まん2000人にん余あまりでしたが、8月つき19日にちは4000人にん余あまりと、感染かんせん拡大かくだい前まえと比くらべると大おおきく落ち込おちこんだままです。

こうした中なか、インドネシアにある日系にっけいの旅行りょこう会社かいしゃ4社しゃは、現地げんちに駐在ちゅうざいしている日本にっぽんのビジネスマンやインドネシアの富裕ふゆう層そう向むけに、バリ島ばりとうに滞在たいざいしながらテレワークで働はたらく「ワーケーション」プランの販売はんばいを始はじめました。

このプランでは、Ｗｉ－Ｆｉの設備せつびが整ととのっている高級こうきゅうホテルに最大さいだい7割わり引びきで宿泊しゅくはくでき、テレワークをしながら空あき時間じかんに観光かんこう地ちやホテルのプールなどでリラックスすることができます。

このプランを企画きかくした日本にっぽん旅行りょこうインドネシアの臼井うすい太一たいちゼネラルマネージャーは「多おおくの問い合といあわせが来きていますが、渡航とこうには陰性いんせいであることを証明しょうめいする必要ひつようがあるなどハードルがあり、まだ様子見ようすみの方ほうが非常ひじょうに多おおいです」と話はなしています。

そのうえで、インドネシアでは感染かんせん拡大かくだいが続つづいていることから、「渡航とこうによる感染かんせんを恐おそれる人ひともいて、客足きゃくあしが戻もどるにはもう少もうすこし時間じかんがかかると考かんがえています」と述のべ、観光かんこう産業さんぎょうの復活ふっかつには感染かんせんの収束しゅうそくが欠かかせないと指摘してきしています。

専門せんもん家か 新あたらしい観光かんこう形態けいたいを

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで多おおくの観光かんこう地ちが苦境くきょうに立たたされていることについて、観光かんこう社会しゃかい学がくが専門せんもんの立命館大学りつめいかんだいがくの遠藤えんどう英樹ひでき教授きょうじゅは「外国がいこく人じん観光かんこう客きゃくにあまりにも依存いぞんしすぎてきたのではないか。外国がいこくに旅行りょこうできない状況じょうきょうは少すくなくとも1年ねん、長ながくて2年ねんから3年ねんは続つづく可能かのう性せいがある」と指摘してきしています。

そして、当面とうめんは外国がいこくへの旅行りょこうに代かわりオンラインで観光かんこう地ちの風景ふうけいや現地げんちガイドとの会話かいわを楽たのしむ「バーチャルツアー」や、近こん場じょうで観光かんこうを楽たのしむ「マイクロツーリズム」が世界せかい的てきに展開てんかいされるのではないかとして、「これまで見過みすごされてきた地元じもとの文化ぶんかや自然しぜんの価値かちを再さい発見はっけんするような、新あたらしい観光かんこう形態けいたいを取り入とりいれていく必要ひつようがあるのではないか」と話はなしています。

そのうえで観光かんこうと感染かんせん対策たいさくの両立りょうりつについては「今いまのところこれという答こたえはほぼない。感染かんせんリスクをよく考かんがえ、試行しこう錯誤さくごしながらやっていくしかない。国くにや観光かんこう産業さんぎょう、交通こうつう産業さんぎょう、旅行りょこう代理だいり店てん、飲食いんしょく店てん、地域ちいき社会しゃかいなどが連携れんけいして、観光かんこう客きゃくが3密みつにならないように行動こうどうをコントロールするための仕組しくみを考かんがえることが重要じゅうようだ」と話はなしています。