そのうえで「原発には『想定外』という言葉を使ってはならない。四国電力には、再稼働に向けて引き続き安全対策に注意を払ってもらいたい」と述べ、みずからも原発事故に備えた対策と情報公開を徹底し、住民の不安の解消に取り組む考えを示しました。
伊方町長「正直ほっとしている」
伊方原発がある愛媛県伊方町の高門清彦町長は「原発とともに歩んできた町なので、正直ほっとしている」と述べました。
そのうえで「原発には『想定外』という言葉を使ってはならない。四国電力には、再稼働に向けて引き続き安全対策に注意を払ってもらいたい」と述べ、みずからも原発事故に備えた対策と情報公開を徹底し、住民の不安の解消に取り組む考えを示しました。
四国電力社長「安全最優先に再開準備」
四国電力の佐伯勇人社長は「今回の決定は、伊方原発3号機の安全性は確保されているという当社のこれまでの主張が認められたものであり、妥当な決定をいただいたものと考えている。伊方原発3号機は四国での安定的かつ低廉な電力供給を支える基幹電源であり、安全を最優先に伊方原発3号機の運転再開に向けた準備を進めていきます」というコメントを出しました。
仮処分申し立てた住民「怒りの気持ち」
仮処分を申し立てた広島市中区の綱崎健太さん(38)は「これまでの対応で、裁判長から誠実な判断が下される感触はなかった。司法が誠実に審理しておらず、怒りの気持ちが湧いてくる」と話していました。
また、同じく申し立てをした住民の1人で、松山市に住む小倉正さん(57)は「東日本大震災のあともこのような決定が出るなど原発の“安全神話”を司法が作っていて、悲しく思う」と話していました。
住民側の弁護士「恥ずべき決定」
25日の決定を受けて住民側は裁判所の前で「この決定は歴史に断罪される」などと書かれた旗を掲げ、集まった支援者からは落胆の声が上がりました。
住民側の河合弘之弁護士は「今月末までの運転停止の仮処分を何としても取り消してやるという悪意に満ちた決定で、権力におもねる判断は、司法の歴史に残る恥ずべきものだ」と話していました。
原子力規制庁「コメントする立場にない」
原子力規制庁の大熊一寛総務課長は「民事裁判のため、原子力規制委員会は当時者ではなく、決定について直接コメントする立場にない。規制委としては、東京電力・福島第一原発の事故の教訓を踏まえ、科学的・技術的な知見に基づいて厳格な規制をしていく姿勢に変わりはない」と述べました。
松山市ではさまざまな意見
広島高等裁判所が伊方原発3号機の運転を認めたことについて、松山市ではさまざまな意見が聞かれました。
2歳の娘がいる40歳の母親は「運転停止の決定が取り消され残念だ。大地震で原発が被災すると、松山市にも放射性物質が飛んでくる危険はあると思う。幼い子どものためにも再稼働しないでほしい」と話していました。
51歳の男性は「今回の判断はしかたなかったと思う。今は原発抜きで電力を節約するような世の中ではない。火力や自然エネルギーだけで電力をまかなえればいいが、現状では難しいと思う」と話していました。
高齢の母親が原発のある伊方町で暮らしているという53歳の男性は「安全のために原発はなくしたほうがいいと思うが、町にとっては大きな財源にもなっているので複雑な心境だ。少子高齢化が進む中、どうすれば原発に頼らない町にできるか考える必要があると思う」と話していました。