児童じどう養護ようご施設しせつなどを離はなれ自立じりつ後ごの実態じったい 初はつ調査ちょうさへ 厚生こうせい労働ろうどう省しょう

児童じどう福祉ふくし法ほうのもと原則げんそくとして18歳さいになると自立じりつが求もとめられますが、進学しんがくや就職しゅうしょくで施設しせつなどを退しさ所しょしたあとに人間にんげん関係かんけいがうまくいかず、仕事しごとが続つづかなかったり誰だれにも頼たよれずに孤立こりつしたりするケースが少すくなくないと指摘してきされています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうはどのような支援しえんが必要ひつようなのかを検討けんとうするため、来月らいげつ、初はじめての実態じったい調査ちょうさを行おこなうことになりました。

調査ちょうさは過去かこ5年間ねんかんに児童じどう養護ようご施設しせつや里親さとおや家庭かていなどを離はなれた15歳さい以上いじょうの人ひとが対象たいしょうでおよそ3万まん人にんに上のぼると見込みこまれています。

自立じりつの前後ぜんごにどのような支援しえんを受うけたかや、現在げんざいの暮くらしで困こまっていること、それに必要ひつようだと思おもう支援しえんなどについてアンケートを行おこないます。

また、全国ぜんこくの児童じどう養護ようご施設しせつやファミリーホームなど1200か所かしょ余あまりと里親さとおや家庭かていにもアンケートを行おこない、子こどもの自立じりつに向むけてどのような取り組とりくみをしているか調しらべることにしています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、22歳さいまで施設しせつなどでの暮くらしを継続けいぞくしたり、18歳さいで自立じりつした場合ばあいも家賃やちんや生活せいかつ費ひを支援しえんしたりする制度せいどを3年ねん前まえに設もうけました。今回こんかいの実態じったい調査ちょうさでこの制度せいどの利用りよう状況じょうきょうなどについても把握はあくしたいとしています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは「どのような支援しえんのニーズがあるのかを分析ぶんせきし、制度せいどの充実じゅうじつにつなげたい」としています。

都内とないの児童じどう養護ようご施設しせつ「生活せいかつ安定あんていするまで支援しえんが必要ひつよう」

東京とうきょう 清瀬きよせ市しの児童じどう養護ようご施設しせつ「子供こどもの家いえ」では、子こどもたちが進学しんがくを諦あきらめたり、転職てんしょくを繰り返くりかえして生活せいかつに困窮こんきゅうしたりしないよう、本人ほんにんの希望きぼうに応おうじて22歳さいまで施設しせつで暮くらせることにしています。現在げんざい、11人にんが高校こうこう卒業そつぎょう後ごも施設しせつでの生活せいかつを続つづけています。

施設しせつによりますと、18歳さい以降いこうも施設しせつなどで暮くらし続つづける「措置そち延長えんちょう」については、児童じどう相談そうだん所しょが認みとめたうえで行おこなうことになっています。

しかし、高校こうこうを卒業そつぎょうした子こどもの「措置そち延長えんちょう」を認みとめないケースがあったということで、施設しせつの負担ふたんで新あらたな居住きょじゅうスペースを確保かくほしなければならないことがあったといいます。

この児童じどう養護ようご施設しせつでは、施設しせつ側がわも本人ほんにんも施設しせつでの暮くらしを続つづけることが必要ひつようだと考かんがえているのに児童じどう相談そうだん所しょが「措置そち延長えんちょう」を認みとめなかったことについては、児童じどう虐待ぎゃくたいの増加ぞうかを背景はいけいに、新あらたに入所にゅうしょする子こどもが後ごを絶たたないことがその背景はいけいにあるのではないかと話はなします。

また、22歳さいで施設しせつを出でたあとも支援しえんを継続けいぞくしたいと思おもっても人手ひとでが足たりないため、十分じゅうぶんな支援しえんができないことに課題かだいを感かんじています。

施設しせつ長ちょうの早川はやかわ悟さとる司つかささんは「虐待ぎゃくたいで新あらたに保護ほごされる子こどもの対応たいおうで児童じどう相談そうだん所しょも施設しせつも手ていっぱいとなり、長ながく支援しえんすることが難むずかしいという現状げんじょうがある。できるだけ時間じかんをかけて段階だんかい的てきに自立じりつしていくことが非常ひじょうに重要じゅうようで、できれば生活せいかつが安定あんていするまでは支援しえんを継続けいぞくする必要ひつようがある」と話はなしています。

高校こうこう卒業そつぎょう後ごも施設しせつで暮くらす男性だんせいは

ことし20歳さいになった男性だんせいは、幼おさない時ときから東京とうきょう 清瀬きよせ市しの「子供こどもの家いえ」で過すごし、去年きょねん、高校こうこうを卒業そつぎょうしましたが、現在げんざいも施設しせつで暮くらしています。

18歳さいで高校こうこうを卒業そつぎょうする際さい、自分じぶんの将来しょうらいをイメージすることができず、施設しせつを出でることに不安ふあんがありました。

まずは就職しゅうしょくに必要ひつようなスキルを身みにつけようと、語学ごがくの専門せんもん学校がっこうに進学しんがくしましたが、授業じゅぎょうになじめず、ことし3月つきにやめてしまったということです。

4月つきからは施設しせつの紹介しょうかいで、近ちかくの特別とくべつ養護ようご老人ろうじんホームで非ひ常勤じょうきん職員しょくいんとして介護かいごの仕事しごとをしています。

正規せいき職員しょくいんになることや、運転うんてん免許めんきょをとることなど新あらたな目標もくひょうもでき、少すこしずつお金おかねをためて自立じりつすることを目指めざしていて「就職しゅうしょくのサポートをしてくれて次つぎの居場所いばしょを見みつけることができたのはとてもありがたかったです。それがなかったら、そのあとどうなっていたかわかりません。施設しせつで暮くらしていれば貯金ちょきんもできるので、徐々じょじょに不安ふあんが消きえてきて、施設しせつを出でたあとのこともイメージできるようになりました」と話はなしていました。