北朝鮮きたちょうせん 軍事ぐんじパレードで新型しんがたミサイル登場とうじょう 米べい高官こうかん「失望しつぼう」

ICBMとみられる新型しんがたのミサイル登場とうじょう

北朝鮮きたちょうせんは、朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとうの創立そうりつ75年ねんにあわせて、10日にち午前ごぜん0時じからピョンヤン中心ちゅうしん部ぶのキム・イルソン（金きむ日成いるそん）広場ひろばで軍事ぐんじパレードを行おこないました。

この中なかでは、「北極星ほっきょくせい4」と記しるされた新型しんがたとみられるSLBM＝潜水せんすい艦かん発射はっしゃ弾道だんどうミサイルのほか、ICBM＝大陸たいりく間かん弾道だんどうミサイル級きゅうとみられる新型しんがたのミサイルを登場とうじょうさせました。

最後さいごに登場とうじょうしたこの新型しんがたのミサイルは、北朝鮮きたちょうせんがアメリカ本土ほんど全域ぜんいきを攻撃こうげきできると主張しゅちょうするICBM級きゅうの「火星かせい15型がた」より大おおきく、片側かたがわ11輪りんの車両しゃりょうに載のせられていました。

北朝鮮きたちょうせんが軍事ぐんじパレードを行おこなったのは、おととし9月つき以来いらいで、アメリカ軍ぐんなどが詳くわしい分析ぶんせきを進すすめています。

キム委員いいん長ちょう演説えんぜつ アメリカ名指なざしのけん制けんせいは避さける

一方いっぽう、キム・ジョンウン朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとう委員いいん長ちょうは演説えんぜつで、「敵対てきたい勢力せいりょくによる核かくの脅威きょういを抑おさえるため、自衛じえい的てきな戦争せんそう抑止よくし力りょくを引き続ひきつづき強化きょうかしていく」と述のべましたが、アメリカを名指なざししてけん制けんせいすることは避さけました。

北朝鮮きたちょうせんとしては、来月らいげつ行おこなわれる大統領だいとうりょう選挙せんきょ後ごのアメリカの出方でかたを見極みきわめていくものとみられます。

また、キム委員いいん長ちょうは、新型しんがたコロナウイルスへの対応たいおうや水害すいがいで、経済けいざいが大おおきな打撃だげきを受うけていることについて、「わたしの努力どりょくと誠意せいいが足たりず、人民じんみんが生活せいかつの苦くるしさから抜け出ぬけだせずにいる」と述のべ、時折ときおり、目元めもとを拭ぬぐうしぐさをみせました。

そのうえで「人民じんみんからの信頼しんらいは、命いのちをささげてでも守まもっていく」と述のべ、国民こくみん生活せいかつを重視じゅうしする姿勢しせいを強調きょうちょうしました。

米べい政府せいふ高官こうかん「失望しつぼうしている」

アメリカ政府せいふ高官こうかんは10日にち、NHKの取材しゅざいに対にたいし、「北朝鮮きたちょうせんが禁止きんしされている核かくやミサイルの開発かいはつを優先ゆうせんしつづけていることに失望しつぼうしている」とするコメントを出だしました。

そのうえでこの高官こうかんは「北朝鮮きたちょうせんが完全かんぜんな非核ひかく化かを実現じつげんするため持続じぞく的てきで中身なかみのある交渉こうしょうに応おうじるよう求もとめる」として、非核ひかく化かの交渉こうしょうに応おうじるよう、改あらためて求もとめました。

軍事ぐんじアナリスト「世界せかい最大さいだい級きゅうの移動いどう式しきICBMか」

軍事ぐんじアナリストで東京とうきょう大学だいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンターの小泉こいずみ悠ゆう特とく任にん助じょ教きょうは、「かつてアメリカやソ連それんが作つくった超ちょう大型おおがたICBMとサイズ的てきにはほぼ同おなじくらいとみられ、世界せかいでも最大さいだい級きゅうの移動いどう式しきICBMといって間違まちがいないと思おもう。これまでできなかった複数ふくすうの弾頭だんとうを搭載とうさいできるタイプではないか」と分析ぶんせきしました。

そのうえで「複数ふくすうの核かく弾頭だんとうを積つんだ新型しんがたのミサイルが発射はっしゃされた場合ばあい、迎撃げいげきするのは難むずかしいため、北朝鮮きたちょうせんはアメリカに対にたいして一定いっていの核かく抑止よくし力りょくを持もてると見込みこんでいるのではないか」と指摘してきしました。

一方いっぽうで、兵器へいきとしては何なん度ども発射はっしゃ実験じっけんを行おこなう必要ひつようがあるとしたうえで、実際じっさいに発射はっしゃ実験じっけんを行おこなうかどうかが今後こんごの焦点しょうてんだと指摘してきしました。

このほか、北朝鮮きたちょうせんが公開こうかいした「北極星ほっきょくせい4」と記しるされた新型しんがたとみられるSLBM＝潜水せんすい艦かん発射はっしゃ弾道だんどうミサイルについては、「従来じゅうらいのSLBMより短みじかくなっていて、かなりの射程しゃていをもちながら潜水せんすい艦かんに収おさまるサイズになっている。北朝鮮きたちょうせんは、ミサイルをたくさん搭載とうさいできる本格ほんかく的てきな潜水せんすい艦かんを作つくろうとしている可能かのう性せいがある」と分析ぶんせきしています。

また、戦車せんしゃやロケット砲ほうなどの兵器へいきも近代きんだい化かしていると指摘してきし、「北朝鮮きたちょうせんはアメリカとの対話たいわのため2018年ねん以降いこう、ICBMなどの発射はっしゃは控ひかえてきたが、その間そのかんに、韓国かんこくを打撃だげきする兵器へいきに関にかんしても注力ちゅうりょくしてきたことがわかる」としています。

専門せんもん家か 米べいへの過度かどな刺激しげきを避さけたという見方みかた

北朝鮮きたちょうせんの政治せいじに詳くわしい慶應義塾けいおうぎじゅく大学だいがくの礒崎いそざき敦あつし仁じん准じゅん教授きょうじゅは、「北朝鮮きたちょうせんは年初ねんしょから新型しんがたの兵器へいきを見みせると予告よこくしそれが今回こんかい実行じっこうに移うつされた。来月らいげつのアメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょでトランプ大統領だいとうりょうの再選さいせんを見据みすえ様子見ようすみをしているなかで発射はっしゃ実験じっけんまではしておらず、キム・ジョンウン委員いいん長ちょうの演説えんぜつもアメリカに対にたいして抑制よくせい的てきだった」と述のべ、新型しんがたのICBM開発かいはつを誇示こじしつつアメリカへの過度かどな刺激しげきを避さけたという見方みかたを示しめしました。

一方いっぽうで、キム委員いいん長ちょうの演説えんぜつについて「目元めもとを拭ぬぐうしぐさや『心こころが痛いたい』などと述のべ、国民こくみんの感情かんじょうに訴うったえるものだった。新型しんがたコロナウイルスへの対応たいおうと災害さいがい、そして制裁せいさいの三重みえ苦くによって、非常ひじょうに厳きびしい状況じょうきょうに陥おちいっている北朝鮮きたちょうせんが、指導しどう者しゃ、党とう、そして国民こくみんの一体いったい化かを図はかろうとして、それが大おおきく演出えんしゅつされた」と述のべ、北朝鮮きたちょうせんの厳きびしい国内こくない事情じじょうを反映はんえいした内容ないようだったと指摘してきしました。

韓国かんこく 各かくメディア 大おおきく伝つたえる

北朝鮮きたちょうせんの軍事ぐんじパレードについて、韓国かんこくの各かくメディアは、分析ぶんせき記事きじなどで大おおきく伝つたえています。

特とくに、ICBM＝大陸たいりく間かん弾道だんどうミサイル級きゅうとみられる新型しんがたのミサイルが登場とうじょうしたことに関心かんしんが集あつまっていて、「朝鮮ちょうせん日にち報ほう」は、「ミサイルがより長ながく、直径ちょっけいも大おおきくなっていて、射程しゃてい距離きょりが拡張かくちょうされたものと推定すいていされる。複数ふくすうの弾頭だんとうを搭載とうさいできる可能かのう性せいもあると分析ぶんせきされる」と伝つたえています。

さらに、「東亜とうあ日報にっぽう」は、軍事ぐんじパレードを生なま中継ちゅうけいで伝つたえなかったことについて、「新型しんがたのミサイルなどを登場とうじょうさせ、アメリカに明確めいかくな警告けいこくを送おくりながらも、大統領だいとうりょう選挙せんきょまで1か月かげつをきったアメリカのトランプ大統領だいとうりょうを刺激しげきしないよう調整ちょうせいした」と分析ぶんせきしています。

また、キム委員いいん長ちょうが、「愛あいする南みなみの同胞どうほうたちに温あたたかい気持きもちを送おくり、1日にちも早はやくこの保健ほけん危機ききが克服こくふくされ、北きたと南みなみが再ふたたび手てを取り合とりあう日ひが来くることを願ねがう」と述のべたことについても大おおきく取り上とりあげています。

「ハンギョレ新聞しんぶん」は、「新型しんがたコロナウイルスが落ち着おちつけば、南北なんぼく関係かんけいの改善かいぜんが期待きたいできるとの趣旨しゅしの発言はつげんだ」と指摘してきしています。

一方いっぽう、通信つうしん社しゃの連合れんごうニュースは、兵士へいしや市民しみんらがマスクをつけていなかったことについて、「ウイルス対策たいさくへの自信じしんを示しめしたものとみられる」と伝つたえています。