油井亀美也さんら4人の宇宙飛行士を乗せて、アメリカ・フロリダ州から打ち上げられた民間の宇宙船「クルードラゴン」は、打ち上げからおよそ15時間かけて、日本時間の2日午後3時半ごろ、国際宇宙ステーションへのドッキングに成功しました。
ドッキングの1時間45分後には、ハッチが開かれて油井さんらが船内に入り、およそ半年間の長期滞在を始めることになっています。
国際宇宙ステーションにはことし3月から同期の宇宙飛行士の大西卓哉さんが滞在していて、業務の引き継ぎを受けるほか、共同での記者会見も予定されています。
また、長期滞在の期間中には、日本の新型宇宙輸送船、「HTV-X」が初めて到着する見込みで、油井さんがロボットアームを使って輸送船をキャッチして宇宙ステーションに取り付ける計画となっています。
宇宙船打ち上げの様子を【動画】で
油井亀美也さんは日本時間の1日午後10時ごろ、アメリカ フロリダ州のケネディ宇宙センターで、アメリカやロシアの3人の宇宙飛行士とともに、宇宙船「クルードラゴン」に乗り込みました。
そして、宇宙船を搭載した「ファルコン9」ロケットのエンジンが点火され、2日午前0時43分に国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられました。
宇宙船はおよそ10分後に予定された軌道でロケットから分離され、打ち上げは成功しました。
油井さんは地上との交信の中で「日本の皆さん、10年ぶりに宇宙に帰ってきました。国際宇宙ステーションでしっかりと任務を果たして、1等星のように輝いて、日本のすばらしいところを世界中の人に知っていただきたいと思います」と話していました。
油井さんは2015年以来となる2度目の宇宙飛行で、打ち上げから15時間ほどかけて国際宇宙ステーションに到着し、およそ半年間の長期滞在を始めることになっています。
国際宇宙ステーションにはことし3月から同期の宇宙飛行士の大西卓哉さんが滞在していて、業務の引き継ぎを受けるほか、共同での記者会見も予定されています。
また、長期滞在の期間中には、日本の新型宇宙輸送船「HTV-X」が初めて到着する見込みで、油井さんがロボットアームを使って輸送船をキャッチして宇宙ステーションに取り付ける計画となっています。
油井亀美也さん “私の最後のミッションになるかも”
油井亀美也さんは、長野県川上村の出身の55歳。
防衛大学校を卒業したあと、1992年に航空自衛隊に入隊してパイロットなどを務め、2009年、宇宙飛行士の候補の選抜試験で、およそ1000人の応募者の中から選ばれました。
その後、JAXA=宇宙航空研究開発機構に入り、NASA アメリカ航空宇宙局での訓練を終えたあと、2011年に正式に宇宙飛行士として認定を受けています。
そして、2015年には自身初めてとなる宇宙飛行を行い、およそ5か月間、国際宇宙ステーションに滞在して科学実験などを行いました。
2016年から2023年までは、JAXAの宇宙飛行士グループ長を務めました。
ことし6月のNHKのインタビューでは「私の最後のミッションになるかもしれないので、やり残しがないように、多くの方に勇気や希望を与え、将来につながるようなミッションにしたい」と抱負を語っていました。
ほかに2人のアメリカ人と1人のロシア人が搭乗
「クルードラゴン」には、油井亀美也さんのほかに、2人のアメリカ人宇宙飛行士と、1人のロシア人宇宙飛行士が搭乗します。
アメリカ人の1人はジーナ・カードマン飛行士。2017年に宇宙飛行士に選抜され、今回は初めての宇宙飛行で、宇宙船の船長を務めます。
もう1人はマイケル・フィンク飛行士。1996年に宇宙飛行士に選抜され、これまで3回の宇宙飛行を経験していて、豊富な船外活動の実績もあるベテランです。
ロシア人のオレグ・プラトノフ飛行士は、2018年に宇宙飛行士に選抜され、今回が初めての宇宙飛行となります。
「クルードラゴン」とは
「クルードラゴン」はアメリカの民間企業「スペースX」の宇宙船です。
全長8メートル余り、直径4メートルで、飛行士が乗り込む「カプセル」と機器や貨物が搭載されている「トランク」で構成されています。
カプセルには最大で7人乗ることができますが、通常は4人の飛行士が搭乗します。
「エンデバー」と名付けられている今回のカプセルは、2021年に日本人宇宙飛行士の星出彰彦さんも搭乗した機体で、今回が6回目の打ち上げになります。
打ち上げやドッキングは基本的に自動で行われ、搭乗者は3つのタッチパネルで状況をモニターしながら国際宇宙ステーションに向かいます。
「クルードラゴン」を打ち上げる「ファルコン9」ロケットとは
「クルードラゴン」を打ち上げるのは、「スペースX」が開発した「ファルコン9」ロケットです。
全長70メートル、直径3.7メートルの2段式のロケットで、燃料には灯油の一種であるケロシンを使い、液体酸素とともに燃焼させます。
打ち上げ後に切り離した1段目を着地点に誘導して回収し、再使用できるのが特徴で、繰り返し使用することで打ち上げ1回当たりの費用を削減しています。
「ファルコン9」は2010年以降、これまでに500回以上打ち上げられていて、このうち宇宙飛行士や民間人を乗せた有人宇宙船の打ち上げにはすべて成功しています。
無人の輸送船や人工衛星を載せたロケットの失敗は過去に3回あり、2024年7月には、ロケットの2段目から液体酸素が漏れる異常が起きて、およそ8年ぶりに失敗しています。