日本新聞: コロナ禍の映画祭是枝監督「何が本質か考えるきっかけに」

コロナ禍かの映画えいが祭さい是枝これえだ監督かんとく「何なにが本質ほんしつか考かんがえるきっかけに」

Nov 8, 2020 07:11

Furigana

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで映画えいが界かいがさまざまな制約せいやくを受うけているなか、是枝これえだ裕和ひろかず監督かんとくが自身じしんが携たずさわっている東京とうきょう国際こくさい映画えいが祭さいについて取材しゅざいに応おうじ、「何なにが本質ほんしつなのか考かんがえるいいきっかけになる」などとコロナ禍かの映画えいが祭さいに対にたいする思おもいを語かたりました。先月せんげつ31日にちに開幕かいまくしたアジア最大さいだい規模きぼの映画えいが祭さい「東京とうきょう国際こくさい映画えいが祭さい」は、ことしは新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで規模きぼが大幅おおはばに縮小しゅくしょうされ、オープニングセレモニーで恒例こうれいのレッドカーペットを取とりやめたほか、最優秀さいゆうしゅう賞しょうなどを決きめる『コンペティション部門ぶもん』を開催かいさいせず、9日にちの最終さいしゅう日びには「観客かんきゃく賞しょう」だけを発表はっぴょうします。

大おおきく様変さまがわりした映画えいが祭さいについて、NHKの取材しゅざいに応おうじた是枝これえだ裕和ひろかず監督かんとくは「コンペに意味いみがないというわけではないが、映画えいが祭さいが本来ほんらい持もっている豊ゆたかさはもう少もうすこし違ちがうところにある。ことしはコンペがないわけだから、もう一度もういちどゼロベースで考かんがえて、何なにが失うしなわれて、逆ぎゃくに何なにが映画えいが祭さいの本質ほんしつかを考かんがえるいいきっかけになると思おもう」と述のべました。

そして、映画えいが祭さいが目指めざすべき姿すがたについて「よい映画えいが祭さいでは、作つくり手しゅも育そだつ、映画えいがを批評ひひょうする書き手かきても育そだつ。いろんなものを育そだて、発見はっけんし、発掘はっくつしていく。歴史れきし的てきに視野しやが広ひろい感かんじがする」としたうえで、「経済けいざい的てきな効果こうかや国くにの利益りえきにつながらないと意味いみがないと言いわれる傾向けいこうがあるが、映画えいが祭さいはそういうものではない。国くにを超こえて映画えいがという豊ゆたかな文化ぶんかのために何なにができるかを考かんがえる特別とくべつな場所ばしょであることを、まずは共有きょうゆうしないと」と指摘してきしました。

一方いっぽう、今回こんかいの映画えいが祭さいでは、日本にっぽんとアジアの映画えいが監督かんとくや俳優はいゆうが8日間にちかんにわたってオンラインで対談たいだんする「アジア交流こうりゅうラウンジ」という新あらたなイベントが是枝これえだ監督かんとくの発案はつあんで実現じつげんし、俳優はいゆうの橋本はしもと愛あいさんなどが交代こうたいで参加さんかして互たがいの作品さくひんについて感かんじたことや映画えいがの未来みらいなどについて意見いけんを交かわしています。

これについて是枝これえだ監督かんとくは「立食りっしょくですしでもつまみながら、そこでの出会であいが新あたらしい映画えいがづくりにつながるような場所ばしょを作つくるつもりだった。今回こんかいはオンラインだったので、来年らいねん以降いこう、どう継続けいぞくして発展はってんしていけるかを考かんがえることが大事だいじだ」と話はなしていました。

是枝これえだ監督かんとくは、ことし予定よていしていた撮影さつえいがすべてなくなってしまったということで「撮影さつえいの現場げんばでは、労務ろうむ時間じかんや食事しょくじの管理かんりを含ふくめてお金おかねがかかることを無理むりやり圧縮あっしゅくしていたことに思おもい至いたった。製作せいさくを再開さいかいしたときに、たぶん今いままでどおりにはいかないことを理解りかいしなくてはいけない。コロナ禍かでよかったとは言いわないが、コロナを経へて改善かいぜん点てんが見みつかった」と今後こんごの映画えいがづくりについて前向まえむきに語かたっていました。