今回、
民主派が、
区議会議員選挙で
圧勝したことで
区議会そのものには
大きな権限はないものの、
今後、
香港の
政治に
一定の
影響を
与えることが
予想されます。まず、
注目されるのは、
政府トップの
行政長官を
決める選挙への
影響です。
行政長官選挙は、一般の市民ではなく、議会の議員や各業界から選ばれた選挙委員1200人による間接選挙で行われますが、今回の結果を受けて区議会議員に割り当てられている選挙委員117人すべてを民主派が占める可能性が高くなりました。
全体では、依然として親中派の選挙委員が多く、次の行政長官選挙では民主派寄りの行政長官を選出するのは難しい状況ですが、民主派の影響力がこれまでより強まることになります。
さらに、香港では来年秋に、議会にあたる立法会議員の選挙が予定されていて、今回の選挙で示された政府に対する反発が再び民主派への勢いとなって立法会でも議席を伸ばす可能性があります。
ただ、香港政府やその後ろ盾となる中国としては、民主派に政治の実権を握られるのは避けるとみられ、制度の見直しなど、何らかの対応を取ることも予想されます。
また、中国寄りの香港の新聞は、25日朝の紙面で今回の選挙について、親中派の候補者の事務所が破壊されたことに触れて「反政府側は選挙の公平性を損なった」と非難していて、親中派の候補者や中国政府が今後、選挙の有効性を疑問視する可能性もあります。
一方、今回の選挙結果は、香港で続く政府に対する抗議活動にも影響を与えそうです。
今回の選挙では、民主派の候補の多くが抗議活動を通じて求めてきた「民主的な選挙の実現」や、警察による取締りの対応などを検証する「独立調査委員会の設置」などの要求を訴えに掲げて当選しました。
このため、こうした民意が示された結果だとして、政府に対する要求をさらに強めるとみられます。
ただ、これまでも要求を拒否し続けてきた香港政府にとっては、受け入れることは容易ではなく、対応しだいでは、市民の反発がさらに強まり、混乱が深まる可能性もあります。