危険なあおり
運転が
相次いでいることを
受けて、
警察庁は、あおり
運転そのものを
処罰できるよう
道路交通法の
改正を
進めることになりました。
懲役などの
罰則を
設け、
免許の
取り消しも
可能に
なる見通しです。ことし
8月、
茨城県の
常磐自動車道で、あおり
運転をしたうえ
相手の
男性の
顔を
殴ってけがをさせた
などとして
男が
逮捕されるなど
悪質な
運転が
相次いでいますが、
現在の
道路交通法ではあおり
運転の
定義はなく、
警察は
適正な
車間距離を
取らないなどの
違反について
取締りを
行っています。
警察庁はあおり運転について、
▽通行を妨害する目的で一定の違反によって危険が生じるおそれのある行為をした場合や、
▽こうした行為によってほかの車を停止させた場合、などと定義し、懲役などの罰則を設ける方針です。
違反行為の詳しい内容は今後検討しますが、
▽後続車の走行を妨げる進路変更や、
▽車間距離を極端に詰めること、などが想定されています。
さらに飲酒運転などと同じように、あおり運転を行った場合行政処分による免許取り消しの対象になる見通しです。
警察庁は年明けの通常国会に道路交通法の改正案を提出することにしています。
専門家 「重要なのは取締りの実効性」
あおり運転の定義を法律で定めて罰則を強化することについて甲南大学法科大学院の園田寿教授は「車をぶつけることと同様に、車を接近させることも暴行と捉える現在の取締りは一般の感覚からあまりにも離れている。あおり運転をしっかり定義すれば法律関係がすっきりするし、一般の国民としても納得がしやすいと思う」と話しています。
そのうえで「法律を改正して国民の意識を高めることは違反を減らす効果があるが、いちばん重要なのは取締りの実効性であり、そうなることで法改正が意味のあるものになる」と話しています。
相次ぐあおり運転「定義し罰する必要」
今回、警察庁があおり運転の厳罰化を検討するきっかけになったのが、ことし8月、常磐自動車道であおり運転をした男が、相手の男性の顔を殴ってけがをさせたなどとして逮捕された事件でした。
現在の道路交通法にはあおり運転そのものを罰する規定はなく、警察はあおり運転をした男を、
▽「傷害」と、
▽高速道路上で男性の車を無理やり止めさせた「強要」、の疑いで逮捕しました。
9月には愛知県の東名高速道路で、前を走る車に対してあおり運転をしたうえ、エアガンのようなものを発射したとして器物損壊の疑いで男が逮捕されました。
警察庁は悪質なドライバーを厳しく取り締まるにはあおり運転そのものを定義して罰する必要があると判断し、法改正に向けた検討を進めてきました。