亡くなった中学生の自宅跡には、花が手向けられていました。
被災地では復旧作業の人手が足りないため、企業もボランティアに協力し、作業にあたっています。
輪島 久手川町 いまも多くの住宅に土砂
亡くなった輪島市久手川町の中学3年生、喜三翼音さんの自宅があった場所には、21日も花が手向けられていました。
久手川町では塚田川が氾濫し、住宅4軒が流されるなどして4人が亡くなり、いまも多くの住宅に土砂などが流れ込んだままです。
塚田川の周辺でも大量の土砂が堆積したままで、重機を使った撤去作業が続けられています。
浸水した仮設住宅 大半の人が戻る
1月の能登半島地震のあと、輪島市門前町浦上地区に建設された仮設住宅の団地では、9月の豪雨で近くの川が氾濫したため、一部の住宅が床上まで水につかる被害を受けました。
浦上地区の喜田充区長会長によりますと、当時、仮設住宅の団地に入居していた50世帯余りは一時、別の場所に避難していましたが、現在はほとんどが戻ってきているということです。
21日も仮設住宅の床に敷いてあるシートを張り替えたり、壊れた網戸を直したりする作業が行われていました。
作業は12月中旬には終わる予定で、最終的におよそ80世帯が入居する予定だということです。
喜田さんは「地震と豪雨の二重被災でこの地区には高齢者も多く、このままでは希望を持って住み続けることができない。行政には浦上地区のような郊外の集落にも目を向けて、復興を進めてほしい」と話していました。
企業がボランティア活動 住宅の泥を運び出し
輪島市では21日、大手通信会社の「NTTドコモ」がボランティア活動を始めました。
全国から集まった20人の社員が、社会福祉協議会の担当者などから説明を受けたあと、スコップなどを使って住宅や側溝に流れ込んだ泥などを運び出す作業にあたっていました。
会社によりますと、豪雨災害の被災地で復旧作業の人手が足りないことを受けて、グループ全体でボランティアに協力することを決めたということです。
石川県は、本格的な雪の時期となる12月中旬までに、輪島市と珠洲市、能登町で住宅の土砂の撤去を終えたいとしていて、そのためには、延べ2万人のボランティアが必要だということですが、11月4日までに、実際に活動したのは半数ほどにとどまっているということです。
参加した20代の社員は「活動には個人でも参加したいと思っていましたが、会社が手続きや準備などをしてくれたので参加しやすかったです。復旧が少しでも進めばと思います」と話していました。
青木官房副長官 “創造的復興に向けた取り組みを加速”
青木官房副長官は記者会見で、「現在も輪島市と珠洲市の避難所には多くの方が避難しており、生活環境の確保に取り組むとともに、仮設住宅の復旧工事など住環境の確保に努めている。石川県の要望を踏まえ、豪雨で生じた土砂を市町村が一括で撤去し、費用を事後に精算できる仕組みも構築した」と述べました。
その上で、「活気ある能登を取り戻すため、被災者の声に寄り添いながら、復旧と創造的復興に向けた取り組みを一層加速していく」と述べました。