アメリカ議会は、
トランプ大統領がメキシコとの
国境に
壁を
建設する
費用を
盛り込むよう
強硬に
主張していることを
受けて
与野党が
対立し、
期限前に
新たな
予算案を
可決できず、アメリカの
政府機関の
一部が
閉鎖される
事態となりました。こうした
事態は
トランプ政権のもとではことし
2月以来、
3度目で、
年3回の
閉鎖は1977
年以来、41
年ぶりです。
アメリカの
予算編成をめぐっては、
トランプ大統領がメキシコとの
国境沿いの
壁の
建設費を
盛り込んでいない
予算案には
署名しない
方針を
示しているの
に対して、
野党・
民主党が、
不法移民対策に
壁は
必要ないと
反発しています。
議会下院では、壁の建設費を盛り込んだ来年2月8日までの暫定予算案を20日、可決しましたが、上院では、予算の期限が切れる21日になっても、新たな予算案を可決できませんでした。このため現地時間の22日午前0時すぎ日本時間の22日午後2時すぎ、政府機関が一部閉鎖される事態となりました。
政府機関が一部閉鎖となれば、トランプ政権のもとではことし2月以来、3度目で、年3回の閉鎖は1977年以来、41年ぶりです。
これによって国防や治安など、国の安全などに直結する業務は継続されるものの、一部の国立公園などが閉鎖されるものと見られます。
トランプ大統領は21日、記者団に対して、「長期間の閉鎖にも備えている」と述べていて、与野党の隔たりの解消が見通せない中、政府機関の一部閉鎖が長期化することへの懸念も出ています。
アメリカ議会は、先の中間選挙の結果を受けて来年1月3日から下院で民主党が多数派となり、上院と下院で多数派が異なる「ねじれ」状態になります。
トランプ大統領としては、その前に公約の実現に向けた足がかりを得たいという思惑があるものと見られますが、議会での対立は、株価の下落要因になるなど、波紋を呼んでいます。
壁の建設費めぐり米予算編成混乱の経緯
アメリカの予算編成をめぐっては、予算の期限が切れる今月21日を前に新たな暫定予算案の成立を目指し与野党の間で調整が進められてきました。
トランプ大統領は今月11日、民主党の幹部をホワイトハウスに招き、政府機関の一部閉鎖をちらつかせながら公約に掲げてきたメキシコとの国境沿いに壁を建設する費用を盛り込むよう求めました。
これに対して民主党の下院トップ、ペロシ院内総務は「不法移民対策に壁は必要ない」と反発し、トランプ大統領とテレビカメラの前で激しい口論を繰り広げました。
与野党の間での調整が進まない中、サンダース報道官は18日、トランプ大統領が各省庁に割り当てられた財源から建設費を捻出するよう指示したと明らかにし、いったんは壁の建設費の要求を取り下げました。これを受けて議会上院は19日、壁の建設費を盛り込まずに2月8日までの暫定予算案を可決しました。
ところが、トランプ大統領は20日になって「国境の安全のためには物理的な壁が欠かせない。こうした責務を果たせる内容の予算案に署名することを期待している」と述べ、一転して壁の建設費が盛り込まれなければ予算案に署名しない考えを示しました。
トランプ大統領が態度を変えた背景には不法移民対策に弱腰だという批判が保守派の議員などから上がったことがあるという指摘も出ています。
アメリカ議会は、先の中間選挙の結果を受けて来年1月3日から下院で民主党が多数派となり上院と下院で多数派が異なる「ねじれ」状態になるため、トランプ大統領としては、共和党が主導権を握る今の議会のうちに壁の建設という公約の実現に道筋をつけたいという思惑があるものとみられます。
しかし、トランプ大統領の突然の方針転換に議会は混乱。与党・共和党が多数派を占める下院は20日、急きょ、壁の建設費57億ドルを盛り込んだ来年2月8日までの暫定予算案を可決しました。
一方、上院は予算案の可決に必要な票が足りず、与野党の調整に残された時間は21日の1日だけで、結局、政府機関の一部が閉鎖される事態に追い込まれました。
政府・議会ともに予測不能のトランプ大統領にほんろうされた形です。