レスリング 吉田よしだ沙いさご保里ほりが引退いんたい

吉田よしだ沙いさご保里ほり選手せんしゅは、三重みえ県けん出身しゅっしんの36歳さい。オリンピックでは女子じょしが正式せいしき種目しゅもくに採用さいようされた2004年ねんのアテネ大会たいかいから2012年ねんのロンドン大会たいかいまで３さん連覇れんぱを果はたし、2016年ねんのリオデジャネイロ大会たいかいでは、４よん大会たいかい連続れんぞくのメダルとなる銀メダルぎんめだるを獲得かくとくしています。

また世界せかい選手権せんしゅけんでは、2002年ねんから2015年ねんまで前人ぜんじん未到みとうの13連覇れんぱを果はたし、「霊長れいちょう類るい最強さいきょう」との異名いみょうを持もつほど圧倒的あっとうてきな強つよさを見みせ、平成へいせい24年ねんには国民こくみん栄誉えいよ賞しょうを受賞じゅしょうしました。

リオデジャネイロ大会たいかい以降いこうは、日本にっぽん代表だいひょうチームや母校ぼこうの至いたり学がく館かん大学だいがくで選手せんしゅとコーチを兼任けんにんしつつ、メディアへの出演しゅつえんも精力せいりょく的てきにこなすなど幅広はばひろく活躍かつやくをしていましたが、公式こうしき戦せんには出場しゅつじょうせず、進退しんたいについて明あきらかにしていませんでした。

３さん年ねん前まえの2016年ねん11月つきに就任しゅうにんした至いたり学がく館かん大学だいがくの副ふく学長がくちょうの役職やくしょくについては「レスリングの指導しどうに専念せんねんしたい」などとして去年きょねん８月はちがつ末まつに辞任じにんしていて、去就きょしゅうが注目ちゅうもくされていました。

吉田よしだ選手せんしゅは10日にち、都内とないのホテルで会見かいけんを開ひらき、引退いんたいに至いたった経緯けいいや今後こんごの予定よていなどを発表はっぴょうする予定よていです。

ツイッターにコメント

吉田よしだ沙いさご保里ほり選手せんしゅは自身じしんのツイッターで、「いつも応援おうえんしていただきありがとうございます。このたび、33年間ねんかんのレスリング選手せんしゅ生活せいかつに区切くぎりをつけることを決断けつだんいたしました。ここまで長ながい間ま、現役げんえき選手せんしゅとして頑張がんばってこれたのもたくさんの方々かたがたの応援おうえんとサポートのおかげです。みなさん、本当ほんとうにありがとうございました」とコメントしています。

レスリング協会きょうかい会長かいちょう「将来しょうらい彼女かのじょの思おもう道みちでも金メダルきんめだるを」

日本にっぽんレスリング協会きょうかいの福ふく田富たとみ昭あきら会長かいちょうは、吉田よしだ沙いさご保里ほり選手せんしゅの引退いんたいについて、「偉大いだいなる女子じょし選手せんしゅでオリンピック３さん連覇れんぱはすばらしいことだ。引退いんたいはさみしいが、将来しょうらい、彼女かのじょの思おもう道みちを進すすみ、そこでも金メダルきんめだるを取とってほしい」と話はなしていました。

また、ＪＯＣじぇいお-し-＝日本にっぽんオリンピック委員いいん会かいの竹田たけだ恒和つねかず会長かいちょうは「本当ほんとうにこれまで頑張がんばって、長ながい間まやってもらったことに感謝かんしゃしています。これからもこれまでの経験けいけんを生いかして日本にっぽんのレスリングのため、スポーツ界かいのために頑張がんばってもらいたい」と話はなしました。

決断けつだんには主おもに２ふたつの要因よういん

吉田よしだ沙いさご保里ほり選手せんしゅが現役げんえき引退いんたいを決断けつだんした背景はいけいには、主おもに２ふたつの要因よういんがあると考かんがえられます。

一ひとつは、来年らいねんに迫せまった東京とうきょうオリンピックの代表だいひょう選考せんこうです。吉田よしだ選手せんしゅは、先月せんげつ、全日本ぜんにほん選手権せんしゅけんへの出場しゅつじょうを見送みおくっていて、来年らいねんに迫せまった東京とうきょうオリンピックで代表だいひょうに選出せんしゅつされるためには、厳きびしい条件じょうけんをクリアする必要ひつようがありました。

東京とうきょうオリンピックのレスリングの代表だいひょうは、ことし９月くがつの世界せかい選手権せんしゅけんでメダルを獲得かくとくをすると内定ないていします。吉田よしだ選手せんしゅが53キロ級きゅうで世界せかい選手権せんしゅけんに出場しゅつじょうするには、６月ろくがつに行おこなわれる全日本ぜんにほん選抜せんばつ選手権せんしゅけんで優勝ゆうしょうしたうえでプレーオフで全日本ぜんにほんチャンピオンの向田むかいだ真しん優ゆう選手せんしゅと世界せかいチャンピオンの奥野おくの春菜はるな選手せんしゅの２に人にんに勝かつ必要ひつようがあり、条件じょうけんは非常ひじょうに厳きびしくなっていました。

現在げんざいもコーチとして母校ぼこうの至いたり学がく館かん大学だいがくなどで練習れんしゅうに参加さんかしている吉田よしだ選手せんしゅは、日本にっぽん代表だいひょう選手せんしゅにもひけを取とらない動うごきを見みせているということですが、公式こうしき戦せんで勝ち抜かちぬくためのコンディションが整ととのっていないと判断はんだんし、５ご回かい目めのオリンピック出場しゅつじょうを断念だんねんして引退いんたいを決断けつだんしたとみられます。

もう１いち点てんは、去年きょねん大おおきな波紋はもんを広ひろげたレスリングのパワーハラスメント問題もんだいです。関係かんけい者しゃによりますと恩師おんしの栄さかえ和人かずと氏しがパワハラで注目ちゅうもくを集あつめたことにより、吉田よしだ選手せんしゅも精神せいしん的てきに大おおきな負担ふたんを感かんじていたということです。こうした問題もんだいも吉田よしだ選手せんしゅがレスリングと距離きょりを置おきたいと考かんがえる理由りゆうの一ひとつになったとみられます。

吉田よしだ選手せんしゅの歩あゆみ

吉田よしだ沙いさご保里ほり選手せんしゅは三重みえ県けん出身しゅっしんの36歳さい。

父親ちちおやの栄勝えいかつさんが開ひらいていた自宅じたくの道場どうじょうで３さん歳さいからレスリングを始はじめました。

離はなれた位置いちから飛び込とびこむ「高速こうそくタックル」を武器ぶきとして、オリンピックでは、女子じょしが正式せいしき種目しゅもくに採用さいようされた2004年ねんのアテネ大会たいかいから55キロ級きゅうで３さん連覇れんぱを果はたしました。

世界せかい選手権せんしゅけんは、2002年ねんに初はつ優勝ゆうしょうして以降いこう、2015年ねんまで13連覇れんぱし、世界せかい選手権せんしゅけんとオリンピックを合あわせての16連覇れんぱは、「霊長れいちょう類るい最強さいきょう」とうたわれたロシアのアレクサンドル・カレリン選手せんしゅが男子だんしグレコローマンスタイルで達成たっせいした12連覇れんぱを上回うわまわり、レスリング史上しじょう最多さいたの記録きろくです。

2012年ねんには前人ぜんじん未到みとうの偉業いぎょうを成し遂なしとげたとして国民こくみん栄誉えいよ賞しょうを授与じゅよされました。

世界せかいのライバルたちが「高速こうそくタックル」を徹底てってい的てきに研究けんきゅうし、「吉田よしだ包囲ほうい網もう」を張はる中なか、年齢ねんれいを重かさねて全盛期ぜんせいきのスピードの維持いじが難むずかしくなりながらも、組み合くみあってからタックルに入はいる動うごきを磨みがくなどして、レスリングの質しつを高たかめながら戦たたかってきました。

しかし、53キロ級きゅうに出場しゅつじょうした2016年ねんのリオデジャネイロ大会たいかいでは、決勝けっしょうでアメリカの若手わかてに敗やぶれて銀メダルぎんめだるとなり、オリンピック４よん連覇れんぱはなりませんでした。

個人こじん戦せんでの敗戦はいせんは2001年ねん12月つきの全ぜん日本にっぽん選手権せんしゅけん以来いらいで、連勝れんしょうは「206」を記録きろくし、「絶対ぜったい女王じょおう」、「霊長れいちょう類るい最強さいきょう」といった異名いみょうを持もつほど圧倒的あっとうてきな強つよさを誇ほこりました。

リオデジャネイロ大会たいかい以降いこうは、全日本ぜんにほんのコーチを選手せんしゅと兼任けんにんしたり愛知あいち県けんにある母校ぼこうの至いたり学がく館かん大学だいがくで副ふく学長がくちょうとして広報こうほう活動かつどうを行おこなうなど活躍かつやくの場ばを広ひろげる一方いっぽうで、選手せんしゅとしては公式こうしき戦せんに出場しゅつじょうしておらず、進退しんたいについて明あきらかにしていませんでした。

去年きょねん８月はちがつには、「レスリングの指導しどうや練習れんしゅうに専念せんねんしたい」などとして至いたり学がく館かん大学だいがくの副ふく学長がくちょうを辞任じにんしていて、去就きょしゅうが注目ちゅうもくされていました。