アメリカ軍によりますと、ドローンはおよそ30キロ離れた沖合の上空で撃ち落とされ、訓練は成功したということです。
アメリカ軍は、今回の訓練をパラオで行った理由について「これまでに発射訓練を行ったことがない場所で経験を積み、防衛態勢を強化するため」としています。
太平洋の島しょ国では、中国がことし4月にソロモン諸島と安全保障に関する協定を結ぶなど影響力を拡大させていますが、軍隊を持たないパラオはアメリカと協定を結び国防を委ねているほか、台湾と外交関係を維持しています。
アメリカとしては、パラオでミサイルの発射訓練を行うことで、中国をけん制するねらいもあると見られます。
発射訓練のあと取材に応じた、アメリカ陸軍第94陸軍防空ミサイル防衛コマンドのマーク・ホラー司令官は「すべてが計画どおり進み、100%成功した。各軍のすばらしい連携によってミサイルは2発とも完璧に発射され、標的のドローンは破壊された」と述べ、訓練が成功したことを明らかにしました。 そして、発射訓練を初めてパラオで行った理由については「最大の目的は部隊の即応性を高めることだ。どこにでも迅速に展開し、重要な資産を守る能力を示すことが大事だ。地域の抑止力を高め、平和と安定を守るために選んだ場所がパラオだった」と述べました。 さらに、今回の訓練が行われた太平洋地域で影響力を拡大させる中国について「中国はその言動によって地域を不安定化させている。われわれは国際法に基づく秩序を守り、自由で開かれたインド太平洋を実現するためにここにいるということを、地域の同盟国やパートナーに示す必要がある」と述べ、訓練には中国をけん制するねらいがあったことも示唆しました。 そのうえで「われわれはもちろん、衝突を始めるつもりはないが、ほかの国が攻撃的になった場合に備え、われわれや同盟国などにとって大事なものを守る準備をしておかなければならない」と述べ、中国を念頭に、インド太平洋地域で防衛態勢の強化を進めていく考えを示しました。
米軍司令官 防衛態勢の強化進める考えを強調