日本新聞: 無観客の春場所八角理事長が異例のあいさつ【全文】

無む観客かんきゃくの春場所はるばしょ八角はっかく理事りじ長ちょうが異例いれいのあいさつ【全文ぜんぶん】

Mar 8, 2020 17:03

Furigana

大だい相撲すもうの本ほん場所ばしょで初日しょにちに、日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいの理事りじ長ちょうが土俵どひょう上じょうからファンに向むけて行おこなう恒例こうれいの協会きょうかいあいさつ。無む観客かんきゃくで始はじまった春場所はるばしょで、八角はっかく理事りじ長ちょうはテレビの中継ちゅうけいを通をつうじて異例いれいの長ながさとなる３さん分ふんあまりにわたって「大相撲おおずもうのもつ力ちからが世界中せかいじゅうの方々かたがたに勇気ゆうきや感動かんどうを与あたえ、世の中よのなかに平安へいあんを呼び戻よびもどすことができるよう、協会きょうかい員いん一同いちどう、一丸いちがんとなり15日間にちかん、全力ぜんりょくで努力どりょくする所存しょぞんです」とあいさつしました。

本ほん場所ばしょ初日しょにちのあいさつは、通常つうじょうは、三さん役やく以上いじょうの力士りきしだけが理事りじ長ちょうとともに土俵どひょうに上あがり、四方しほうに向むかって礼れいをする形式けいしきです。

しかし、無む観客かんきゃくで始はじまった今回こんかいは、幕内まくうちのすべての力士りきしと審判しんぱんの親方おやかたが土俵どひょうの周まわりに正面しょうめんに向むかって並ならびました。

そして、八角はっかく理事りじ長ちょうが土俵どひょう上じょうからテレビの中継ちゅうけいを通をつうじて異例いれいの長ながさとなる３さん分ふんあまりにわたってあいさつしました。

理事りじ長ちょうあいさつ【全文ぜんぶん】

「公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいは、社会しゃかい全体ぜんたいでコロナウイルス感染かんせん症しょうの拡大かくだいを防ふせいでいる状況じょうきょうを勘案かんあんし、またなにより、大だい相撲すもうを応援おうえんしてくださる多おおくのファンの皆様みなさまに、ご迷惑めいわくをかけることは決けっしてできないと考かんがえ、大だい相撲すもう三月さんがつ場所ばしょを無む観客かんきゃくで開催かいさいさせて頂いただく事こととなりました。

本ほん場所ばしょを楽たのしみにお待おまち頂いただいておりました多おおくの皆様みなさまには、大変たいへんなご迷惑めいわくとご心配しんぱいをおかけすることとなりましたが、何なにとぞ、ご理解りかいを賜たまわりますようお願おねがい申し上もうしあげます。

また、コロナウイルスに感染かんせんした皆様みなさまには、いっときも早はやいご回復かいふくをお祈おいのり申し上もうしあげます。

このようなお客様おきゃくさまのいない本ほん場所ばしょとなり、力士りきしにとっても、気持きもちを整ととのえるのが難むずかしい非常ひじょうに厳きびしい土俵どひょうとなりますが、それでも全ぜん力士りきしは、全国ぜんこく各地かくちで応援おうえんしてくださっている郷土きょうどの皆様みなさまやファンの方々かたがたの歓声かんせいや声援せいえんを心こころに感かんじ、精せいいっぱいの土俵どひょうを務つとめ、テレビでご観戦かんせんの皆様みなさまのご期待きたいにお応こたえするものと存ぞんじます。

古来こらいから力士りきしの四股しこは、邪悪じゃあくなものを土どの下したに押し込おしこむ力ちからがあると言いわれてきました。また、横綱よこづなの土俵入どひょういりは五穀ごこく豊穣ほうじょうと世の中よのなかの平安へいあんを祈願きがんするために行おこなわれてきました。

力士りきしの体からだは、健康けんこうな体からだの象徴しょうちょうだともいわれます。

床山とこやまが髪かみを結ゆい、呼出よびだしが拍子木ひょうしぎを打うち、行司ぎょうじが土俵どひょうをさばき、そして、力士りきしが四股しこを踏ふむ。この一連いちれんの所作しょさが、人々ひとびとに感動かんどうを与あたえると同時どうじに、大地だいちを鎮しずめ、邪悪じゃあくなものを押おさえこむのだと信しんじられてきました。

こういった大だい相撲すもうのもつ力ちからが、日本にっぽんはもちろん世界中せかいじゅうの方々かたがたに勇気ゆうきや感動かんどうを与あたえ、世の中よのなかに平安へいあんを呼び戻よびもどすことができるよう、協会きょうかい員いん一同いちどう、一丸いちがんとなり、15日間にちかん、全力ぜんりょくで努力どりょくする所存しょぞんでございます。何なにとぞ千秋楽せんしゅうらくまで、温あたたかいご声援せいえんを賜たまわりますよう、お願おねがい申し上もうしあげごあいさつと致いたします」