“病状びょうじょう改善かいぜんの治療ちりょう経緯けいい”を医師いしが公表こうひょう 北海道ほっかいどう 新型しんがたウイルス

北海道ほっかいどうにある旭川あさひかわ医科いか大学だいがく病院びょういんの古川ふるかわ博之ひろゆき病院びょういん長ちょうと、市立しりつ旭川あさひかわ病院びょういんの柿木かきのき康孝やすたか医師いしは、先月せんげつ22日にちに感染かんせんが確認かくにんされた旭川あさひかわ市しの70代だいの男性だんせいの診察しんさつと治療ちりょうにあたった病院びょういんの医師いしで、男性だんせいの承諾しょうだくを得えたうえで治療ちりょうに使つかった薬くすりや病状びょうじょうの変化へんかなど、改善かいぜんして退院たいいんするまでの詳くわしい治療ちりょうの経緯けいいを明あきらかにしました。

男性だんせいは先月せんげつ20日にち発熱はつねつやせきの症状しょうじょうを訴うったえて、旭川あさひかわ医科いか大学だいがく病院びょういんを最初さいしょに受診じゅしんし、古川ふるかわ病院びょういん長ちょうは「ＣＴで撮影さつえいした肺はいの画像がぞうを見みて、新型しんがたコロナウイルスが原因げんいんの肺炎はいえんに特徴とくちょう的てきな淡あわい影かげが見みられた」と感染かんせんを疑うたがったきっかけを説明せつめいしました。

男性だんせいは先月せんげつ22日にちに感染かんせんが確認かくにんされ、感染かんせん症しょうを扱あつかう専門せんもんの病床びょうしょうがある市立しりつ旭川あさひかわ病院びょういんに入院にゅういんします。

男性だんせいはぜんそくや肺はいの機能きのうが低下ていかするＣＯＰＤ＝慢性まんせい閉塞へいそく性せい肺はい疾患しっかんなどを患わずらっていて、治療ちりょうにあたった柿木かきのき医師いしは「基礎きそ疾患しっかんがある人ひとは病状びょうじょうが悪化あっかするのではという警戒けいかい心しんを持もった」と述のべました。

ただ新型しんがたコロナウイルスにはまだ特効薬とっこうやくがないことから「当初とうしょは対症たいしょう療法りょうほうをしながら人ひとが本来ほんらい持もつ免疫めんえき力りょくで戦たたかってもらうというスタンスだった」と話はなし、せきを止とめる薬くすりや解熱剤げねつざい、さらに二に次じ感染かんせんを防ふせぐ抗生こうせい剤ざいを投与とうよしたと説明せつめいしました。

しかし男性だんせいの病状びょうじょうは次第しだいに悪化あっかし、人工じんこう呼吸こきゅう器きが必要ひつようになるおそれもあったことから、入院にゅういんから７なな日にち目めの先月せんげつ28日にちに、国内こくない外がいで症状しょうじょうが改善かいぜんした報告ほうこくがあるエイズの発症はっしょうを抑おさえる抗こうウイルス薬やく「カレトラ」を投与とうよすることを決きめました。

柿木かきのき医師いしは「投与とうよした経験けいけんがある医師いしに相談そうだんしたところ、『効果こうかは証明しょうめいされていないがやってみる価値かちはある』という話はなしになった。副作用ふくさようも軽度けいどの肝かん障害しょうがいや軽度けいどの下痢げりだと確認かくにんし、病状びょうじょうが悪化あっかしているケースなので投与とうよした」と話はなしています。

投与とうよのあと病状びょうじょうは改善かいぜんし、翌日よくじつには体温たいおんが平熱へいねつに戻もどってせきも出でにくくなり、男性だんせいの日記にっきにも「劇的げきてきに改善かいぜんに向むかった」とつづられています。

男性だんせいは順調じゅんちょうに回復かいふくし、入院にゅういんから19日にち目めの今月こんげつ11日にちに退院たいいんしました。

柿木かきのき医師いしは薬くすりの効果こうかについてはまだ医学いがく的てきに確認かくにんされていない段階だんかいだとしたうえで「とても幸運こううんなケースだった。いろいろな要因よういんがあったと思おもうが、病状びょうじょうがひどく悪化あっかする前まえにタイムリーに投与とうよできたのが改善かいぜんの要因よういんの1つになったかもしれない」と分析ぶんせきしています。

カレトラは国内こくないで重症じゅうしょうとなった感染かんせん者しゃに投与とうよしたものの、改善かいぜんに至いたらなかったケースもあり、柿木かきのき医師いしは患者かんじゃへの投与とうよについては「投与とうよをせずに回復かいふくした人ひともおり、丁寧ていねいに診療しんりょうして患者かんじゃごとに判断はんだんするしかない」と述のべて、病状びょうじょうや基礎きそ疾患しっかんなどに応おうじて投与とうよの是非ぜひを判断はんだんする必要ひつようがあると話はなしています。