プロ野球のドラフト会議は東京都内で26日に行われ、去年までは新型コロナの影響で12球団が別々の部屋に入る形で無観客で行われていましたが、ことしは4年ぶりに関係者が一堂に集まり、観客が見守る中での開催となります。
高校生
高校生の注目は大阪桐蔭高校の左ピッチャー前田悠伍投手で、甲子園では、ともにセンバツ大会で2年生のときに優勝、3年生のときにベスト4に入ったほか、9月に台湾で行われた18歳以下のワールドカップにも日本代表として出場し、主力として日本を初優勝に導きました。
同じく注目の高校生、岩手の花巻東高校の佐々木麟太郎選手が「プロ野球志望届」を提出せず、アメリカの大学への進学を目指すことを明らかにした中、甲子園を沸かせた左腕の交渉権をどこが獲得するのか注目されます。
大学生・社会人
一方、ことし特に注目度が高いのが大学生で、即戦力と評価されているピッチャーが数多く名を連ねています。
まずは青山学院大の常廣投手です。大分舞鶴高校出身で高校時代は甲子園の出場経験はありませんが、身長1メートル80センチ、体重73キロとやや細身ながら、しなやかな腕の振りから繰り出す最速150キロ台中盤に達するキレのあるストレートとフォークボールが持ち味で、これまでに広島が1位指名することを明らかにしています。
また、東都大学野球でしのぎを削ってきたライバルたちもプロのスカウトから高い評価を受けています。
東洋大の細野晴希投手は最速158キロのストレートが持ち味の左ピッチャー、国学院大の武内夏暉投手は正確なコントロールと先発として試合を作る安定感が高く評価されている左ピッチャーです。
青山学院大の下村海翔投手は最速155キロのストレートと変化球をコントロールよく投げ分ける右ピッチャーで、常廣投手とともに今シーズンのリーグ戦の春夏連覇に貢献しました。
中央大の西舘勇陽投手は、ランナーがいない状態でもクイックモーションで投げる変わり種で最速155キロのストレートとキレのある変化球が持ち味の右ピッチャー、亜細亜大の草加勝投手は細身ながら最速153キロのストレートと豊富なスタミナが持ち味の右ピッチャーです。
また東都大学野球では2部でも、身長1メートル88センチの長身から最速152キロの力強いストレートを投げる専修大の右ピッチャー、西舘昂汰投手が高い評価を受けています。
ここまで紹介した東都大学野球の7人のピッチャーはストレートの最速が150キロを超え、これまでの取材ではいずれもドラフト1位を含め上位の候補に上がっていて、2部を含めた1つのリーグからドラフト1位が7人指名されれば58年のドラフトの歴史の中でも異例となります。
また社会人では、ENEOSの度会隆輝選手に注目が集まっています。父親はヤクルトでプレーした度会博文さんで、巧みなバットコントロールと長打力を持ち合わせた外野手としてスカウトの中では上位候補に名前が上がっています。
去年は12球団中9つの球団が事前に1位指名を公表し、競合したのは巨人と阪神が指名した高松商業の浅野翔吾選手(巨人に入団)、楽天とロッテが指名した立教大の荘司康誠投手(楽天に入団)の2人と、波乱の少ないドラフトとなりました。
一方で、ことしは事前の1位指名選手を公表をしたのは24日の時点で広島が常廣投手、西武が武内投手と2球団だけで、大学生ピッチャーを中心に「豊作」と言われる中で各球団がドラフト当日までどのような戦略で臨むのか、そして4年ぶりに観客が見守る中で行われるドラフト会議で、ことしはどのような光景が見られるのか注目されます。