19日、環境省が、研究者や業界団体の担当者などで作る小委員会の会合で素案を示し、議論が始まりました。
素案には、ペットボトルや弁当の容器など、使い捨てのプラスチックの排出量を、2030年までにこれまでの実績を踏まえて25%抑制することを目指すと掲げられています。
そして、レジ袋の有料化を小売店などに義務づける方針や、使い捨てのプラスチックは紙など再生可能な資源への代替を進めることなどが盛り込まれています。
現在の法律では、スーパーやコンビニなどの事業者にレジ袋の排出を抑制するよう求めていますが、義務ではありません。
有料化をめぐっては、サービスの低下や市民生活への負担を懸念する声もあり、法律で義務づける場合どのような方法で行うかや、実施の時期について、今後議論されることになります。
この方針は、プラスチックごみの削減やリサイクルを促進するため、政府が策定を進めている「プラスチック資源循環戦略」の素案に盛り込まれたものです。
19日、環境省が、研究者や業界団体の担当者などで作る小委員会の会合で素案を示し、議論が始まりました。
素案には、ペットボトルや弁当の容器など、使い捨てのプラスチックの排出量を、2030年までにこれまでの実績を踏まえて25%抑制することを目指すと掲げられています。
そして、レジ袋の有料化を小売店などに義務づける方針や、使い捨てのプラスチックは紙など再生可能な資源への代替を進めることなどが盛り込まれています。
現在の法律では、スーパーやコンビニなどの事業者にレジ袋の排出を抑制するよう求めていますが、義務ではありません。
有料化をめぐっては、サービスの低下や市民生活への負担を懸念する声もあり、法律で義務づける場合どのような方法で行うかや、実施の時期について、今後議論されることになります。
市民の受け止めは
環境省が示したレジ袋の有料化を義務づける方針について、東京 練馬区の商店街ではさまざまな声が聞かれました。
60代の女性は「レジ袋は、無料ならもらうが、有料だと買わないと思う。ごみは減らすべきなので反対はしない」と話していました。
一方、パンの販売店のオーナーは「ごみの削減には取り組まなければいけないと思う。しかし、パンは必ず温かいものと冷たいものを分けて小さい袋に入れたうえ、さらにレジ袋に入れている。衛生面も考えるとレジ袋をなくすことは難しい。有料化したらお客様が理解してくれるか不安だ」と話していました。
また、70代の女性は「レジ袋が有料化して断るようになったとしても、生ゴミを捨てるために新たに袋を買わないといけないので、最終的にごみの削減につながるのかが疑問だ」と話していました。
なぜ対策が急がれているのか
プラスチックごみが海に流出すると、海に生息する生き物に悪影響を及ぼすと懸念されています。
UNEP=国連環境計画の報告書などは、レジ袋やストローなどのプラスチックごみが海に漂うと、ウミガメやイルカなどがクラゲなどの餌と間違えて食べたり、クジラなどが餌と一緒に飲み込んだりして、最悪の場合、死ぬおそれがあると指摘しています。
こうした影響は、世界各地ですでに起きていて、ことし2月には、スペイン南東部の海岸に打ち上げられたマッコウクジラの胃と腸から合わせて29キロのプラスチック製の袋やペットボトルなどが見つかりました。
また、ことし5月には、タイ南部の海岸に打ち上げられて死んだクジラの胃の中から80枚余りのプラスチック製の袋が見つかり、現地の専門家は、プラスチックを大量に飲み込んだため、必要な栄養を摂取できなくなり、衰弱して死んだのではないかと分析しています。
このほかに、アザラシやオットセイなどが誤って飲み込んで、内臓などが傷つけられる被害が確認されています。
UNEPによりますと、今後、影響はさらに深刻化すると見られ、2050年までに世界中の海鳥のおよそ99%が、プラスチックを飲みこむと予想されるほか、クジラやオットセイなど600種以上の海洋生物が被害を受けると予想されています。
日本でもことし8月、神奈川県鎌倉市の海岸に打ち上げられたシロナガスクジラの赤ちゃんの胃の中からプラスチック片が見つかりました。
専門家によりますと、このクジラは母乳しか飲んでいない時期だったと推定され、餌をとろうとしたのではなく、泳いでいる間に誤って飲み込んだと見られることから、見つかったプラスチック片は死因とは直接関係ないとしていますが、プラスチックによる海洋汚染の広がりを示す事例だとして、日本でもプラスチックごみの削減を早急に進める必要があると指摘しています。
さらに、プラスチックごみが長期間、海に漂うと、波の力や紫外線の影響などで細かく砕け、大きさが5ミリ以下の「マイクロプラスチック」になります。
これは非常に小さいため回収が難しいほか、PCBなどの有害物質が付着しやすくなるうえ、魚や甲殻類、それに二枚貝などの小型の生き物の体内に入ってしまう事例もすでに確認されていて、生態系全体への影響や魚などを食べる人への影響も懸念されています。
国内は自治体が独自に条例 海外は70か国で規制
国内では、国の動きに先駆けて、自治体が独自に条例を制定し、スーパーやコンビニエンスストアなどにレジ袋の有料化など削減に向けた計画を策定し、毎年、実施状況の報告を義務づける動きがすでに出ています。
こうした条例を全国で最も早く制定したのが東京・杉並区で、平成20年3月。次いで平成20年12月に新潟県佐渡市が、平成22年3月には埼玉県川口市が制定しています。
こうした条例では、事業者が取り組みを進めない場合、事業者名を公表したり、最悪の場合、罰金を求めたりする罰則も設けています。
また、条例を制定していない自治体でも、小売業者などと独自に協定を結ぶなどして、有料化などの削減策を進めています。
一方、UNEP=国連環境計画の報告書によりますと、海外では、合わせておよそ70の国がプラスチック製の製品の使用を禁止したり、使用する際には有料にしたりすることを法律で義務づけているということです。
このうちアフリカのケニアでは、去年から使用だけでなく製造や販売までを法律で禁止しています。
全国に先駆けてレジ袋有料化 東京 杉並区では
全国に先駆けて平成20年にスーパーなどにレジ袋の有料化などの削減策を義務づける条例を制定したのが、東京・杉並区です。
条例では、年間20万枚以上のレジ袋を配るスーパーやコンビニエンスストアなど食品を販売する店に対して、有料化するなどしてレジ袋を受け取らない買い物客の割合を60%以上にする計画を策定したうえで、年度末の達成状況を報告するよう義務づけています。
この条例を受けて、スーパーの「クイーンズ伊勢丹」では、区内にある2つの店舗で、平成21年3月からレジ袋の有料化に踏み切りました。
レジ袋を利用する場合は、1袋当たり3円かかる一方、レジ袋を利用しない場合は、買い物で使えるポイントを付与しています。
また、レジの近くに紙をはって、「マイバッグ」の持参を呼びかけています。
昨年度は「杉並桃井店」で78%、「新高円寺店」で75.8%の客がレジ袋の利用を辞退したということです。
買い物に来た60代の男性は、「いつも当たり前のようにマイバッグを持ち歩いている。これでごみが減るのであればいいと思う」と話していました。
70代の女性は、「レジ袋はごみ袋に使うので有料だとちょっと困るが、ごみの問題が深刻化していることを考えるとしかたないと思う」と話していました。
「クイーンズ伊勢丹杉並桃井店」の竹内亮平店次長は「年々、お客様のレジ袋削減に対する意識は高まってきているように感じている。レジ袋の利用が減ることで、店側としてもコストを削減できるので、メリットがある」と話していました。
杉並区によりますと、条例が制定される前の平成19年度には区内のスーパーでおよそ1億枚のレジ袋が使用されていましたが、条例で有料化や利用を辞退した場合のポイントの付与、それに割引などが進められた結果、8年後の平成27年度に利用されたレジ袋の数はおよそ8200万枚と、およそ1800万枚、率にして18%削減できたということです。
コンビニでは
全国のスーパーが加盟する「日本チェーンストア協会」によりますと、ことし3月末の時点で、全国にある1万余りの店舗のうち、およそ22%に当たる2231の店舗でレジ袋の有料化を行っているということです。
この中には、自治体の条例や協定に基づいて行っている店や、自主的に行っているケースもあります。
協会では、今後、法律で義務づけられた場合は、レジ袋の有料化をする店がさらに増えると見ています。
一方、コンビニエンスストア各社が加盟する「日本フランチャイズチェーン協会」では、コンビニを訪れる客の中にはもともと買い物が目的ではなかったり、帰宅途中などに突然立ち寄ったりするため買い物袋を持っていない人も多いことから、客の利便性を考えて「現時点では業界としてレジ袋の有料化は積極的に進めていない」としています。
全国で最も早く条例を制定した東京・杉並区でも、区によりますと、平成27年度末時点で、条例が義務づけている削減計画の策定や達成状況の報告の対象になっている店舗のうち、有料化していない店舗は225あり、このうち88%に当たる199がコンビニだということです。
しかし、「日本フランチャイズチェーン協会」は、「法律でレジ袋の有料化が義務づけられた場合は、今後は対応せざるをえないと考えている」としています。