日本新聞: 3年ぶりサマソニ開催コロナ禍のフェス・ライブ事情

行動こうどう制限せいげんのない夏なつ。各地かくちで多おおくの音楽おんがくイベントが開催かいさいされています。

20日にちからは夏なつを代表だいひょうする野外やがいフェス「サマーソニック」が3年ねんぶりに開催かいさい。

ただ、感染かんせん対策たいさくとしてアーティストへのコール＆レスポンスは禁止きんしです。

ファンたちはどうやってアーティストに思おもいを届とどけようとしているのか。コロナ禍かのフェス・ライブ事情じじょうをのぞいてみます。

３さん年ねんぶりのサマソニ

「サマソニ」の愛称あいしょうで知しられる野外やがい音楽おんがくフェスティバル「サマーソニック」

は、新型しんがたコロナの影響えいきょうで中止ちゅうしとなっていましたが、ことしは感染かんせん対策たいさくをとったうえで大阪おおさかと千葉ちばの幕張まくはりで3年ねんぶりに開催かいさいされます。

国内外こくないがいの人気にんきアーティストが参加さんかし、20日にちから2日間にちかんの開催かいさい。

このうち大阪おおさか・此花このはな区くの舞まい洲しゅうの会場かいじょうでは、特設とくせつステージを作つくるなど準備じゅんびが進すすんでいました。

会場かいじょうでは▽入場にゅうじょう時じの検温けんおんやステージと食事しょくじのエリアを分わけるほか、ライブ中ちゅうも参加さんか者しゃどうしの距離きょりをとったうえで、▽歓声かんせいやハイタッチなどの接触せっしょく、▽コール＆レスポンスなどを禁止きんしにするなど感染かんせん対策たいさくをとるとしています。

先週せんしゅう、別べつの音楽おんがくフェスをメンバーの体調たいちょう不良ふりょうで出演しゅつえん辞退じたいした人気にんきのロックバンド「King Gnu」は今回こんかいのサマーソニックから復帰ふっきすることにしています。

一方いっぽう、「YOASOBI」はメンバーのコロナ感染かんせんが発覚はっかくし、18日にち、サマーソニックの出演しゅつえんを辞退じたいすると発表はっぴょうしました。

現場げんばでは感染かんせん対策たいさくをとりながら、ライブ開催かいさいに向むけた模索もさくが続つづいています。

大阪おおさか各地かくちでもライブ「声こえ出だしたいけど」

声こえを出だせないライブをファンはどのように思おもっているのでしょうか。

大阪おおさかでは19日にちから3日間にちかん、▽京セラきょうせらドームでEXILEのライブが、▽大阪城ホールおおさかじょうほ-るでKing ＆ Princeのライブが開ひらかれています。

会場かいじょう近ちかくでファンに話はなしを聞きくと…

（EXILEファンの30代だい男女だんじょ）

「朝あさからバッチリ準備じゅんびしてきました！歓声かんせいが上あがったほうがもちろん楽たのしいし、本当ほんとうは騒さわぎたいけど、生なまで見みられるだけで、歌声うたごえを聞きけるだけで十分じゅうぶんです。声こえを出ださずにいきます」

（King ＆ Princeファンの女性じょせい）

「まず席せきについたら触さわる場所ばしょから全部ぜんぶ消毒しょうどくします。あとは、ペンライトにメンバーカラーがあるので、必死ひっしにふる感かんじです」

（King ＆ Princeファンの別べつの女性じょせい）

「かっこよくて『キャーッ』って出でちゃうのを頑張がんばって抑おさえます」

（記者きしゃ：抑おさえられますか？）

「意地いじで抑おさえます！」

「心こころの中なかではめちゃめちゃテンションがあがっています。声こえを出だせないのは寂さびしいけど、本人ほんにんの声こえも聞きこえるので、それもありかなと思おもいます。ファンのためにやってくれているのがすごくうれしいのでちゃんとルールは守まもって楽たのしみたいと思おもいます」

声こえを出だしたくても必死ひっしにガマン！

感染かんせん対策たいさくをしながら、楽たのしみたいという声こえが多おおく聞きかれました。

声こえ出だしルールどうなっている？

ライブでの声こえ出だしのルールはどうなっているのでしょうか？

実じつは、政府せいふの「基本きほん的てき対処たいしょ方針ほうしん」では、会場かいじょうの収容しゅうよう率りつを50％とすれば「大声おおごえを出だしてのイベント」を開催かいさいすることが認みとめられています。例たとえば、3000人にんの会場かいじょうであれば、1500人にん以下いかで開催かいさいするということです。

もちろん、観客かんきゃく間かんの距離きょりをあけることは大切たいせつで、基本きほん的てき対処たいしょ方針ほうしんでは、できれば2メートル、最低さいていでも1メートルは開あけることを求もとめています。

実際じっさい、サッカーではスタジアムの収容しゅうよう率りつを50％にした一部いちぶの試合しあいでは、声こえを出だしての応援おうえんが許可きょかされています。

ライブは回復かいふく傾向けいこうで

ライブやフェスの状況じょうきょうについて、まとめたデータがありました。

ライブ・エンタテインメントの市場しじょうを調査ちょうさしているぴあ総研そうけんが、チケットの売り上うりあげから「市場しじょう規模きぼ」を推計すいけいしたものです。

それによると、コロナ禍か前まえの2019年ねんの市場しじょう規模きぼは6295億おく円えんでしたが、2020年ねんは1106億おく円えんと8割わりも減少げんしょうしていました。

ぴあ総研そうけんは「壊滅かいめつ的てきな打撃だげき」と評価ひょうかしています。

それが2021年ねんは、経済けいざい活動かつどうの回復かいふくや国くにによる支援しえんもあって、市場しじょう規模きぼはコロナ禍か前まえの半分はんぶん近ちかくまで持ち直もちなおしてきたということです。

ぴあ総研そうけんの予測よそくでは、▽2022年ねんはコロナ禍か前まえの8割わり程度ていどの5176億おく円えんまで回復かいふくし、▽2023年ねんにはコロナ禍か前まえの規模きぼまで戻もどると見込みこまれています。

ぴあ総研そうけんの笹井ささい裕子ゆうこ所長しょちょうは「元通もとどおりとはいかないが、息いきを吹き返ふきかえしつつあると思おもいます。コロナ禍かでも感染かんせん対策たいさくを取とりながら実施じっしするノウハウが蓄積ちくせきされ、ファンも感染かんせん対策たいさくを取とりながら楽たのしむ形かたちが少すこしずつ定着ていちゃくしてきた」と話はなしていました。

観客かんきゃくが戻もどるには時間じかんが

ただ、懸念けねんしている点てんもあるといいます。

コロナ後ごのチケット代だいには、感染かんせん対策たいさく費用ひようが上乗うわのせされている傾向けいこうもあり、実際じっさいの観客かんきゃく数すうはコロナ前まえの水準すいじゅんには戻もどっておらず、観客かんきゃく数すうが戻もどってくるにはさらに時間じかんがかかるとみられるということでした。

笹井ささい所長しょちょうは「公演こうえん活動かつどうを継続けいぞくすること、しかもそれが安全あんぜんに配慮はいりょされ感染かんせん対策たいさくが徹底てっていされていることが広ひろく認みとめられることが大事だいじです。引き続ひきつづき気きを緩ゆるめずに感染かんせん対策たいさくを続つづけていかなければならないと考かんがえています」と話はなしていました。