日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)はオマーンの販売代理店に日産から支出させた資金の一部を私的に流用したとして、今月4日、特別背任の疑いで東京地検特捜部に再逮捕されました。
前会長の弁護を担当する弘中惇一郎弁護士は9日、東京 丸の内の日本外国特派員協会で会見を開き、前会長が再逮捕される前にみずからの主張を事前に英語で録画した、およそ7分30秒の動画を公開しました。
この中で、前会長はまず「すべての嫌疑について私は無実で、私に対しての非難も事実無根だ。こうした非難は私を強欲な人物、あるいは独裁的な人物として塗り固めるためになされたもので、今起きていることは『陰謀』『謀略』『中傷』だ」と述べました。
そして事件の背景については「アライアンスの次のステップ、つまり統合・合併に向けて進むことが、ある人たちには確かな脅威を与え、日産の独立性を脅かすかもしれないと恐れた」としたうえで、「独立性は業績に支えられなければならず、独立性を得ること自体が目的となることはありえない。数名の幹部は明らかに自分たちの利益のために、自分勝手な恐れを抱いたために会社の価値を毀損した」と述べました。
また今後の日産については「株価の下落と業績の低下を目にしながらも、現経営幹部には日産の業績向上やアライアンスの将来をより強化するためのビジョンはない。それを見るのは非常に悲しいことで、本当にうんざりさせられている。テーブルを囲んでコンセンサスで意思決定をしていくことは、競争の激しい自動車業界で何のビジョンも生み出さない」と述べ、現経営陣を強く批判しました。
そして最後に、ゴーン前会長は「私が最も強く望むことは公正な裁判を受けることだが、弁護士から裁判の公正性について安心材料は提供してもらえていない。この裁判で私の無実を証明したいと、せつに願っている」と述べました。
弘中弁護士によりますと、動画には当初、ゴーン前会長が批判した日産の経営陣の実名も記録されていましたが、弁護団の判断でその部分をカットし、前会長の了承も得たうえで公開したということです。
弘中弁護士は前会長が事件の詳しい内容を説明しなかった理由について、「検察から証拠の開示や主張がほとんどされてない中で、前会長が想像で発言するのは不適当なためだ」と述べました。