天皇てんのう陛下へいか「国民こくみんに心こころから感謝かんしゃ」 日付ひづけが変かわると上皇じょうこうに

午後ごご５ご時じ、モーニングを着用ちゃくようした天皇てんのう陛下へいかが、宮内庁くないちょう幹部かんぶの先導せんどうで「松まつの間ま」に入はいられ、儀式ぎしきが始はじまりました。

皇位こういのあかしとして歴代れきだいの天皇てんのうに伝つたわる三種さんしゅの神器じんぎのうちの剣けん（つるぎ）を持もった侍従じじゅうが天皇てんのう陛下へいかの前まえに、曲玉まがたま（まがたま）を持もった侍従じじゅうが後うしろにつき従したがい、さらに、国事こくじ行為こういの際さいに印しるし（いん）として使つかう国璽こくじ（こくじ）と御璽ぎょじ（ぎょじ）をそれぞれ携たずさえた侍従じじゅうが続つづきました。

そして皇后こうごうさまや皇太子こうたいしご夫妻ふさい、秋篠宮あきしののみやご夫妻ふさいなどの皇族こうぞく方かたも「松まつの間ま」に入はいられ、剣けんと曲玉まがたま、それに国璽こくじと御璽ぎょじが「案あん（あん）」と呼よばれる台だいの上うえに置おかれました。

天皇てんのう陛下へいかは、壇上だんじょうに置おかれたいすの前まえに皇后こうごうさまと並ならんで立たたれ、安倍あべ総理そうり大臣だいじんが進み出すすみでて、国民こくみんを代表だいひょうして「これまでの天皇てんのう陛下へいかの歩あゆみを胸むねに刻きざみながら、平和へいわで、希望きぼうに満みちあふれ、誇ほこりある日本にっぽんの輝かがやかしい未来みらいを創つくり上あげていくため、更さらに最善さいぜんの努力どりょくを尽つくしていく。天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかに心こころからの感謝かんしゃを申し上もうしあげる」と述のべました。

続つづいて、天皇てんのう陛下へいかが国民こくみんへの最後さいごのおことばを述のべられました。

天皇てんのう陛下へいかは「即位そくいから三さん十じゅう年ねん、これまでの天皇てんのうとしての務つとめを、国民こくみんへの深ふかい信頼しんらいと敬愛けいあいをもって行おこない得えたことは、幸しあわせなことでした。象徴しょうちょうとしての私わたしを受け入うけいれ、支ささえてくれた国民こくみんに、心こころから感謝かんしゃします」と述のべられました。

天皇てんのう陛下へいかは３さん年ねん前まえの８月はちがつ８はち日にち、退位たいいの意向いこうが強つよくにじむお気持きもちを表明ひょうめいした際さいにも、「国民こくみんを思おもい、国民こくみんのために祈いのるという務つとめを、人々ひとびとへの深ふかい信頼しんらいと敬愛けいあいをもってなし得えたことは、幸しあわせなことでした」と述のべていて、今回こんかいもそうした思おもいを重かさねて表あらわされました。

そのうえで、「明日あした（あす）から始はじまる新あたらしい令りょう和わの時代じだいが、平和へいわで実みのり多おおくあることを、皇后こうごうと共とともに心こころから願ねがい、ここに我が国わがくにと世界せかいの人々ひとびとの安寧あんねいと幸しあわせを祈いのります」とおことばを結むすばれました。

おことばが終おわると、天皇てんのう陛下へいかは壇上だんじょうから降おりられました。そして、皇后こうごうさまの方ほうを向むいたあと、部屋へやを見渡みわたして最後さいごにゆっくりと一礼いちれいしてから、剣けんと曲玉まがたま、それに国璽こくじと御璽ぎょじを携たずさえた侍従じじゅうとともに「松まつの間ま」を退出たいしゅつされました。

儀式ぎしきは12分ふんほどで終おわりました。

このあと天皇てんのう陛下へいかは、皇后こうごうさまとともに、宮殿きゅうでんで、皇太子こうたいしご夫妻ふさいや秋篠宮あきしののみやご夫妻ふさいをはじめ皇族こうぞく方かたや長女ちょうじょの黒田くろだ清子きよこさんなど親族しんぞくらからあいさつを受うけられました。

このあとお住すまいの御所ごしょに戻もどり、最後さいごに側近そっきんの職員しょくいんらからあいさつを受うけ、午後ごご７なな時半じはんごろ、天皇てんのう皇后こうごうとして臨のぞむ行事ぎょうじはすべて終おえられる予定よていです。

そして、天皇てんのう陛下へいかは日付ひづけが変かわると同時どうじに皇位こういを退しりぞき上皇じょうこうとなられます。

30年ねん余あまり続つづいた平成へいせいの時代じだいは幕まくを閉とじ、皇太子こうたいしさまが新あらたな天皇てんのうとして即位そくいされ、令りょう和わの時代じだいを迎むかえます。